表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吾は征く  作者: orion1196
紅虎事件編
8/15

section7 a conflict that is not understood

新型コロナにかかってました。メッサしんどかったです

 ロビーでの小競り合いから10分、気付けば署内のほとんどの警官が一ヶ所に集まっていた。というのも、先日起きた『機動部隊がいきなり消息不明になった一件』以来模擬戦闘ルームを使う者がいなかったのだ。


「珍しいじゃないか。柊君くらいなら外に連れまわすかと思ったんだが」


「まぁ確かに、ここまで騒がしいのは好まねぇな。それにあっちが吹っ掛けたわけだしな」


 強度保持のため、二つある入り口の付近にしか窓がなく、集まった警官たちはそこに群がる形となっていた。一部の者は飲食物まで持ってきていた。


「柊中隊長が、かぁ…… 勝てると思うか? 」


「いや、無理だろう。俺はあの四霊ってやつと任務を一緒にしたんだが、強さは明らかに人間を超えていたぞ」


「でも佳苗さんは強いぜ? 装備整えれば勝てると思うが…… 」


 既に場の空気は試合前のスタジアムのそれに近く、飲食物を片手にしている署員までいる。榊がどれだけたしなめても上がり切った興奮が収束しそうにない。


「で? あいつはなんでコルウス憎んでんだ? 明らかにスイッチが入ったように殺されかけたんだが」


「あぁ、その話だがな。佳苗は実は…… 」


 耳打ちする榊。四霊は一瞬驚きの表情を浮かべたが、「分かった」とつぶやき、それ以降口を開くことはなかった。




 __________________________________

 一方、佳苗は訓練室から少し離れた更衣室で静かに着替えを進めていた。


(うん…… 久しぶりに着けたけど、違和感はない)


 アンダースーツ、強化装甲、関節装甲と一つ一つを確認しながら装着していく佳苗。外の騒ぎは気になるが、更衣室の奥で着替えているからか集中が削がれることはなかった。


「柊君、榊だが入れるかね? 」


「あ、はい大丈夫です」


 律儀な三回ノックと共に榊の柔和な顔がロッカーの陰から顔を出した。


「……話は聞いたが、良いのか? 」


「はい。どうしても譲れなくて」


「……そうか。さぁ、時間だ」


「はい」


 榊に肩を押されて更衣室を出る佳苗。訓練室前にたむろしている警官たちは、ガンメタ色の強化スーツを身に着けた佳苗を見て一気に静まり返った。


「……後悔はするなよ? 」


「はい」




 ____________________________

 大きく深呼吸する佳苗。既に四霊は訓練室内で胡坐(あぐら)をかいている。ゆっくりと一歩を踏み出そうとする婦警を、男は右手をかざして制止した。


「お前、サブから何も聞いてないのか? 」


「はい、全力でとだけ」


「はぁ…… あのバカがよ…… 」


 ため息とともに立ち上がる四霊。のぞき窓から榊の顔を確認したが、男は無表情で訓練室を眺めているだけだった。


「まぁ、たまにはこういう喧嘩も悪くないか」


 四霊は小声でつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ