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吾は征く  作者: orion1196
紅虎事件編
5/15

section5 The best place to hide a leaf is in a forest.

すみません、ちょい遅れました。

 佳苗が四霊のもとを訪れてから二日後、今度は四霊が佳苗の職場、つまりは警察庁本部まで出向いていた。


「今度からは俺を呼び出して仕事の話をするんだな」


「そうですね…… その節は大変申し訳ございませんでした」


「そこはいいさ。喧嘩とゴミ掃除がスイーパー(俺たち)の仕事だからよ」


 玄関横のロビーにてコーヒーをすする二人。改めて事件資料をゆっくりと見返す四霊を佳苗はまじまじと観察していた。


(やっぱり、そんなに鍛えている感じもない。やっぱり…… )


「かつて軍人としてコルウスをしていた、というのは嘘だろうってか? 」


「え、あ、いや…… 」


「そんなに俺の顔を凝視してたらさすがに分かるぜ? 」


「……すみません」


「ま、この細さじゃあ信用されねぇわな」


 そういってテーブルに資料をおいて佳苗と目を合わせる四霊。慌てて取り繕おうと佳苗が口を開こうとするも、四霊はそれを手で制した。


「さ、本題に戻ろうか。ここで重要なのは『リリアンの活動範囲がどの辺りか』って話だ」


「そう、ですね。でも問題なのが目撃エリアが第三スラム区域というだけで全く絞れていないんですよね。カメラドローンを飛ばしてもなぜか音信不通になってしまうらしくて」


「なるほどな、『戦時中に作られたコルウス』の特徴だな」


「はい? 」


 そもそもエポカの肉体を使った改造手術『EATS』を行った者たちの総称が『コルウス』なのだ。戦時中も戦後もそこには関係ない。佳苗には四霊のつぶやきが理解できなかった。


「ん? あぁそうか知らないか。エポカとの戦争の最中に作られたコルウスはみんなとある特徴を持っている。それが『ステルス性能』さ」


「え? 」


「エポカに見つからないように行動するためにな。俺と初めて会った時もそうだったろう? 」


「あッ…… 」


 確かにそうだった。同じバーのカウンター席に座っていたというのに、しかも自分は写真を持っていたというのに四霊に気付けなかったことをふと思い出す。


「……それ、見つけられなくないですか? 」


「唯一見破る方法がある、熱検知だ。本気で気配を消そうとしたら連中は赤外線すら引っかからくなるやつもいる」


「なるほど…… あれ?榊司令はエポカと戦っていたならそれを知ってて…… 」


「頭がかってぇなぁお前。サブがそれを認めたらそれってつまりいなくなったはずの『元軍人の能力犯罪者』という手ごわいどころの騒ぎじゃない敵が生き残ってましたって公認することになるだろ? 」


 コーヒーカップを口に運ぶ四霊。その間に佳苗は今までの話を頭の中で整理していく。


「あ、もしかして第一中隊が派遣されたのって…… 」


「そう、さっさと片付けたかったから。全く、優秀なんだか抜けてんだか…… 」


 四霊が席を立つ。佳苗が後を追おうと立ち上がろうとしたが、既に入り口を出て行ってしまった。


「……とりあえず、榊司令にドローンの使用許可出さないと」


 デスクに広げた資料の束を軽くまとめて、佳苗はエレベーターに向かって歩き始めた。

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