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吾は征く  作者: orion1196
紅虎事件編
1/15

section1 indesting Darkness

とある事情よりほぼ捨てかけた筆を再びとることとなりました。文字数自体はそんなに使う気がないので、他の更新が滞ってしまっている連載作品たちと違ってさっさと終わらせようと思っています。

 21☓☓年、東京都内某所 

何か大きな戦闘があったのか、はたまた災害の傷跡か、半壊したまま放置されたままとなったビルの群れが辺り一面に散在していた。勿論道路の舗装などないに等しいほどに荒れているのだが、明らかに不釣り合いな装甲車の列が停まっている。


「いたぞ!あっちだ!! 」


「ソナーを起動、急いで逃げ場を塞げ! 」


 灰色の全身装備に身を包み、銃火器を装備した警官の一団が廃ビルの一つに突入していく。よくある捕り物の光景だが、普段と違うのはその全身装備が『とある力』に対抗するためのものである事だ。


「く、来るなぁ!! 」


 警官に囲まれた不審者が指先から光の線を放つ。警官たちは間一髪で避けたが、廃虚の柱や鉄骨はまるで豆腐のように切断された。


「今回の能力はレーザーですかね。これは厄介です、(ひいらぎ)隊長」


「包囲射撃、か…… 各員通達、合図とともに一斉射撃を開始せよ。味方に当たらないようしっかりと狙え」


 目深にフードを被った男は闇雲に光線を乱射するが、狙いはデタラメで全く警官たちに当たる気配はない。


 とその時、突如カランカランと乾いた金属音が響いた。男が音の鳴った方を見やる。次の瞬間、耳をつんざく炸裂音と同時に光が溢れる。閃光弾(スタン・グレネード)を投げ込んだのだ。


「ギャアァァァァ!! 」


()えっ! 」


 容赦なく男に向かって弾幕を作る警官たち。銃声がやんだ時には、男は泡を吹いてその場にひっくり返っていた。


「いかにゴム弾だとはいえ、これは痛そうですね」


「まだ任務中だ、私語禁止。 ……よし、現時点をもってホシを確保。時間は? 」


20時40分(フタマルヨンマル)です、隊長」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 21世紀中頃、正体不明の地球外生命体と戦った人類はその人口の4割近くを失う結果となり、世界中の主要都市近郊に大量のスラムを作り出した。そうしたスラム群は犯罪者の巣窟と化し、警察は犯罪者に対抗するための特殊部隊を結成し、日々闘争を繰り返している。


 東京エリア中心区 警察庁本部内 対能力犯罪者対策室


 隅に『本部長 榊 三郎(さかき さぶろう)』のプレートが置かれたデスクに書類フォルダを置く女性警官。恐らく任務が終了したばかりなのか、ヘルメットは外しているものの全身装備を身に着けたままである。司令官らしき男は座ったままフォルダを手に取った。


「今回もご苦労だった。柊 佳苗(ひいらぎ かなえ)中隊長」


「いえ、部下が死ぬ気で任務に当たった結果です。私だけの手柄ではありませんよ、(さかき)司令」


 報告書類に目を通す司令官。その間、佳苗は少しも気を付けを崩さない。


「崩してくれて構わないよ…… と言っても君はずっとそのままだろうが」


「この姿勢で十分ですから」


「全く、女性だというのに、そんな堅物だから別部署の同期に疎まれるんだ君は」


「大丈夫です司令、職務に私情を挟む輩と仲良くする気はありませんので」


 書類の入ったフォルダをデスクに置き、ため息をつきながら頬杖をつく榊。「何かありましたか? 」と問う佳苗に対して榊はポツリと語り始めた。


「柊君は第一中隊が第三スラム地区に突入任務を実行したのは知っているか? 」


「はい。中隊長同士、任務の概要くらいは共有していますから」


「でだ。君たちが任務を終えて帰投してくるおよそ一時間前に第一中隊が消滅したんだ」


「はい? 連絡が途絶えたのではなく『消えた』のですか? 」


 席を立つ榊。佳苗は榊を目で追う。


「かつて地球を侵略した地球外生命体『エポカ』、そして奴らに対抗するためにエポカの肉体を使って肉体を改造した兵士『コルウス』、しかしエポカとの戦争がもたらした被害はあまりに大きかった」


「はい。そういった中でコルウスへの改造を違法で行い犯罪を起こす者たちを裁くために、我々『対特殊能力犯罪者機動隊』が設立された」


「満点の回答だな、佳苗君」


 佳苗の方に向き直る榊。佳苗はここまで一秒たりとも気を付けを崩さない。


「本題に戻ろう。今回、第一中隊が消滅した原因だが『リリアン』と呼ばれる能力者が単騎で中隊と交戦したようだ。奇跡的に戦闘中の通信記録がデータベースに残っていたと報告が…… 」


「そんな馬鹿な! いかに我々が普通の人間とはいえ、戦時中に実際に対エポカ兵器として使用されていた強化スーツと武装があるではありませんか」


 初めて気を付けが解ける佳苗。榊は佳苗の肩を強く握りしめた。


「だから困っているんだ。こんな事例は今まであり得なかったが、隊員のヘルメットに備え付けられていたカメラから送られていたデータからもこれは事実だと確定された」


「そんな…… 」


 落胆を隠せない佳苗。だだっ広い部屋を静寂が支配する。


「そこで、だ。君には特別任務に就いていただきたい」


「……内容は? 」


「第三スラム区域にて今回の一件を調査していただきたい。もちろん、現地のエージェントも同伴させる」


「嫌です。いかに警察と契約しているとはいえ、違法改造を受けているような人間と仕事はできません」


 やっぱりか、とでも言わんばかりにがっくりと頭を垂れる榊。険しい顔をする佳苗をよそに、そばに控えていた秘書官に書類を手渡した。


「今回用意したエージェントはそこいらのチンピラ改造人間とは違う。本人の意向により前歴は伏せるが、エージェント契約開始からの10年間で失敗任務も放棄した任務も0だ。こいつの実力派私が保証する」


「はぁ……『暁 四霊(あかつき しりょう)』ですか」


「うむ。君が有益な情報を持ち帰って来てくれることを期待しているよ」


「分かりました。最大限努力します」

ここ、何に使うか毎回悩むんですよねw

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