プロローグ
カツン、カツン....
甲高い音が洞窟の中に響き渡る。
大体5メートル間隔で男が配置されており、手に持つピッケルを振り下ろす。
「おい!手を休めるな!!お前らのようなゴミが人様の役にたてるだけ感謝しろ!」
その男たちの中で手にはピッケルがなく、腰に剣を帯刀している甲冑姿の男が檄をとばす。
「ハァ、ハァ」
肩で息をしながら、手から零れ落ちそうになったピッケルを再度握り、体のバランスを崩しながらも懸命に振るう。
「おい!ルイン!何だ!その体たらくは!!」
甲冑姿である監督官のアランが僕の体を蹴り上げる。
体に衝撃がはしり、倒れるが、すぐさま起き上がり謝罪する。
「申し訳ございません」
「ふん!さっさと作業を再開しろ!!気色の悪いガキが!!」
そう言ってアランはもとの定位位置に戻る。
それから三時間がたった頃、仕事の終わりを告げるベルの音が鳴り響いた。
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「おい坊主、大丈夫か?」
そう声をかけてきた男の名前はカイン。
事あるごとに面倒を見てくれる、強面のおじさんだ。
「平気、少し青くなっただけ」
「これはまた派手にやられたな、少しでも体調が悪くなったら言うんだぞ」
「うん、ありがとう」
そう言うと、アランは顔を歪め悲しそうな顔をして僕を抱きしめた。
「ゴメンな..ゴメンな...」
肩を震わせながら、アランは僕にそう言い続けた。
「大丈夫、大丈夫だから..」
こういうとき、どうしたらいいのか分からない。
僕には分からない、なんでアランが泣いているのか。
僕には分からない、なんでここにいるのか。
ここはルドウェルの鉱山、タイタン。
世界屈指の鉱山で奴隷の送還場所。
そして僕はここの奴隷だ。