序章(市立図書館)
初めまして!栗髪団子と申します。くりがみでもくりかみでも好きなように読んでいただければ…自己満足のつまらないものですが読んでいただけると幸いです。
あの日も、こんな天気だったような気がする。ふと陶器人形のような白い肌、藍色の髪、そして吸い込まれてしまいそうなほどに透明で、光り輝く深緑の瞳を持つ少女に出会った日のことを思い出した。
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仮に物語を書き始めるとするならば初めに自分のことを読者に紹介するべきなのだろうが、至って普通の男子高校生だと言ってしまえばそれまでのことだ。普通普通と言いながら後々実は異能力使えます!、なんて言い出すわけでもなくただ学校に通い、勉学に励む何の変哲もない男子高校生である。
あえて普通ではない部分を上げるとするなら、通っている学校が小中高一貫校だということだろう。それはすなわち小学校の時にいわゆる「お受験」をしたということではない。一般入試で高校から入った。あまり偏差値は低い方ではないこの学校である。倍率はそこそこ高かった。まあ、しかしなんだかんだで第一希望であるこの高校に入学することが出来た訳だ。
そして今は7月下旬。高校生活で迎える初めての夏だ。
なんとなく爽やか高校生活風に始めてみたが、初めての夏だからといって特に大した予定がある訳ではなかった。親が共働きであるうちの家庭は日中家に誰もいないし、そもそも高校生になって家族旅行になど行く気になれなかった。結局家で一人携帯ゲーム機をいじる。いつもの放課後となんら変わらない。ご存知の通り(知るか)もちろん俺は帰宅部だ。部活動に汗を流し、青春を謳歌するのも悪くは無いと思う。だが、それは俺の行動理念に反する。
そんなこんなでリビングのソファーに寝転び、ゲームに没頭していた。5回目にして半ばゴリ押しのような形で倒したステージボスのリザルト画面を見ながら呟く。
「あっづ…………」
扇風機は強にしており、ずっとさあさあという風の音が聞こえ続けている。電気代節約のためエアコンはつけるなと母親から口を酸っぱくして言われているため冷房器具はこの扇風機1台だけだ。体中が火照って暑い。額を汗が流れ落ちる。こうなったら窓を開けようと立ち上がると目眩がした。ロックを外し、窓の格子に手をかけ
「ぐっ…」
閉めた。ムッとした空気が体に当たる。何なんだあの殺人的な熱気は。あんなもん窓も開けられたもんじゃねぇ…はぁ…
もう為す術が無くなり向かったのはバスで10分の市立図書館だった。バス停が家から徒歩3分の所にあったのが不幸中の幸いだ。ジリジリと炎のごとき太陽が容赦なく降り掛かってきて、1分でも長く外にいたら燃えカスになっていそうだった。そうしてやっとの思いで図書館についた。
「市立図書館前」
いかにもなバス停で運賃を払い下車する。市立図書館は風情のあるレンガ造りになっている。昔はなにか他の用途に使われていて、歴史的価値があるとかないとか。そんな話を小学校の時に聞いたような気がする。まぁ、何はともあれこれでやっとこの灼熱地獄から解放されるわけだ。自然と足が急ぐ。
……………休館だった。長らく図書館というものに訪れていなかったせいか、今日が館内整理日だということをすっかり忘れていた。なんてこった…ここまでの苦労はいったい…というかここまでのバス代が…まあもとはと言えば休館日を調べてこなかった俺が悪いのだが…行き場のない怒りがふつふつと湧き上がってきたが、ふと冷静になってみる。なら何処へ行く?その答えが浮かぶほど、まだ頭は冷えきっていなかった。そこでふと振り向いた。別に何か気配を感じたわけでもなく、名前を呼ばれたからでもない。ただ単に方向を変えるためだ。そう、図書館の入口扉に背を向け、冷えきっていない頭で次に何処に行くか考えながら振り向
「いっしょにきて」
は?
「きて」
声が耳に氷柱のように突き刺さる。体が反射的に動きを止める。
「いっしょに」
しかし姿が見えない。
「おねがい」
何か冷たいものがTシャツ越しの腰に触れる。暑さでふらついていた体は簡単にバランスを崩し、後ろに崩れ落ちた。
「ぐがっ…」
ドアで頭部を強打する。
「痛ってぇ…」
目を開けるとそこには顔があった。
「みつけた」
「っ……!?」
急速に瞼が閉じ、意識が朦朧とする。最後に見たのはただ一つを見据える二つのエメラルドだった。
ここまで読了いただきほんっーーーーーーとうにありがとうございます。ここまで読んでくださった方は、果たしていらっしゃるのでしょうか…?しばらく続きます。…と思われます…おそらく次回は1週間後となると思います。このようなサイトを使うのは初めてでいたらぬところがあるかと思いますので…なにかあれば言っていただけるととてもとてもありがたいです!よければ次回もよろしくお願いいたします。以上、栗髪団子でした。