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人類滅亡の可否を背負わされるなんてまっぴらごめん  作者: 金屋かつひさ
第3章 奥名先輩を振り向かせたい大作戦
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今回は4話連続投稿です。再び英介視点に戻ります。1話目(1/4)

 俺の「奥名先輩を振り向かせたい大作戦」は相変わらず連戦連敗が続いていた。


 昼飯に誘っても断られる。おやつどきにお菓子を持って行ったときにはお菓子は受け取ってくれるけれど素っ気ない。仕事が終わってちょっと話できるかなと見てみると、俺の姿を見るやサッとひるがえって帰ってしまう。


 もしかして俺、避けられてる?


 まずいぞ。以前はそんなことなかったのに。


 仕事上のわからない点を聞きに行ったときなんか、どんなに忙しくても自分の仕事の手を止めて丁寧にわかりやすく教えてくれた。昼飯もなんどか一緒に食べたこともある。それどころか俺が自分の席で悩んでいるときに先輩のほうから「どうしたの?」って声かけてくれたことだってしばしば。


 やっぱりあの告白がまずかったんかなあ。


 それにあの後何度も先輩の誤解を招くようなことがあったもんな。特に俺が久梨亜や美砂ちゃんと仲よさそうに話しているのがどうやらとてもお気に召さないらしい。俺が本当は美砂ちゃんのほうが好きなんじゃないかって誤解してる節が多々ある。


 あのふたりは俺の監視役。俺の行動を四六時中しろくじちゅう目を光らせて監視するのがそのお役目。だから俺のそばにふたりがいるのは当たり前。せめて社内ではやめてくれって頼んでも聞く耳持たず。


 ほんと、どうしたらいいんだ!


 俺は頭を抱えながら社内の自販機コーナーへ向かった。先客がいた。久梨亜だ。

 やつはすっかり日本の自販機が気に入ったらしい。「すげーすげー」言いながら、もうとっくに自販機コーナーの飲料全種類を飲んでしまった。さらに外出時に自販機を見つけると必ず試さずにはいられないって始末。「小銭どうすんだ?」って聞いたら「まあ、ちょっとね」といたずらっぽくニヤリとする。おいおい、それ絶対ダメなやつだろ。葉っぱを魔力で小銭に替えたりしてんじゃねえか? あ、そりゃタヌキか。それともキツネだったか。


「よう英介。なんかしけたつらしてんなあ」

 久梨亜の口調には俺をからかうような感じがあった。「しけた面」って、ほんと誰のせいだよ。


「うるさいなあ。なぜか知ってるくせに」

「あはは。今日も見事に断られたもんな。ガード固てえな、あの女」

「これだけ断られ続けるとさすがに凹むよ。あーあ。もしかして、もう脈ないのかな」


 ため息をつきながら自販機のボタンを押す。ゴロンと飲料が転がり出る。いつものコーヒーじゃない! しまった! うっかりして隣のボタンを押してしまってた。

 さらに凹む俺。もうダメかも……。


「いや、あたしはそうは思わないけどねえ」


 思いも寄らぬ久梨亜の言葉。みるみる希望がよみがえる。我ながら単純だな。


「本当か!」

「ああ。これでもあたしゃあ人間の色恋は数え切れないぐらい見てきたからねえ。あの目はあんたのことが気になってる。間違いない」


 ますます希望が甦る。こいつほんとに悪魔か? こいつに魂をやるっていう契約を交わした覚えはない。なのに悪魔のくせに俺に幸せをもたらしてくれるってどういうことだ?

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