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人類滅亡の可否を背負わされるなんてまっぴらごめん  作者: 金屋かつひさ
第3章 奥名先輩を振り向かせたい大作戦
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37 奥名先輩の独白(モノローグ) その2

昨日に引き続いて今日も3話同時投稿です。

今回の3話は普段と違って奥名先輩の独白形式でお送りします。2話目(2/3)

 “あの日”というか“あの瞬間”から、私が瀬納君を見る目が変わってしまったんです。瀬納君の姿を見るたびに「この人、私のことが好きなんだ」って思っちゃう。どうしても意識しちゃうんです。おかしいですよね。自分は彼のことが好きでもなんでもないのに。


 そりゃあ「好きか嫌いか」って聞かれたら「好き」ですよ。でもそれは“頑張り屋の後輩”として好きなだけで、異性としてじゃない。はい、今でもそう思ってますよ。


 しかも彼ったら私に振られた直後にかわいい後輩の女の子を口説いてたんですよ。まあ本人は「口説いてません」って言ってますけどね。でもそれならあんなに美砂ちゃんが真っ赤になるかしら。


 ああすみません。“美砂ちゃん”っていうのは去年の4月に入った新人の子です。ええっと確かフルネームは天野美砂だったかな。久梨亜も入れて3人で仲よさそうに話してたんですよね。ああ、そういえば最近3人でいるところをよく見かけますね。


 ああまたすみません。“久梨亜”っていうのは私の同期で一番の仲良しなんです。フルネームは羽瑠久梨亜。社内一のナイスバディの持ち主。ほんとうらやましい。


 たぶん“あの日”より前からもよく3人でだべっていたんでしょうね。でも私は気づかなかった。どんなに努力しても、“あの日”より前にあの3人が一緒にいたところが思い出せないんです。まあそれくらい私が瀬納君のことを意識していなかった。そういうことでしょうね。


 それが“あの日”から変わってしまいました。私はなんとも思ってないはずなのに、どうしても彼の姿が目に入っちゃうんです。彼のそばに女の子がいると無性に腹立たしくなるんです。おかしいですよね。


 そりゃあさすがに私も「もしかして嫉妬しっと?」って思いましたよ。でもいくら考えてみても、瀬納君と恋人どうしになっている自分が想像できないんです。胸に手を当てて「彼のことが好きか?」って自分に問うても「後輩としては」としか返ってこないんです。まあ当然ですよね。


 でもただ単に“瀬納君のことが気になる”程度なら問題はそれほどじゃないんです。どうせそのうち元のように気にならなくなるでしょうし。私も悩んだりしません。


 でも肝心の仕事に影響が出始めたんです。仕事上の問題を一生懸命考えていたはずなのに、気がつくといつの間にか彼の姿を探していたりしているんです。始めはビックリしましたよ。まさか仕事ひとすじの私が仕事以外に気を取られるだなんて。


 それだけじゃなくてミスも増えました。上司からも「最近誤字脱字が増えてる」って注意されました。というか心配されました。私そういうところはきっちりしているんです。書類はできてからも3回読み直しますし。今まではそういったミスはあんまりなかったんです。だから「大丈夫か?」って。

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