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人類滅亡の可否を背負わされるなんてまっぴらごめん  作者: 金屋かつひさ
第1章 俺が人類滅亡の可否を背負わされることになったわけ
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 天使ちゃんのお茶で落ち着いたところで俺はふたりに向き直った。


「では、いろいろ説明してもらおうかな。第1に、ふたりの名前やなにものであるのか。第2に、昼間奥名先輩になにをしたのか。第3に、どうして俺が人類滅亡の可否を背負わなくっちゃならないのか」


 ふたりは互いにどちらから話すべきかを迷っているようだった。が、やがて黒の悪魔のほうから話し始めた。


「じゃあ、あたしから。あたしは悪魔。悪魔メフィストフェレス様の配下の悪魔。あたしの役目はあんたを監視し、その行動をメフィストフェレス様に伝えること。ちなみに地上での名は久梨亜くりあ羽瑠はる久梨亜」

「私は天のぬし様に使える天使です。私のお役目はあなたを監視して、その行動を主様に報告することです。私の地上での名前は天野あまの美砂っていいます。主様がつけてくださったんですよ」


 黒の悪魔改め久梨亜は淡々と、そして天使ちゃんこと美砂ちゃんは嬉々(きき)として語った。


「じゃあ俺からも。俺の名前は瀬納英介。今日見て知ってると思うけどシステム開発会社でエンジニアやってる」


 俺が自己紹介すると久梨亜が思いもかけないことを聞いてきた。


「じゃああんたのことは『エンジニア』って呼べばいいのか」

「えっ、なんでそうなる」

「だって日本人って肩書かたがきで呼び合うんだろ、『伊豆守いずのかみ』とか」

「いったいいつの時代の話だよ。役職持ちならともかく俺まだヒラだし」

「そうなのか。まあさすがに400年もってりゃ慣習も変わって当然だよな」

「400年って。黒……じゃなくて久梨亜お前いったいいくつだよ」

「おやおや。レディに歳を聞くとはいい度胸してんね」


 400歳オーバーでレディってよく言うよ。とも思ったけど久梨亜にギロリとにらまれて俺はそれ以上言葉が出ない。

 横目でチラッと美砂ちゃんのほうを見る。まさか見た目中高生の彼女も何百歳とかなんだろうか。


「あっ、わ、私はこの世に生を受けてからまだ2週間です」


 俺の目線に気づいておどおどしたようすで美砂ちゃんが言う。あ、悪い、気をつかわせちゃったかな。

 って、「2週間」かよ! 逆の意味でビックリだよ!


 と、そこでまた久梨亜がしゃべりだした。


「じゃあ『英介』って呼べばいいな。あたしが最後にいた人間はイギリス人でファーストネームで呼び合ってた。30年くらい前だから今とそれほど慣習も変わってねえだろ。あたしのことは久梨亜でよろしく」

「じゃあ私も『英介』って呼びますね。私のことは美砂と呼んでください」


 ちょっと待て。会社で互いに「美砂」「英介」なんて呼び合ってたら絶対に誤解される。それはまずい。非常にまずい。

 特に奥名先輩にこれ以上誤解されるようなことになったら俺もう生きてられないかも。

 人類が滅亡する前に俺の希望が滅亡しちゃうよ。

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