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月曜日〜帰宅〜


朝はパン。

(コンビニ)

昼は丼。

(社食)

夜は麺。

(コンビニ)


ーーそう。

これが1日のメシスケジュールだ。

栄養バランスなんて知ったこっちゃない。

要は値段と手軽さだ。

1日の目安が1000円までと、随分前から自分の中で決めている。

そんな俺の手には、ビニール袋に入ったカップ麺と飲み物が入っていた。


「ただいま」


ドアを開けても部屋は真っ暗。

もちろん返事はない。

パチ、パチ、と次々に部屋の電気を点けていく。

使い古したちゃぶ台の上に、先程買ってきた物を無造作に置き、片手でネクタイを緩め(ほど)いた。


(今日も疲れた…)


毎日毎日同じことの繰り返しで、今日が一体いつなのか、たまに分からなくなる時もある。

何か刺激が欲しい。

同じことの繰り返しの毎日に、何か1つ、変わったものが欲しい。

俺はそんなことを考えながらスーツを脱ぎ、ハンガーに掛ける。

そして、ポットに水を注ぎ、電源をONに。

慣れたものだ。

この一連の流れも毎日同じ。


湯が沸くまでに部屋着に着替える。

買ってきた飲み物を一口飲むと、カップ麺のビニールを剥がし、蓋を開け、スタンバイ。

最近のカップ麺はいい。ビッグサイズなんてものがあるからな!

200円ほどでこのくらいの量が食べられるのは、かなりお得だ。と、俺は思っている。


「あ、割り箸がない…あの店員、入れ忘れ多いよな…」


やれやれと呟きながら、俺は台所にある箸を取ってきた。

丁度良くお湯が沸いたので、カップ麺にいそいそと注ぐ。


はぁ…


この3分が短いようで長い!

大体が湯が沸くまでにほぼほぼ終わらせているので、この時間は本当にやることがない!

3分だぞ?3分。

ものすごい中途半端な時間だとは思わないか?

ちょっとでもボーッとしてたら、あっと言う間に過ぎて、気づいたら5分10分なんて当たり前で…

麺がでろでろに伸びていた。なんてしょっちゅう。

テレビは面白いのやってないし、本を読むほどでもない。

かと言って、何もすることがないと言うのはあまりにも長く感じてしまう3分なのだ。


「そろそろ俺も、スマホに変えてみようかなぁ…」


何を隠そう、俺は未だにガラケーだ。

あの使い慣れた感は半端ない!

手にフィット、耳にフィット、挙句の果てにはスーツにもフィットときたもんだ。

いくら流行っているとは言え、今更変えるのも何か気が引けた。

かなり便利らしいがな。


「おっと…そろそろいいか」


蓋を開けると、湯気と共に食欲のそそるいい香りがたちまち部屋を覆う。


「いただきます」


誰もいなくても、こうした挨拶は欠かさない。


ズズズ。


うん、いい塩梅だ。

硬さもスープの量も。



嗚呼…嫁の手料理食べたいなぁ…。



食べながらほろりと流れた涙を、湯気で白く曇った眼鏡を少しずらし、そっと左手で拭った。



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