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夢オチ二連結の巻

簡単キャラ紹介

瑠美-主人公っぽい。専業主婦に近いなにか。若干恥ずかしがりだったりもする。黒髪ストレート。

礼奈-活発人間。時々変態。ちゃんと働いてる。金髪ストレート。

二人はラブラブなので同棲してます。

今回は一味も二味も違うものにしたので、ここから読むのは厳しいかも。

「かのユリユリ軍を討ち、私たちは勝利を掴み取るッ! 突撃ーッ!」

 兵たちは高らかに唸りを上げた。騎兵は地を駆け抜け、弓兵の矢が空を舞う。

 突然ですが、私の名前は瑠美。誉れ高きレズレズ軍の総大将を任されている者だ。

 今は戦の真っ只中。曇天の空の下で私たちは命を賭して祖国に貢献すべくこの地に立っている。

 今日の戦は、領地の占領を続けては話にも応じない相手国の遣わしたユリユリ軍を迎え討つというもの。

 平原での戦。それに、あまり時間も無かったため、細工を施すことも出来なかった。

 純粋な力と知略のぶつかり合い。

 その筈なのだがーー私は、この戦に乗り気ではない。それでも、勝たなければいけないことはわかっている。

 今回の相手、ユリユリ軍は一度共に戦ったことがある。いわば戦友なのだ。

 戦友と殺し合うなんてもってのほか。しかし、理由はそれだけではなかった。この理由は、レズレズ軍全体の理由でもあるからだ。

 私が抱える個人的な理由、それはーーレズレズ軍の将、礼奈は私と恋仲にあるということ。

 このご時世、同性を愛するなんてことは許されないかもしれない。この時代でなくてもそれはそうだろう。

 そんな外様の事情など今は関係ない。関係あるのは、私と礼奈の考えだけだ。

 愛する人と殺し合わなければならない辛さ。心が押し潰されそうな気さえするが、一軍の将として今馬を降りるわけにはいかないのだ。

「瑠美殿ーッ! 増援、到着致しました!」

「よしっ! 分隊、行動開始!」

 増援の到着に合わせ、私含むある程度の量の騎兵と弓兵は後退。そして分隊として外から大回りに進み、敵を左翼と右翼からも同時に叩く。

 この定石通りの作戦に、レズレズ軍は大きな確信を持って臨んでいた。勝利への確信を。

 レズレズ軍とユリユリ軍、兵の数が違いすぎるのだ。レズレズ軍が圧倒的有利なのである。

 たとえユリユリ軍に暴君のような猛将が居て、それがどれだけ暴れ回ろうとも、数の力には勝てないだろう。

 私の不安定な思いを引きずって、馬は駆け出した。


 ◇


 戦況はレズレズ軍有利のまま進んだ。

 そして、私たちが敵左翼に到着した頃には後方、将を連れた小隊が撤退を始めていた。

 迷いながらも、私は追撃を選択。

 降参すれば、礼奈たちが傷を負うことは無い。

 しかし、ユリユリ軍は降参出来る立場にないのだ。それはレズレズ軍も同じで、相手を根絶やしにするか降参させるかしなければ戦いは終わらない。

 考えている内に、礼奈を連れた隊を視界に捉えた。

 そして、後ろを見た礼奈と合う視線。

 後ろめたい思いが心を貫く。出来るのならば、戦いは避けたかった。

「ユリユリ軍! 降伏しろ! そうすれば命は助かる!」

 しかし、応じず。

 やはり、戦う運命なのかーーそう思った矢先、弓兵の放った矢がユリユリ軍兵の馬を撃ち抜いた。

「なっ……まだ私は撃てと言ってない!」

「相手は交渉には応じません! 早々に終わらせるべきです!」

 兵の言うことは正論だ。

 私はなにも言えないまま、礼奈の周囲の兵たちが沈んでいくのをただ見ていた。

 このまま礼奈が倒れるーーそれに耐えられず、私は馬を走らせた。

「敵将は私が討つ!」

 兵達の制止も振り切り、私はなんとか礼奈に追いついた。

「礼奈! 私は……私は……」

 繋がる言葉が浮かばずに、私は黙り込んでしまった。

「……瑠美、あたしの負けだよ。一思いにやって」

「嫌だよっ! 降伏して! そうすれば命は……」

「無理無理。瑠美だってわかってるくせに」

「わかってるよ! でも……私は、礼奈のことを愛してしまってるから……」

 沈黙が私と礼奈を覆い尽くす。

 やがてーーその沈黙は、礼奈が剣を抜いたことで断ち切られた。

「……一国の軍の将がそんなことで揺らいでいいの? あたしはもう、覚悟してる。」

 礼奈は馬の足を止め、地に降りた。

 私も同じようにすると、礼奈は抜いた剣を私に突き付けた。白銀の刃には、堂々とした殺意がどす黒い雰囲気を醸し出している。

「あたしの覚悟は本物だ。あたしは瑠美を斬るよ」

「……どうして、こうなっちゃったの?」

「強いて言うなら、立場の違いじゃない? 立場が違えば、もう人が違うからーー」

「違くないよ! 私たちは一緒で、これからもずっと一緒に居たい!」

 だから、剣を抜いた。

 剣戟の軌跡は幾度となく描かれ、散る火花と共に私の目からは涙が溢れる。

 既に、心は限界だった。

「それでも大将か? 甘すぎるよ!」

 調子付いて礼奈は言う。けれど、それはこっちのセリフだ。

 礼奈は剣の達人。それが、本調子でない今の私でも彼女の剣を容易く受けきれているのだ。

 隙だらけの剣技。これ以上ないほどに優しさに満ちた殺意が、私に振り下ろされては返される。

 こんな優しさは、受けても悲しいだけだ。戦いを続けていれば礼奈は生きているけど、それでなにか解決するわけでもない。

「愛してるよ、礼奈」

「ああ……愛してたよ、瑠美」

 ここで、終わらせなければならない。

 だから、私はーー


 ◇


「はっ……夢か」

 目を覚ましたら、いつもの朝の風景だった。

 我ながら、凄まじい夢を見てしまった。壮大でリアルな戦場の夢は、まだ色濃く私の記憶に焼き付いている。

「礼奈……まさか、礼奈と戦うときが来るなんてね」

 よだれを垂らしてぐっすりと眠る礼奈を見ながらそんなことを言っているとーー

「……いただきます」

「えっ?」

 はっきりと寝言を告げた礼奈は、私の手に噛み付いた。

「いたっ! なに!? なにすんの礼奈!」

 思わず眠っている礼奈の額にチョップをブチ込んでしまった。しかし、それぐらいしてもいいと思うくらいに礼奈の噛みつきは痛かったのだ。

「うぇえ!? 痛い! あれ? 瑠美が美味しそうなのに美味しそうじゃなくなってる……」

「……なに言ってんの」

「あっ、夢か! てことは瑠美が美味しいという暗喩……」

「はいはい、朝ぐらいは性欲抑えてねー」


 ◇


「……ここはどこ? あたしは……城ヶ崎礼奈だわ。さっきまで寝てたと思ったんだけど……まあいいや」

 いつの間にやら、見知らぬ家の見知らぬソファーにあたしは座っていた。

「おっきい家……あたしなんでここに居んの?」

 考えたところでなにもないので、家の中を歩き回ってみることにした。

 なんの変哲もない、裕福そうな家だ。生活感もあるが、今は人の気配無し。

「まさか……未来のあたしと瑠美の愛の巣!? 未来予想図を見てるとか!?」

 しかし、内心でそれはない、とツッコミを難なくいれることができた。

 何故なら、あたし一人の稼ぎではこんな家に住めない。瑠美が働き始めれば実現するかもしれないが、それも望めないからだ。

 そんなことを考えているとーー突如、あたしは物凄く現実味のないものと対面した。

 それは、巨大なトースターだ。

「な、なにこれ……人一人くらい焼けそうだけど」

 その時、噂をすればなんとやらとあるように、あたしがそう告げた瞬間にトースターから人が飛び出したのだ。まるで焼けたパンが飛び出たかのようにだ。

「うわぁっ!? 親方! トースターから褐色肌でえっちな体つきかつ全裸の女の子が!」

 無論親方などここには居ないわけだが、とりあえずあたしは落下して来る女の子を抱きかかえることに成功した。

 どことなく見覚えのある体つきに、黒髪ストレート。肌の色の違いを除けば、彼女は瑠美そのものだった。

「本当に瑠美なの?」

「礼奈……私を食べて」

 まさか瑠美から求めて来るとは思わなかった。裸の瑠美を床に下ろし、全力で服を脱ぎ捨てようと行動に移る。

「違う! 違うよ礼奈! 食べてっていうのは……こういうこと」

 瑠美は、どこからともなく取り出したバターを身体に塗り始めた。甘い声を上げる瑠美の姿にもう色々と耐えられなくなりーー

「あ、あたしが塗ってあげるよ」

 なんだか事がこじれてきた気がするが、気にしない。

 手にバターを塗りたくり、瑠美の身体に触れた。

「んっ……」

「ここか? ここらへんが美味しそうだなぁ……」

「んん……そこ、ダメっ……」

 時間も我も忘れて瑠美の身体にバターを塗り続け、数時間か数十分か経った。

「礼奈っ……はやく、食べてぇ……じゃないともう、私っ……」

「わかったよ……じゃあ、いただきます」


 そこで目が覚めてしまった。夢の中の瑠美はマジで美味しそうでした。


<続くに決まってるでしょっ>

夢オチってなんでも出来るじゃん!すごい!

なにやっても許される!

今回はいつも以上に書いてて楽しかったです

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