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あったかいってステキよね~って話

 つい最近まで秋だったような気がするけれど、世界が冬に染まりきるのはわりと一瞬だった。

 礼奈と二人、今は冬真っ盛りのベランダに立っている。

「もうすっかり寒くなった……瑠美さんや、そろそろアレの時期でしょうや」

「ほう、アレとはなんですかな、礼奈さんや。私をわざわざこのクッソ寒いベランダに呼び寄せたのには、意味がちゃーんとあると信じてるんだけど」」

「こたつ出そうこたつー!」

 どがーっと抱き着いてくる礼奈。もちろん出してやりたいのはやまやまというか、私もこたつに潜って爬虫類のごとく生きたい。

 生きたいのだけれど――

「へくちっ! ううっさむ。わざわざ外に出なくてもいいでしょ。風邪ひくわ」

 外の方にちらっと視線を投げると、半袖短パンのがきんちょが楽しそうに遊んでいる。見ているこっちが寒くなるし、外に出て損がまた増えてしまった。

「いやぁ、お布団にくるまったまま瑠美が動かないからさぁ。お布団モードの瑠美を動かすには過酷な環境がベストかなって」

 私は獅子の子とかじゃないのでそういう教育方針は避けていただきたい所存。というか、言ってくれれば動くのに。

「ふぅん。そんなにこたつがいいんなら一人でぺぺーっと出しちゃえばいいじゃない」

「こたつ布団の場所わかんない。共同作業でこたつ出したい」

 子供か。私の方がこの子を谷に落としてあげたい。今だけね。

「でもなぁ。寒い思いさせられたしなぁ」

 そう告げた刹那、礼奈は私の手をぎゅっと握ってきた。でも手がめっちゃ冷たいので迷惑でしかない。

 その意を伝えると、今度はほっぺに手を当ててきた。だから冷たいってばよ。

 すると今度は――手の甲にキス。

 自信満々の面持ちでこちらを見つめてくる礼奈。今度はなかなか苦しゅうないぞ。

「……こたつ出そうか!」

「んーにゃ、あと一押し足りないなぁ。どれ、私が見本を見せてあげる」

 ぱっと礼奈の手を取って、飾り気ない人差し指をぱくっと口にくわえた。しょっぱい感じの、礼奈のお手手のお味が口いっぱいにひろがる。あと冷たい。

「えっと、これがお手本?」

「もごもご……ぷはっ。あったかいでしょ?」

「うん。あったかい! いろいろと! あたしもたっくさん瑠美をあっためるから覚悟しなさい!」

「私は普通にこたつであったまりたいかなぁ」


 おわおわり


飾り気のない、と書いてるように、二人は最低限化粧とかはするけど、爪関連はいじりません。いわゆるマニキュアの類。香水の類も使わないかなぁ。二人は自分の魅力を見せるべき相手はすでに限られている上、化粧などしない時期から時を共にしてきていることもあって、自分を必要以上に飾らないわけです。お互いが、お互いを一緒に居たいと思える最低ラインの魅力を備えた容姿をもってればそれでいいというか、この二人なら見た目が鳥とかになっても交尾してそうですね。あれ、鳥の同性版夜のいとなみって交尾なのか?よくわからなくなってきた。

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