真夏の夜の……
簡単キャラ紹介
瑠美-主人公っぽい。専業主婦に近いなにか。若干恥ずかしがりだったりもする。黒髪ストレート。
礼奈-活発人間。時々変態。ちゃんと働いてる。金髪ストレート。
二人はラブラブなので同棲してます。
夏の夜というのは、往々にして昼に比べれば涼しいものだ。
しかし、熱帯夜という誰しも避けたがる事象がこの世には存在しているわけで。
それがなんと、今日なのであった。
「家んなか暑くない? 寝れないんだけど」
「家の中じゃなくても暑いから大丈夫よ」
「いや、なんにも大丈夫じゃないんだけど」
かく言う私も寝られずにいるので、困りものである。
時刻は午前1時をまわったところ。そろそろ草木も眠りについてそうな時間だけれど、私たちは環境のおかげで眠れずにいる。
「はぁ……せっかくお風呂入ったのに、汗かいちゃったわ。夏許すまじ」
ぼやきながら、礼奈は身につけている黒のタンクトップをぱたぱたさせている。胸がちらちら見えて、刺激的だ。
「そうねえ。でも、私たちが許せないのはそれだけじゃない」
そして私と礼奈の視線が向かったのは、我が家のクーラー。
このポンコツ、なんと三時間前に故障してくださったのです。なんともタイムリーな話だと思いませんかね。
こんな熱帯夜、クーラーで消しとばしてやるといつもなら言うところ。
けれど、それが叶わないのが現状である。
「どうするー? あたしたち、このままじゃ干からびるよ?」
「いや、礼奈が思ってるより人間そんなに乾かないから。でも……困ったなぁ」
寝たいのに寝れない。こんな不快なこともなかなかない。
疲れているとすぐに寝てしまう、というセオリーがあるけれど、特に疲労してるわけでもない私たちなのでセオリー通りにはいかない。
考えを巡らせていると、なんだか頭がぽわぽわしてきた。
「礼奈、のどかわいた」
「ん、あたしもー。お互いの唾液交換こしよっか」
この子、いきなりなにを言ってるんだろう。
「えっと、唾液……ああ、べろちゅーしたいの?」
「いや冗談よ冗談。瑠美大丈夫? すぐ飲み物持ってくるねー」
お水をがぶ飲みして、ほっと一息ついた。
すると、礼奈が私の腕に頬をすり寄せてきた。暑いのでやめてほしい。
「んっ、瑠美のお肌、冷たくて気持ち良い……」
「艶かしい顔するのは構わないけど、あついからやめようか」
声まで艶っぽい。暑さのおかげで重苦しい空気を盛り上げたいのかもしれないけれど、これだと逆に空気がホットになる。
「本当気持ちよくて、食べちゃいたい……」
「えっ、礼奈さーん、どうかされましたかーっ?」
刹那、私の背に礼奈の左手が回され、瞬時に抱きとめられた。
それとほぼ同時、私のお腹から胸、胸から首筋へと礼奈の右手がはいずりまわっていく。
なにがあったかあずかり知らぬところだけれど、この子悪いところのスイッチ入っちゃってる!
「いい?」
「だ、ダメかなぁ」
「嫌よ嫌よも好きのうち、ってね」
「そんな言葉、どこで覚えたのかなぁ礼奈ちゃん!」
「どこで覚えたかよりも、あたしは瑠美のそこをめちゃくちゃにしたい」
とっても面倒くさい状況だ。
私の本能はこのままかき回されても構わないと語る。
しかし理性は、このまま事に及べば熱中症で絶頂の先に逝きかねないと告げている。
なにか、この状況を崩す術をーー
「……礼奈、今夜は寝かさないよ」
「ホント? 嬉しい……じゃあもっかいシャワー浴びてこようか」
「うん……でもシャワーは帰ってきてからね」
その言葉に、礼奈は態度をがらりと変えて、きょとんとした。
「帰って? どういうこと?」
「礼奈、私と夜のお散歩……デートしよ」
そして無防備な礼奈の唇にキスをくれてやった。
「デート。今から、デート?」
「私たち、最近行けてないじゃない。それに……礼奈と一緒なら、どこにだって行きたいから」
その後、礼奈はすぐにオッケーしてくれた。
なんとか、熱すぎる運動は回避できたみたいて、私はほっと胸をなでおろした。
でも、デートに行きたいのは建前とかでは断じてない。本心だ。
いつも出かけるのはおっくうで、夏だからそれはさらに加速している。
でも、礼奈と一緒の道を歩いていくって、私は決めてるから。というか、歩きたい。
礼奈と私が隣に居て見る世界なら、普通の景色だって華やかで、美しい景色は何倍にもーーって、言いすぎかな。
というか、これは普通にお出かけするアウトドア人間になってから言うことだ。
秋になって心地よい陽気になってきたら、どこか旅行にでも行きたいところだ。お金があればの話だけれど。
これからのことに想いを馳せつつ、熱帯夜デートに向けて着替えをしていく。
「ん、礼奈、タンクトップはやめた方がいいよ」
「えー、なんで? 涼しーじゃん」
「礼奈はおっぱいがこぼれるから」
納得してそそくさと着替え出す礼奈。
途中、瑠美はこぼれるおっぱい無いとか言い出したのでデコピンをくらわした。
礼奈のおっぱいを堪能するのは世界に私だけで十分だ。そこを心配してやったというのに、なんと失礼な女だろう。
二人とも涼しげな夏色コーデに身を包んだところで、出発。
<つづく>
夜のお散歩を書こうとしたら前置きが長くなったので。なにげにこの作品、続きものは初めてですねぇ




