ハロウィン
簡単キャラ紹介
瑠美-主人公っぽい。専業主婦に近いなにか。若干恥ずかしがりだったりもする。黒髪ストレート。
礼奈-活発人間。時々変態。ちゃんと働いてる。金髪ストレート。
二人はラブラブなので同棲してます。
『トリックオアトリート』
ハロウィン。
十月のフィナーレを飾る謎のイベントである。
何故謎と称するかというと、この日になにをするべきなのか私ははっきりと知らないからだ。
巷では色々やっているようだが、私ーー名前は瑠美というんだけどーーには、特に関係ないように思える。
今日も私は暇を持て余してダラダラとニートを満喫するのだ。
そんな決意を固めているとーー来客を知らせるベルが鳴った。
重い腰を上げてなんとか玄関へ。そして、ドアを開けたら……魔女が居た。
金髪で、よくある魔女のローブと帽子を身につけた可愛らしい魔女。可愛らしい、というのは私から見た補正がかかっているので、実を言うと彼女の年齢的に子供っぽい仮装はどうかと思う。
どうやら、来客ではなく帰宅人だったようだ。
「トリックオアトリートォ! お菓子をくれなきゃなにかするぞ!」
「……それ、どうしたの?」
「売ってたから買った。んで? お菓子は?」
残念ながら、今家にお菓子は無い。私のダラダラ生活のコストとして消費されてしまったからだ。
「お菓子なんて無ーいよ。おかえりなさい」
「ただいま帰りましたーっと。お菓子無いのかぁ……じゃあ、いたずらだな」
鋭く光る眼光が私を見据えた瞬間、唇と唇が重なった。
「魔女からのキスだ。ありがたく受けとっときな!」
ご機嫌そうな態度をちらつかせて、部屋の奥へ入って行った。
彼女の名は礼奈。
私の恋人だったりする。
「こ、これじゃあただいまのキスと変わらないんじゃ……」
「ん? ならもう少しえっちないたずらが欲しいのかなぁ」
そんなこと、言われなくても決まっている。
「れ、礼奈が望むなら……」
両者共に顔を赤くして、沈黙が流れた。
『仮装したい』
「瑠美の料理はんまいなー」
晩御飯を貪りながら、唐突に礼奈はごまを擦り始めた。伊達に引きこもりやってないわけで、料理には自信がある。
「褒めてもなにも出ないよー」
「溢れんばかりの愛を貰ってるから、もうお腹いっぱいだぜ!」
まだ食べ始めたばかりなのに、お腹いっぱいでは困ってしまう。
『○○では、仮装した人々が……』
テレビから流れるニュースでは、待ち行く仮装人間たちの映像が映っている。
無駄に凝った仮装から、低予算の極みのような仮装まで、様々。
私の目には、その光景が少しばかり楽しそうに見えてしまう。輝いて見えてしまう。
私も、あんな所で輝きたいなーーなんて。
「仮装、してみたいんでしょ」
「うぇえ!? そ、そんなこと一言も言ってないけど!」
「いやバレバレだから。そんな瑠美のために……」
「ために……?」
息を飲んで、告げられる言葉を待つ。
「ま、ご飯食べてからにしよっか」
息を飲んだ甲斐なく、雰囲気ブチ壊しである。
礼奈がなにをしてくれるのかを心待ちにしながら、ご飯を食べ進める。少し多く作ってしまったことを後悔してしまっていた。
そしてーー
「トリックオアトリート!」
今度は家の中に金髪魔女様が現れた。
「もうトリートされてしまったわけなので、魔法をかけてあげようと思う! じゃ、目閉じててー」
言われた通りに、目を閉じて待つ。
すると、頭になにかを付けられたような感覚。手と足に、もこもこしたなにかを被せられた感覚。あと、ついでにお尻を撫でられた気がする。
「よーし、魔女の魔法がかかった! じゃ、目開けてー」
目を開けてみるとーー鏡の前。その鏡には、いつもと違う私が映っていた。
ネコミミに、もこもこ肉球手袋と靴下。あと尻尾。色は全て黒。
「これって黒猫……か、かわいいかも」
「かわえー! 瑠美かわえー! ネコ! にゃんにゃんってして!」
突如興奮しだした魔女。その興奮を抑えられるだろうか……。
「に、にゃん……にゃん」
魔女の鼻から鮮血が溢れ出した。
「礼奈大丈夫!?」
「ほ、本望だぜ……いや、まだだ。ネコみたいに、ぺろぺろしてもらうんや……」
「鼻血垂れてるから! 床を汚さないで!」
その言葉を聞いた途端、礼奈に見えないなにかが突き刺さった。
「あ、あたしより床を……くそっ、せめて私からぺろぺろ、して……うっ」
「礼奈ーッ!」
鼻血はすぐ止まったのでどうにかなった。
『翌朝系ハロウィン』
「んはーっ! おはよー瑠美」
パジャマを大胆にはだけさせた礼奈が起きて来た。どこが見えてようと慣れっこなのでスルーである。
「おはよー。それと……ハッピーハロウィン」
わかってはいたが、それを言うと礼奈は首を傾げた。
「あれ? ハロウィンって昨日じゃ……」
「気にしないで! とりあえず、朝ごはんはカボチャのパイにしといたから……お菓子でトリートしてないし」
「……はぁ。こういうことしてくるから瑠美は可愛いんだよなぁ!」
テンション高めで向かってくる礼奈。なにをして来るかはだいたい予想がつくのでーー
「礼奈、歯磨きした?」
「あ、してないや。ちゅーはまた後でね〜」
<続いたり続かなかったりする>
ハロウィンの話書きたくてキャラを引っ張り出してきた感じです。これからちょこちょこ更新します。二人の過去とかも書きたいかなぁ。