8話「勇者、愚痴聞いて出発する。」
「俺だって頑張ってるんだよ。初出社だと思ったらこんなところに飛ばされて・・・ヒッグ」
俺がいるからと言って飲み始めたら、愚痴がはじまって、もうこの台詞何回目だ。
魔物の大群倒して、共同で野営始めたのはいいんだけどさ。
「女帝様も絵画で見たときは、髪の毛も白くなくて深窓の令嬢って感じだったのに。実際に会ってみると白髪の肝が据わったまさに女帝だよ。そこで察すりゃよかったのに俺は。ヒック」
「絡み酒で、繰り言の愚痴かよ。めんどくさい事この上ねぇ。」
羽虫はまだ、比較的まともな性格そうな神父の所に行ってるし。
「本当に見た目と材料に目をつぶればすごくいいですよねこの料理。」
「これも、私の信じる神の教義に則った結果だ。」
どう言う教義だよ。
「あの人は、いつもそう言って暴れるし。それでもましな方なんですけどね。」
周りの話は聞こえてるんだな。
「他にも・・・」
「寝ろ!!」
もう力技だ!!睡眠毒打ち込んでやる。
「睡眠薬かい?」
「矢に塗ることも多いし、毒薬はある程度そろえてる・・・って興味あるのかよ。」
「まぁ、こういうのは魔法で代用する人多いからね。僕ぐらいになると数キロまで届くようにするのもわけないし。」
「じゃが、それは個の才能に左右されるからのぅ。」
「議論を始めるのはいいが俺を巻き込まないでくれ。あと俺は寝る。」
聞いちゃいないだろうけどさ。
「頭痛い。」
「あれだけ飲んでいればな。」
「あと不眠症だったのに、久しぶりに眠れた気がする。」
何と言うか、ご愁傷様。
「そういえば、そっちはどこに向かってるんだ?」
「ああ、この付近に魔王軍の研究施設があるらしくてね。」
「で、他の奴らが嬉々としていると。」
「ある程度の線引きしてくるから余計に厄介でね。あいつら。いっそのこと問題起こしてくれたらどうとでもなるんだけど。」
「そうなったら、お前もやばいぞ。」
問題起こしたら基本は強制送還らしいが。
「その厄介な人たちが先に進んで行ってるのですが、いいんですか?」
「えっ!!」
「そうなりそうとは思ってたが、本当にやりやがるとは。」
「とりあえず、あんたたちも手伝ってくれ。暴走止められる奴は一人でも欲しい。」
「暴走止められるかはわからんが、研究施設潰すのは手伝うよ。」