7話「勇者、暴走野郎Yチームに出会う。」
「この距離からでもわかるって、派手にやってるな。」
船から降り、新しい土地で羽馬に乗って旅を続けていた。
「本当ですね。包帯グルグル巻きの人が武器持って暴れまくって、神官っぽい人が魔法で魔物を吹き飛ばしてますね。」
「俺にはそこまでは見えてないが、それでも大概だろ。暴れた後がここからでもわかるって。」
結構な大群に囲まれているみたいだからな。
「それで、援護しに行くの?ほっといても大丈夫そうだけど。」
「ほっといても大丈夫そうだが、援護してやるか。行くぞ羽馬、羽虫。」
行かない理由もないからな。
「あぎゃげぎゃ!魔物共もっときやがれまだまだ試したい武器は大量にあるんだからなぁ!!」
包帯を全身に巻いた男『アルバート』は特徴的な笑いをしながら剣を振るっていた。
「くくく、まずは死ね、話はそれからだ魔物共。」
がっしりした体つきの無精ひげを生やした神父『カーティス』はいかにも悪人ですと言う笑いをしながら衝撃波の魔法で魔物を吹き飛ばしていた。
そして、戦棍を持った青年『竹中宏』はその傍ら胃薬を飲んでいた。
「今暴れている二人はまだまともに戦ってるからいいけど・・・」
「さて、補助術式も終わりましたし空からでかい岩の雨でも落としますかね。」
「いや、ここいら一体の地質を変化させ魔物どもを沈めるから、一度上に吹き飛ばしてくれんかの。」
フード付きローブを着た魔術師『キース』と白衣を着た初老の男『レイモンド』は、露骨に周りの被害を気にしない方法を実行しようとしていた。
「ちょっと待った!キースさん、レイモンドさんここ街道付近ですよ。そんな被害は出さないでください。」
「大丈夫、魔物を倒すためだって大義名分があるからね。」
「そんな風に暴れまわっているから、金がなくなるんですよ。ただでさえ被害出した分は負担しなきゃいけないのに、そのうち研修費とかも取り上げられますよ。」
「仕方ないのぅ。わしは新しく開発した武器を試すとするか。」
レイモンドは白衣の中から小銃を取り出していた。
「ふむ、なら理論で解っているだけの『生体の部分転移』の実証をしますかね。」
「どうなるか結果が解りきっているけど、もう好きにしてください。」
そうしている間に勇達が近づいてくるのであった。
「さて、手助けしようと弓構えたら魔物がエグイことになってるんだが。」
これ、S○N値チェックもんだぞ。あと頬に何かかすめたな、一瞬ヒヤッとしたんだが。
「それと、羽馬よく攻撃に気が付いたな。あたってたら多分死んでそうな奴。」
「馬の視界って結構広いからね。正面は見えないけど。」
見えてたって事か。
「とりあえず、攻撃してきた奴はとっちめる。何処から来た。」
「さっきまで暴れてた他勇者の所。」
「とりあえず羽虫、視力強化だ。攻撃してきたってことは敵だろ。」
「口論しているみたいだよ。向こう。」
「それ本当か羽馬。」
「うん。」
・・・文句言いに行くだけにしておくか。向こうもなんかあるみたいだし。