6話「勇者、港町にて」
「港町だけあって海鮮類がうまいな。」
「ほんとですね。」
あの後、陽介たちと別れ魔物を撃退しながら進んで港町として発展した国にたどり着き、そこの適当な定食屋で食事をしていた。
「そういえば、この国にも勇者がいるみたいだな。」
「すでに出発したみたいですけどね。」
「まぁ、ここの王は地味なおっさんだったし、勇者もそんな奴出会っても気づかなかったりしてな。」
「それは、言ったらダメだと思いますよ。」
「いつもの事だろ。おっちゃんお代わり。」
「いつものことにしたらダメだと思うのは私だけなんですか?私もお茶を下さい。」
「気にするな。俺は気にしてない。」
「普通は気にすると思いますよ。」
「普通ってなんだ、常識とかいうならそれは18歳までに集めた偏見のコレクションだというぞ。」
「・・・私の方が正しいですよね。周りの人に聞いたら私が正しいって言ってくれますよね。」
やばい、少しいじりすぎたかな。
「まぁ、これから船で進むから甘い物ぐらいは買ってやるよ。ある程度だけどな。」
「本当ですか!」
露骨に機嫌が直ったな。
「本当だよ。おっちゃん勘定。」
さて、船のチケットを取りに行きますか。
「で、港に着いたときに急に魔物が現れるんだよ。」
「日ごろの行いのおかげじゃないですかね。」
「だからってさぁ、」
いきなり巨大タコは無いだろ。
「おまけに、獣王の部下とか言ってますし。」
「それはまだ予想できる範疇だからいい、漁師がノリノリで狩ろうとしてるのがな。」
「正直、漁師だけで魔王倒せるんじゃない?」
「羽馬、宿で待ってるって言ってなかったか。」
明日発の船に乗る予定だったし。
「何か、面白そうな事が起こりそうだったから来てみた。」
「神出鬼没なのは知ってるが、宿の壁とか壊してないよな。」
「あの大ダコ倒したら、報酬貰えそうじゃない?」
「壊してきたと。」
道中で結構稼いでるからいいけどさ。
「倒しに行かないんですか?」
「羽虫、今までの奴は急所を貫いて倒してきたがタコの弱点ってなんだ?」
「私は知りませんよ。」
「俺もだ。」
「つまり無理ってこと?」
「正直しんどい。」
どれだけ打ち込めばいいんだろうな。
「内側から茹でるというのはどうですか?」
「その火力出すの、羽虫お前だぞ。」
「獣王の時、大丈夫でしたし行けると思いますよ。」
「じゃあ、やるだけやってみるか。」
ほっといても、漁師の皆さんが倒してくれそうだけどな。
「・・・・倒したら、即解体してお祭り騒ぎか。たくましすぎだろ。」