15話「勇者、魔王の居城にて」
魔王がいる地にはかつて国があった、勇者召喚が始まるきっかけとなった国があったのだ。
今は、そのきっかけとなった勇者の魂が妖精となり、ただ魔王として存在しているのである。
「敵の数は・・・嫌になるほどいるな。」
勇は視力強化の魔法で、魔王城周辺を確認していた。
「獣王の時とどっちが嫌になった?」
羽馬は軽口をたたきながら答えた。
「今の方だな、敵の密集具合が段違いだ。それに空戦できる奴も多い。」
勇は苦虫をつぶしたような顔で続ける。
「羽虫、魔王の位置はわかるか?」
「残存している大きな、建物の中心部にそれらしい大きな力を感じ取れますね。」
羽虫が魔王らしき力を探知し、その場所を聞いた勇はさらに嫌そうな顔をした。
「一番敵の数が多そうなところか、強行突破も難しそうだしどうしたもんか。」
そうしてあたりを見渡していると、魔王城の向こう側から何か大群が押し寄せているのが見えた。
「羽虫、魔王城の向こう側にいる軍団が何かわかるか?」
「へ?えっと、あれは陽介君たちです。」
「陽介と言うとあの餓鬼達か、そういえば魔獣を手懐けてたな。」
勇はそういいつつ、羽馬にまたがった。
「あの軍団だ、混戦が起こるだろうから餓鬼どもを援護しつつ魔王の元に向かうぞ、羽虫、羽馬!!」
そして勇は魔王城に突入していった。
「陽介達、援護に来たぞ!!」
「勇兄ちゃん!!」
勇は空から魔物を処理しつつ戦っている陽介たちに声をかけた。
「と言っても、さすがに相手の数の方が上か・・・」
陽介達の魔獣の方が練度が上とはいえ、数は魔王軍の方が上回っており、じり貧になっていくのは明白な状況であった。
そんな中はるか後ろから聞き覚えがある声が聞こえてきた。
「他国の勇者さん達、伏せてください!!」
「陽介、魔獣達にも伏せるように指示を出せ、たぶんやばいのが来る!!」
「うんっ!!」
そして、全員が伏せたすぐあと、すさまじい光線が魔王軍に大打撃を与えていた。
「こんなことできるのは多分、あの暴走野郎たちか。」
「暴走野郎たちって、勇兄ちゃん知ってるの?」
「一応な。」
そう言って再び羽馬にまたがると後ろから聞き覚えがある声が聞こえてきた。
「試作型魔導砲、一応は成功だがの。これはもっと改良せねばならんの、魔力の充填にかなりの時間がかかりすぎる。」
「共同開発した身としては魔力の充填自体に価値があるからね。そこは協力しますよ。」
フード付きのローブを着た魔術師『キース』と白衣を着た老人『レイモンド』はそんなことを話しながら近づいてきた。
「そこのマッド研究員ども、そんなことより援護開始してくれ。それと他の奴らはどうした。」
「急いてはことを仕損じるぞ若いの。魔導砲はおまけみたいの物でな。」
「本命はこのあとやってくる空飛ぶ船ってね。」
そう言うと、空から巨大な飛行物体がやってきた。
「空飛ぶ船って、どこかの宇宙戦艦みたいなのじゃないか。」
「うちの勇者から話を聞いてね、そこから私たちで再現したというわけさ。」
「他の仲間はそこに乗ってるわけだの。」
「竹中の奴もはっちゃけやがったか。」
勇は少しあきれたような顔をしてから、戦艦から他3人が出てきたのを確認し上空へ向かっていった。
「俺は他の奴らの援護をしながら魔王の元へ向かう!!」
「勇兄ちゃん、それは無茶だって!!」
「今の戦況がこっちに傾いてるうちに決めた方がいい!!」
そうして、勇達は魔王がいる位置へと向かうのであった。




