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10話「勇者、金を稼ぐ。」

 帝国の暴走軍団から別れて数日、魔王討伐の旅は順調に進んでいた。

 その順調な旅にも一つ問題が出てきていた。はっきり言うなら金が無くなってきた。


 今までの旅の間は、村や町についたら何らかの頼みごとを聞いてその報酬を貰い、貰った金で破滅しない程度に豪遊するというのが今までのサイクルだった。

 でも最近では、依頼を必要としていない村か破壊された村しか見つけられなくなっている。


「仕方ないか。」

「何が仕方ないんですか?」

「こっちの事だ気にするな。」

「はぁ。」

 あのおっさんの言うことを聞かないといけないか。




 俺みたいな勇者が金を得る方法は主に村や町からの依頼が多いが、その場合食料などの現物支給になる場合も多々ある。

 手っ取り早く現金となるものを手に入れるには、王からの依頼を受ける事になる。

 他国の王からの依頼を受けることも多いのだが、どこかのマッドのおかげで連絡手段や物の移送手段がそれなりに発達しているので自国の王からの依頼が結構多いのだ。

 ちょっとアレな依頼も有ったりはするが、よくありそうな事でもあるからなぁ。




「というわけだ。仕事くれ。」

「何がどういうわけかはわからぬが、ちょうどおぬしに頼みたい仕事が一つあったのだ。」

「どういうのだ?」

「とある国の勇者を粛清してほしいというのだ。」

「強制送還はどうした。」

「少々事情が特殊なのでな。」


 曰く、魔力が桁外れに多く魔法を無理やり掻き消せるらしい。書いた絵の上にインクダバーするようなもんか。

 その上、その能力で他の国の勇者を人質(肉盾)として一人連れているらしい。

 そのおかげで粛清が確定したらしいが、色々と政治的な事情もあってその仕事をするのが俺になったらしい。

 俺自身は金ががもらえればいいから、問題は無いけど・・・な。


「さて、羽虫も寝てるし行くか。」

「こういうことにはいつも置いて行くよね。最後の良心?」

「そんなところだ。」

 こんな仕事しといて良心もくそもないとは思うけどな。






「最近、しけた村しかなねぇな。ロクな飯も、酒もありやしやがらねぇ。なぁ女、そう思うだろ。」

 身なりを最低限整えた若い男が、元は身なりが良かったと思われる美人の少女に話しかける。


「あなたには、優しさと言うものが・・・」

 そこまで言ったところで、少女は思い切り腹を蹴られた。


「うるせぇな。お前は体がいいから連れてやってるだけだ。俺の思うような答えだけしやがれ。」

 男はそう吐き捨て、また酒を飲んでいた。



「いい感じに腐ってやがるな。こっちに気付いて無いくらいには。」

 空からなんて考えたことも無いのかね。


「行動も、言動もまさにそうだね。」

「行動は見えるが、言ってることもそうなのか。」

「そうだよ。まぁさっさと終わらせるのが吉じゃない?」

「そうするか。」

 魔法ばかりで発達していて、物理で遠くからとか考えてなさそうみたいだしな。


 一応人質は生かしとかないといけないから、しっかり狙って・・・よし、頭に当たったな。


「人質の回収と、止めの確認しに行くぞ。」

「了解。」




「いきなり・・・どうしたんですか?もしかして・・・」

 いきなりの事で、処理が追いついてないのか?自分もひどい事されたのに清々したとかは思わないのかね。


「おう、生きてるな。」

「これはあなたがやったんですか?」

「ああ、依頼でな。息は無いみたいだが、念のため心臓の方にも一発撃ちこんどくか。」

 念には念をだな。


「なにも殺すことは無かったじゃないですか。見たところあなたも勇者みたいですし、同じ所から来た人を殺して何とも思わないんですか?」

 自分が受けてた事とか棚に上げて何言ってるんだこいつは。


「仕事だからやっただけだ。それにこの世界の人間と俺達の世界の人間、どう違うって言うんだ。」

「それは・・・でも・・」

「こいつも、俺も同じような屑ってだけだ。殺った相手が違うだけのな。」

「そんな、あなたはどこかくるってます。」

「そんなこと、とうの昔にわかってるよ。」

 仕事終ったんだし、早くこいつ回収してくれないかね。

 時間かかった上に暗い話になったッスね。

 いつもの事と言えばそれまでッスけど。

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