1話「勇者、召喚される。」
知らない人は初めましてッス。知っている人はお久しぶりッス。
俺、今川勇は異世界に召喚されたということになるんだろう。
気が付いたらわけわからない場所で、えらそうなおっさんが玉座でえらそうに座っているのが見えたからだ。
「異世界から呼び出された勇者よ。わしの話を聞いてくれるか?」
「そんなことより、元の世界に帰してくれ。」
「わしの言うこと聞かんと帰さん。」
「こっちに権利なしかよ。」
酷い話だこれが。
「で、話とは?」
「おぬしを召喚したのが、魔王を倒してもらうためだ。」
「一般人に?」
こちらは只の一般人なのである。
「召喚された者は何かしら力があると、文献にはあったが?」
「こちらは、元の世界でもごくごく普通の一般人だったからな。せめて、戦闘訓練とこの世界の通貨単位とかの教育を受けさせてくれ。あと、武器は弓をくれ。」
「わかった、そのように手配してやろう。」
こうして、俺の勇者としての第一歩が始まった。
そして、次の日。
「で、この弓人間に引けるのか?」
「だから、鎧を先に着ろと言ったのだ。この世界の鎧は、内部に魔法のルーンが刻んであってだなそれにより大気中にある魔力を使用して肉体の力を底上げするのだ。物によっては魔力壁を生成するものもあるのだ。」
「つまり、不思議パワーで疑似マッソーになれると。」
「大体あっているが、指導者には敬語を使え。この国の王はその所気にしない性格だから問題ないが他の所ではそうも言ってられんぞ。」
「了解ですっと。・・・あと、馬術の訓練もしたいんだ・・・失礼、ですが。」
実家の神社で、流鏑馬の練習してたからそれを生かさない手は無いよな。
「問題ないが、旅立つときに連れて行くことは無理だぞ。生き物は調教などに時間がかかるからな。」
「損害がでかいんですね。」
「そういうことだ。」
そこまで、面倒は見てはくれないと。
さらに別の日。
「で、城の一員として教育受けさせているんだからって、町の近くパトロールさせるのかよ。おまけに一人で。」
「ん?君が勇者として召喚された奴か。」
「門番さんお勤めご苦労様・・・です。」
「別にタメ口でいいよ。それはそうと、森の方で変な報告がされているから少し見に行ってくれないかい?」
「変な報告って?」
「奥の方に進もうとすると急に寒気がするとか、おどろおどろしい声が聞こえるとかそんな感じの報告だよ。今の所、特に実害は無いけどね。」
「パトロール任されているんだが。」
「そのことはこっちから言っておくから。見に行ってくれないかい?」
「了解。じゃあ行ってくる。」
断っても、断れなかっただろうな、あれは。
「確かに、急に悪寒を感じたりするな。」
立ち去れ立ち去れともうるさいし。
「五月蠅いだけに羽虫がいたりするかもな・・・何だこりゃ。」
羽の生えた馬と光の球?