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私の文字通り人生を賭けた攻防

作者: スタ

 息抜き程度に書いたものなので誤字・脱字があるかと思いますがよかったらどうぞ。

 とある魔法の存在する世界。

 魔法を主とした様々な分野を取り扱う学園の木々が生い茂る中庭のベンチで一人の少女が溜息を吐いていた。




 私フェルメール・イオルには、前世の記憶がある。それも、六つ。今回で七度目の人生となる。

 六回も転生は多いなって思いますよね?

 でも、今回合わせて七度の人生足しても日本人女性の平均寿命にも満たないんです。

 六回も人生をやり直しているのに。

 一回の人生で二十歳以上も生きれなかったんです。

 今度こそはヨボヨボのお婆さんになるまで生きるんだって、毎回決意するんですけどね?

 それと言うのもあいつの所為で・・・!!!

 おっと、取り乱してしまいましたね。失礼。




 私が彼と初めて出会ったのは、一度目の人生の最期の時だった。

 それと言うのも、私が学校の帰り道横断歩道を渡ろうとした時だった。居眠り運転のトラックが私目掛けて突っ込んできたのだ。

 咄嗟の事で動けない私は突如横へ押し出された。

 私を突き飛ばしたのは、私より年が少し上の大学生であろう一人の青年。

 青年の向こう側には大学の友人であろう人達が青年に向かって何か叫んでいる。


 私は助かったのか。

 そう思った。

 ええ、思いましたよ。





 が、しかし。


 突如訪れた後頭部の衝撃で私は意識を失った。

 気が付けば私は新たな人生を歩んでいた。


 もう吃驚ですよ。

 青年のおかげで私は助かったのかと思った矢先に運悪く突き飛ばした先にガードレールが有り運の悪いことにそのガードレールに頭を打ち付けてしまい打ち所が悪かったのかポックリと逝ってしまった。


 あれ?ここは青年のおかげで助かり、助かった私は名前も知らない青年の分まで強く生きようとか言う感動的な流れになるんじゃないの?

 トラックに引かれるのを助けられたかと思ったら、今度はガードレールに頭を打ち付けて死ぬとか青年は助け損だよ!!

 青年に申し訳ないよ!!

 ごめんなさい!助けてくれたのに死んじゃって!!

 一度目は青年と一緒に死んじゃったけど二度目の人生は青年の分まで長生きしよう!!


 そう思ってたんです。

 それなのに!!

 



 二度目の人生は何とも間抜けで呆気ない終わりを迎えた。

 私が五歳の頃、お隣に引っ越してきた同い年の少年。

 ポワポワとした雰囲気を纏いニッコリと笑う少年に何故だか既視感を覚えた。

 はて?何処かで会ったかな?

 そんな疑問が過ぎるが気のせいだろうと思い直した。

 その少年とはお隣と言うこともあって何かと一緒にいることが多くなった。

 まあ所謂幼馴染と言う奴ですね。

 そんな幼馴染な少年に私は殺された。

 あ、刺し殺されたとかそう言う悪意のある類ではないんです。


 小四の夏休み。

 少年と近くの川へ川遊びに出掛けた時の事でした。

 今回はどうやら自然豊かな田舎の家庭に生まれたみたいで、よく少年と山を駆け回ったり川遊びに興じたりと田舎暮らしを満喫していました。

 今日も少年を誘って手土産に川魚でも取って帰ろうと川へと出掛けたんです。

 何時ものように川辺で魚を追い駆けていました。

 夢中になっていた私も悪かったと思うんです。



 が、そんな私に少年は


「危なっ・・・ッッ!!」


 そう叫んで走りよって来る少年。

 隣で豪快に滑る少年を唖然と見つめる私。

 そして何故か巻き添えを食う私。


 川にも浅い所と深い所があって、少年が滑ったのはまさに浅い所から急激に深い所に変わっている場所。しかも、川の深い所は流れが速い。当然そんな突然な出来事に対処なんて出来ずに溺れた。

 そして運の悪いことに二人で出掛けていたので助けを呼べる人も居らず二人揃って溺死。

 二度目の人生を長生きしようと誓った矢先に若くして死ぬとか不運すぎだよねぇ。何て考えながら、走馬灯の如く人生を振り返っているとあることに気が付いてしまった。


 一度目の人生の時、私が死ぬ前。赤信号で止まっていた時、反対側に居た大学生のグループの一人が何とも天然臭のする人だなと思っていたことを思い出す。内容は分からないが周りの友人達が呆れてため息を吐いているのに対し、その青年は笑って首を傾げている。

 そんな天然な青年に助けられた(助かってないけど)のかと思ったのと同時に、その青年の笑顔と私の幼馴染の少年の笑顔が被る。

 初めて会った時の既視感はそれかと思ったのとどういうことだ?という疑問が頭を過ぎると共に私は二度目の人生を終えた。




 そして三度目の人生でクラスメイトとして会った少年の笑顔にまた既視感を覚えたと同時に、頭の中に警鐘が鳴り響いているのに嫌な予感を覚えた。

 その年の大晦日。何故か同じクラスになってから異様に懐かれてしまった少年と数人の友人達とで初詣に出掛けた。

 有名な神社なだけあって出店も軒を連ねている。

 参拝しておみくじを引いてさて、出店を回ろうと言う皆の意見に賛同して出店巡りに興じていた。

 たこ焼き。綿飴。甘酒・・・・

 色々な出店を回って皆でワイワイやってた時だった。


 何故そうなった!?


 その単語が駆け巡ると共に私の意識はブラックアウトした。


 人混みがひしめく中で可能性はある。

 ただ、何故躓いた少年に押されてドミノ倒しのようになった人混みに背中を押されて、丁度食べていたたこ焼きを喉に詰まらせて死なねばならない!?


 クッ・・・!!!

 こんなことならおみくじを信じるんだった!!

 背後に注意とかピンポイントだな!?


 そしてクラスメイトの少年はやっぱりあの青年だったよ!!

 ま、直感だけど。




 それからというもの、私の転生の近くには必ずあの青年が居た。


 鳥に転生した時、種族を変えて逃げ切れたかと思ったのに兄弟の一匹を見た時に地獄に突き落とされたよ。

 ホラーだよ。

 どこまでついて来る気だよって思ったよ。




 そんなことを繰り返して、七度目の人生で異世界へと転生した。

 魔法の存在する世界。


 一瞬、異世界まで来ればという思いがあったが今までのことを考えるとその思いも打ち砕かれる。

 だから、私は考えた。


 あいつに必ず出会うというのなら、それまでに出来る限りの事をしようと。

 幸い此処には魔法というものが存在するのだから。


 私は手始めに自身の身を守る為強化系・あらゆる異常耐性の魔法を、そして怪我をしても治せるように回復系の魔法を自分の脳にこれでもかと詰め込んでいった。

 幸い私には魔法の才能があったことだし。


 それでも不安は拭えずに、今度は魔法以外にも手を出した。

 薬学、護身術、肉体的強化の為のロードワークなどなどあらゆるものに手を付けた。


 しかし、相手は疫病神いや死神なのだ。

 万全を来すに越したことはない。


 そして私は蘇生魔法、不死の魔法といった禁術にまで手を出していた。知識としてだが。知っていて損はないと思う。

 そんな私についたあだ名が「不死身のフェル」。

 何とも今までの私に矛盾した名前だ。

 だがしかし、これは奴に勝てるのでは?と言う自信にも繋がった。


 ふっふっふ。

 くるなら来い!!

 返り討ちにしてくれるわ!!



 と、のたまったのも過去の思い出です。

 返り討ちになんて出来ませんでした。

 自分自身を守るのに必死です。




 奴が来たのは、学園に入って数年のこと。

 途中編入という異例で彼はクラスメイトとなった。

 どうやら彼は魔法の暴発をやらかしてしまい、自身のコントロールの為にこの学園に来たらしい。

 何とも不安を煽る内容だ。


 その不安は矢っ張りと言うか当たった。


 コントロールが苦手な彼は何故かその被害を私に向けてくる。

 私はそれを必死で躱す毎日だ。

 周りはそれをコントを見るように笑っている。


 クソッ!!何故だ!?





 中庭のベンチで私は盛大なため息を吐く。

 今は昼休憩でランチボックスを片手に座っていた。

 何時もは親しい友人と昼食を摂るのだが、今日は一人になりたい気分だった。

 ぼんやりと空を眺めると数羽の鳥が自由に飛び回っているのが見える。


 ああ、平和だ。

 このままこの時間が続けばいいのに。




 そう思ったのがいけなかったのか、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。

 走り寄って来るのは例の彼だった。

 何故か編入して来て早々私に懐いた彼は、事ある毎に私の周りをうろつく。

 彼とは関わりたくないのに、彼の無邪気な笑顔に毎回毎回絆されてしまう。


 アレだよね。

 悪意がない分彼って本当にたちが悪いと思う。



「フェルちゃん。次は移動教室だよ。一緒に行こう。」


 走り寄って早々無邪気な笑顔で言う彼。

 そんな彼を見て盛大なため息を一つ吐いて立ち上がる。



 さてと、今日も頑張りますか。






 そして、私の文字通り人生を賭けた攻防は続くのであった。



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