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天敵とまさかのTAG&KISS  作者: 櫻坂 蒼
昇進、そして異動
2/12

本庁刑事としての一日目 ~朝~

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飲み会の3日後、4月2週目の月曜日の朝。

いつもよりも、目覚ましは30分早い。

広くはないが小綺麗なワンルームマンションが、彼女の自宅だ。7階だての4階。

テレビをつけて、軽い朝食を食べながら天気を見る。

東京は晴れ。気持ちいいくらいに、東日本全域で太陽マークが点滅していた。

幸先のいいスタートになりそうだな、などと考えながら食べ終えた皿を片付け終えたら今度は着替え。

基本的には汚れというものが生理的に無理なので、汚しっぱなしは絶対にしない。皿もしっかりと拭いてからしまっておいた。

洗顔等を済ませたら今度は鏡に向かって手早く化粧を済ませる。あいにくドレッサーをおいても室内の調和が乱れないほど広い部屋では無いので、大きめな手鏡とにらめっこして口紅を引く。普段からそんなに厚い化粧は趣味ではないので、あまり時間はかからない。

着て行く服は、あらかじめ決めておいた。清純なイメージであまり主張しない白のブラウスは、長身で目元の切れ長な彼女によく似合う。

さていよいよスーツを来て出陣...というところで、一つ忘れ物に気づいた。

「これ忘れちゃダメだよね...危ない危ない...」

新しい定期。行き先は霞が関だ。

何もかもが新しい。スタートでつまずいている暇はない。

定期入れから古い定期を抜く。行き先はもちろん渋谷。

つい3か前まで渋谷署に勤めていたことが嘘のようだ。

渋谷行きの定期券を軽く小指で撫ぜると、彼女は霞が関行きの定期券とそれを交換した。

「行ってきます!」

この声が、渋谷署のみんなにも聞こえますように。

新しい環境への期待と不安、そして古い環境への慕情にも似た思い。

そんな思いを胸のなかに同居させながら、彼女は玄関を押し開いた。


普段あまり乗ることもない千代田線の混雑は想像以上だった。

自宅の桜新町から表参道に出る際利用する田園都市線の混雑に匹敵するほどだ。トンネルに反響して籠もる走行音。

(うわー、これは痛いな....)

ラッキーなのは、背が高いので呼吸には苦労しないこと。

ほんの少し背伸びをして、路線図を盗み見たその時、トンネルの暗闇に反射した自分と目があった。

(うん。いい顔してる)

ガラスに向かって軽く微笑み、再び路線図に目を戻す。その時、走行音にかき消されて聞こえにくいアナウンスが流れた。

「次は~赤坂、赤坂、お出口は...」

霞が関まで、あと二駅。

この調子なら、予定通りに到着できるだろう。

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