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突入

本当の最終話です。

さび付いたドアノブに手を掛ける。

軽く押すと、小さな悲鳴をあげながらドアが開いた。

「ふざけんなっ!!!」

そして、中からも悲鳴が聞こえてきた。

誰かが殴り飛ばされた瞬間だった。

うわっ、なにこれタイミング悪っ。ケンカか?

でも、仕方ない。ここはこっちのペースに持っていかなければ。

「お取り込み中すいませ~ん。話があってきたんですけど~。」

三人が、ぱっとこっちを向き、ばっと目を大きく開ける。

「あの~青空決死隊の皆さんですよね~。」

そこまで言って、にやっと笑って見せた。

「いや、『ミクロムーン子供平和委員会』だったけ?」

「なっ、なんで知ってんだよっ!」

一人がかみついてくるが、微笑みでかたづける。

「そう言う君は、神宮司息吹君だよね。

一昨日のバトルではリーダーをやっていたようだが、ここの委員長は誰だ?」

「・・・・・・俺だ。」

さっきまで、床に倒れ込んでいた少年が立ち上がった。

その顔には青いあざができている。

「うわあ、痛そうだね~如月彼方君。大丈夫? なんかあったの。

ま、それはいいや。今日は君たちに言いたいことがあって来た。」

「ちょっと待て、一つだけ訊きたい。どうして俺たちの正体が分かったんだ。

それからこの場所も。」

如月彼方が一歩近づいて訊ねてきた。

「ああ、きみたちねぇ、ゴールデンビートルズなめないでくれる。

そのくらいツルの情報網使ったらいちンちでわかんだよ。

青空決死隊で張ったらちょっとしか掴めなかったのに、

もしやと思ってうわさに聞いてた委員会で張ってみたら

あっという間にいろんな情報が入ってきたよ。」

三人が同時に渋い表情になった。

「いいかな、じゃ、本題に入らせてもらう。

これは、なんだ?」

俺が取り出したのは、小さな虫かごに入った金色のカブトムシだった。

神宮司息吹が答える。

「なんだって、お前らが捕まえた黄金の堅武斗虫だろ?」

「まだそんなこと言ってるのか、いい加減白状しろよ。

これは、ただのカブトムシだろ? ご親切に金のスプレーがかかってるけどな。

この俺に見破られないとでも思ったか? 他のヤツは騙せても、俺にはまるわかりだ。

あのバトルが君たちに仕組まれたものだったことも含めて。」

「それについては悪かった。謝ろう。

しかし、このバトルでゴールデンビートルズは変われたのだろう?

それならこちらは感謝される側だと思うのだが。」

如月彼方が挑戦的な目つきでこっちを睨んだ。

しかし、アザのついた顔ではいまいち迫力に欠ける。

「礼を言うつもりはない。そんなことのためにここに来たんじゃないんでね。

もう一つ、訊きたいことがある。何でいきなり俺たちを変えようと思ったんだ。」

しばらくの沈黙。

「依頼が来たのよ。」

棘すすきが初めて口を開いた。

「依頼?」

「そう。私たち『ミクロムーン子供平和委員会』はちょっと前まで、

自分たちの耳に入ってきたこの島の問題を解決してきたの。

でも、それもだんだん評判が上がってきて、今じゃいろんなところから

問題解決の依頼が来るようになったわけ。

で、今回は、あなたたちにやっつけられたあるチームのリーダーからの

バトルばっかり申し込んで、勝ち続けて、張り場ばっかり大きくなったチームに困ってるって

ハガキが届いたの。」

如月彼方が会話を遮るように入ってきた。

「そういうことだ、安川涼。こちらからも一つ頼みがある。」

神宮司息吹と棘すすきがはっとした表情になり、如月彼方を仰ぎ見る。

「実は、この委員会に」

最後までは言わせなかった。

「なあ、如月彼方。お前、気づいてた?

その顔のアザ、奇跡的な位置にヒットしてるんだぜ。

顔面って、一カ所だけ痛みをあんまり感じないところがあるんだよね。

見た目ほど、痛くないはずだよ。さあ、これはどうしてかな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「もう俺の話すことはない。さ、帰ろうかな。」

後ろを向いて、ドアに向かって歩き出す。

誰も、何も言わなかった。

ドアが閉まる瞬間、俺は言った。

「本当の仲間って、なかなか見つからないモンだぜ。」

ぱたん、と小気味のいい音がして、背後のドアが閉まった。

廃屋を出ると、

「大丈夫か、ヤス!」

「ケガしてない?」

「なに言われたんだ。」

心配の嵐が俺を待っていた。

「おいおい、話しただけだって。大丈夫だよ。」

タケがまだ言ってくる。

「なにを話してたんだよ。」

俺はふっと笑った。

「協力してくれたお礼の問題解決返しってとこさ。」



安川涼の背中がドアの向こうに消えてから、如月彼方は神宮司息吹に向き直った。

「いぶき、知ってたのか。いや、柔道三段のお前が知らないわけないよな。

だから、ここをねらったんだろう?」

神宮司息吹がそっぽを向いて言った。

「そんなんじゃねーよ・・・・・・」

「ねぇかなた、わかったでしょ。なんだかんだ言っても結局手加減しちゃうんだよ。

これが本当の仲間なんじゃないの?」

棘すすきの言葉はどこまでもやわらかい。

「ああ、そうだな。悪かった、あんなこと言って。俺、どうかしてたな。

ここから増えても、減っても、そんなの俺たちじゃないもんな。

大変でもいい。三人で頑張ればなんとかなるさ。

いぶき、かなた、これからも委員会やってこうな。」

「もちろん。」

「あったりまえだろ。」

二人の笑顔を受け止めてから、如月彼方は「よしっ」と立ち上がった。

「まだ、もう一仕事あるんだが。忘れてないか。」

そう言って、一枚のハガキを取り出す。

「あっ、依頼の返事!!」

「ご名答。」

「まだ書いてなかったのかよ。もうとっくに届いてる頃だと思ってたぜ。」

神宮司息吹の文句は棘すすきの一言で片付いた。

「いいじゃん、いいじゃん。みんなで書こうよ。」



      ミクロムーン子供平和委員会のみなさんへ

こんにちは。ぼくはとあるチームのリーダーです。 

昨日、ぼくのチームが「ゴールデンビートルズ」というすっごく強いチームとバトルして、

こてんぱんにやられてしまいました。 

張り場も取られました。 

近所のチームも全部「ゴールデンビートルズ」に張り場を取られてしまいました。         

僕たちの町では他のチームの張り場では遊べない、というルールみたいなもの

があるんです。 

このままでは遊び場所を全部「ゴールデンビートルズ」に取られてしまいます。 

他のチームもみんな困っています。 

僕たちの張り場を「ゴールデンビートルズ」から返してください。 

お願いします。     

           若須良也より



「ねえねえ、思ったんだけど、この依頼人の名前って・・・・・・」

依頼を読み直していた棘すすきが二人を呼んだ。

神宮司息吹がハガキをのぞき込む。

わかすりょうや

如月彼方は、はっと息をのんだ。


・・・・・・・・そうか、シナリオはあっちが握ってたってわけか。

俺たちは、とんでもない思い上がりをしていたようだ。



          若須良也さんへ

問題は無事、解決しました。ご安心ください。

「ゴールデンビートルズ」は、もう張り場を取ったりしないでしょう。

あなたとあなたのチームが平和であることを祈ります。                     

追申 こちらの問題も、おかげさまで無事、解決しました。

まったく、あなたにはかないません。

そちらに渡った情報は忘れて頂いて結構です。  

ご無礼をおかけしましたこと深くお詫び申し上げます。         

それでは、安川涼さんによろしくお伝えください。           

       ミクロムーン子供平和委員会より


読んでくださってありがとうございました。

これは中一の時にテスト前頑張ったものです。

発掘したので投稿してみました。

う~ん、まだまだですね。

もっと頑張りたいと思います。

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