抱いたまま、朝になる ― 何もできない夜と、煙の中でほどける心
掲載日:2026/04/30
泣き声は、途切れない。
小さくなっただけで、消えはしない。
背中を叩く手が、少しずつ雑になる。
一定だったはずのリズムが、崩れていく。
うまくできない。
こんな簡単なことも。
ただ抱くだけ。
ただ落ち着かせるだけ。
それだけなのに。
窓の外が白んでいる。
夜が終わる。
朝が来る。
また一日が始まる。
何もできないままの自分の上に。
昨日の言葉が、頭の奥で残っている。
『それ、本当に必要?』
必要かどうかも、わからない。
自分が何をしたいのかも、
もうよくわからない。
ただ、ここにいるだけで、
何かを減らしている気がする。
時間とか、空気とか、
この子の何かまで。
腕の中の重さが、少し怖い。
向いてないのかもしれない。
最初から。
静かに、そう思う。
口には出さないまま。
窓を少しだけ開ける。
冷たい空気が、ゆっくり入ってくる。
白い息みたいに、
薄い煙が外に溶けていく。
それを、ただ見ている。
何も解決していないのに、
それでも少しだけ、呼吸が楽になる。
ここにいてもいい気がする。
ほんの一瞬だけ。
泣き声と、自分の呼吸が、
同じ部屋に重なっている。
それでもいい、とまでは言えないけど、
朝方の煙
心がすっとする




