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イフェイオンside


エニシダとシオンが死ぬ前日に時は遡る。




イフェイオンはエニシダがメモリアに向かったという情報をつかんだ。


今度こそは絶対に彼女を見つけると意気込み、馬を走らせた。


休むことなく馬を走らせたおかげで、メモリアには三日で辿り着くことができた。


戦で休むことなく戦ってきたおかげか、眠くなることも疲れることもなかった。


でも、そのせいで目はいつもより鋭くなっていた。


そのせいだけではないが、恋人が訪れる街で怖い顔をした男が二人で現れたら、観光客も待ちの人たちも、どうしても二人を警戒してしまった。


イフェイオンはエニシダを見つけることに必死になりすぎていて、周囲からどう見られているかに全く気づいていなかった。


ユリウスは何故か自分たちに視線が集まっていることに気づいていたが、その理由までには気づけなかった。


近くにいる人たちに話しをしようと近づいても、何故か避けられた。


一歩近づけば、三歩遠ざかる。


それを繰り返しているうちに、二人は自分たちが怖がられているのではと思うようになった。


客観的に自分たちを見てみる。


格好はどこからみても平民には見えない。


公爵家で着ていたときよりは劣るが、それでも貴族とその部下とわかるくらいには高価な服を二人とも着ていた。


体格も普通の男性よりよく、服の上からでも筋肉がすごいとわかる体格をしている。


誰がみても、貴族で腕のいい騎士だとわかる。


その上、イフェイオンは貴族特有の品の良さと近づきにいく雰囲気を纏っている。


いつも行っていた街では、基本貴族に声をかけるのがイフェイオンで、平民にはユリウスが声をかけていた。


今いる場所には見た限り平民しかいない。


ユリウスはこう思った。


高貴な貴族で、更に騎士。


貴族の中には何もしてなくても、理由を勝手に作って罰を与えるクズもいる。


イフェイオンがどういう貴族かわからないため、彼らは関わりたくないのだろう。


逃げたくても逃げれば、貴族に対しての礼儀がなっていない、と言われ罰を与えられるかもしれないと思っているのかもしれない。


実際、そんなクズ貴族は実在する。


あまりいい気分ではないが、自分の身や大切な人の身を守るために警戒するのは当然のことだ。


ここにいても誰からも話しを聞けそうにない。


ユリウスは「一旦ここから離れましょう」とイフェイオンに進言し、二人は人気のない場所へと移動した。


移動する途中もすれ違う人たちにジロジロと見られた。


イフェイオンは気にしなかったが、ユリウスは男女の二人組が多いことに気づいた。


その二人の距離が近いことにも気づき、もしかしたらと嫌な予感がした。


イフェイオンに気づかれる前に、本当に自分の予想が合っているのか確かめなければ、と内心焦りまくっていた。


もし、予想が当たっていた場合はどうすればいいのかと胃が痛くなっていた。


この事実を確認するためにも、別行動をするべきだとユリウスは思った。


イフェイオン一人なら、皆怖がって近づかないだろうから、気づく心配もないはずだと思って。


「イフェイオン様。私たち二人が一緒にいると目立ってしまうので、ここからは別行動をしませんか」


「ああ。そうだな」


イフェイオンの許可をもらい、ユリウスは心の中で「よし」と呟いた。


それと同時に、昔とは違い声に覇気がなくなっていることが心配だった。


エニシダを見つける旅をし始めた頃は、まだ大丈夫だったが、三ヶ月をすぎた頃から日に日にやつれていき、次第に声にまで威厳がなくなっていった。


昔のイフェイオンは戦場にいなくても、話しかけられただけで背筋が伸び、気を引き締めなくてはと思ってしまうほどの声だった。


それなのに今ではそんな面影はなく、心配になるくらい弱々しい声だった。


イフェイオンの昔を知らない人が聞けば、普通にしか思わず心配などしないだろうが。


「では、私は向こう側を調べてきます」


ユリウスは人が多い方の道を選ぶ。


少しでも、イフェイオンに気づかれる可能性も低くするためにも、なるべく人が少ない方に行ってもらいたかった。


「ああ。たのんだ」


イフェイオンはユリウスと反対側の方へと向かい、街の人にエニシダのことを知っている人はいないか聞き込みを始めた。


だが、明らかに貴族のイフェイオンに街の人たちは怖くて「はい」「いいえ」としか話せなくなっていた。


その頃、イフェイオンとわかれたユリウスは持ち前の人懐っこさを発揮し、街の人たちと楽しく会話をしていた。


それとなく、何故この街には男女の二人組が多いのか尋ねるとユリウスの予想通り恋人の観光客として人気の街だと教えてもらった。


その理由もちゃんと教えてもらった。


この国で有名だった小説家の恋愛小説の舞台になった場所として観光にきて、主人公たちみたいに最後まで共に一緒いようと永遠の愛を誓いにくる場所として恋人たちに人気の場所だと。


これを聞いた瞬間、ユリウスは絶対にイフェイオンの耳にだけは入らないようにしようと誓った。


ユリウスは詳しく教えてくれた男性にお礼を言った後、エニシダのことを知っている人はいないか探した。


一秒でも早く、エニシダの情報を集めて、この街から出て行こうと。


その日は、二人ともエニシダのことを知っている人を見つけることはできず、とりあえず今日はここまでと宿をとって休むことにした。

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