終劇
公演終了後。劇場の玄関先にはアルノーとミレーユが深々と頭を下げていた。
「本当に……本当にありがとう……!」
アルノーの声は涙で詰まっている。
「あんな乱入があったのに……あんな美しい舞台を見せてくれるなんて……!」
ミレーユも瞳を潤ませ、ユリウスの手をしっかりと握った。
「ユリウスさん……あなたは私の命の恩人です。そして……最高の舞台仲間でした」
「いえいえ」
ユリウスは照れ笑いを浮かべ、後ろに立つ仲間たちを見やる。
「みんなが力を貸してくれたおかげですよ」
エドガーが得意げに鼻を鳴らし、コンラッドは照れくさそうに視線をそらす。セナは影に隠れながらも小さく頷き、アレクシスは静かに微笑んだ。
「もしよかったら……」ミレーユが申し出る。「舞台の特別招待状を皆さんにお贈りしても?」
「それはありがたい!」
エドガーが即答したところで、夜空に満月が昇り始める。劇場の明かりが消えゆく中、五人は賑やかな街を学院へと歩き出した――が。
「お前たち!」
門限を過ぎた学院の正門前で待ち受けていたのは、鬼のような形相の担任教師だった。
「……説明しろ」
その一言に全員の顔が青ざめる。
こうして五人は深夜の職員室で延々と説教を受けた上に、分厚い反省文の束と大量の掃除当番を言い渡される羽目になったのだ。
月明かりが差し込む廊下でユリウスは呟く。
「……でもまぁ、楽しかったですよね?」
「バカ言ってんじゃねえ!」
コンラッドの怒声が響く。だがその声にはどこか清々しさが滲んでいるように思えた。
「あー、結局チケットも取り上げられたし大損だな」エドガーが足元の小石を蹴りながらぶつくさと文句を言う。
「最初からこうなるってわかってたでしょ、なんだかんだで反省してるところ見せたら先生もわかってくれるでしょ」溜め息を吐きながらアレクシスがぼやく。
「で、でも皆で協力出来たし、人助けもで、出来たから……」セナがそんな2人を慌ててフォローしていた。
各々文句を言いつつも何だかんだで気分は悪くは無かった。
――次の冒険が待っていることを、彼らはもう知っていたから。




