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大立ち回り

ほぼ同時刻、舞台はクライマックス。ユリウスの台詞は終盤に差しかかっていた。


「あなたが愛するこの世界を……守るために私は戦います!」

王子役の俳優が感極まった声で応じる。

「共に歩もう……我が愛しのミレーユ!」

しかし――


ガシャァァァン!!


轟音と共に舞台袖の幕が切り裂かれ、ロイクが血走った目で飛び込んできたのだ。手には錆びた鉈が握られている。


「全部台無しだああ!」

観客席が騒然となった。悲鳴と怒号が入り混じる。


だが――ユリウスは一瞬だけ目を閉じた。そして、決然と前に出る。

「――貴方は父に命じられて私を連れ戻しに来たのですね!」


驚きのあまり硬直していた観客が、その言葉にハッとする。

「演出……か?」

「ああ……そういう脚本なのか!」

不安が期待に変わった瞬間、ユリウスは舞台袖に合図を送った。


(悪役の襲来です!)


「……今更何があろうとも、彼女を渡しはしない!」

ユリウスの声に合わせ、王子役が必死に剣を構える。

「これが最後の試練です!」

ユリウスが高く手を掲げると、天井から垂れ下がる照明の魔晶石が眩く輝き始めた。まるで星空のような光が舞台上を覆う。


「ユリウス!危ねぇぞ!」

エドガーが跳び上がった。彼は客席の上を走り回り、ロイクに攻撃を繰り出す。

「くそっ!邪魔するな!」

ロイクが鉈を振るうが、エドガーは猿のごとき跳躍でかわし続けた。


「ここだ!」


鋭い声と共にコンラッドが舞台上へ飛び込む。彼はユリウスの背後に立ち、迫るロイクの腕を掴んだ。

「ぐあっ!?離せっ!」

「おとなしくしろ!お前の悪事もここまでだ!」

コンラッドの巨躯に押さえ込まれ、ロイクがもがく。


その時――王子役が剣を振るとともに

アレクシスが放った風の刃が鉈を弾き飛ばした。セナの影がロイクの足元を絡め取り、男はついに床に叩きつけられる。


「王子様!」

ユリウスが朗々と宣言し、王子役に抱きつく。

「私たちの愛と勇気の勝利です!」

拍手が爆発した。客席から嵐のような歓声が湧き起こったのだった。

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