表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/109

サル=ザハル

「サル=ザハル……?」

ユリウスが息を飲む。

その名は砂漠の歴史書に記される禁忌の存在だ。伝説によれば「砂漠の英雄」「風の守護者」と讃えられる初代王が、幾百もの同胞の命を犠牲に封印した最凶の存在――それが蘇ったというのか。


カリムが呆然と呟く。

「冗談じゃねえ……そんなモンが復活しちまうなんてよ……!」


ユリウスが鋭く首を振る。

「逃げてください! ここは僕が引き受ける!」

彼が二人を結界の外へ押しやろうとしたその時――

『フオオオォォッ!!』


サル=ザハルの咆哮が砂を震わせた。黒龍の巨体が蠢く。胸部に埋め込まれた巨大な眼球がユリウスを凝視する。その眼窩から滴る闇色の粘液が砂に触れると、触れた部分が黒く変色し枯れ果てていく――!


「させるかッ!」

ユリウスが結界を維持したまま踏み出した。

彼の両手に蒼い魔光が迸る。指が複雑な軌跡を描き、空中に七芒星の魔術陣を描き出す!

「『蒼嵐断陣』!!」


風を切る鋭い衝撃波が放たれる! 蒼い光の刃が虚空を裂き、サル=ザハルの胸に突き刺さった!


『ガッ!?』


巨龍が初めて怯んだ。刃が黒い鱗を貫き、内部で蒼炎が爆ぜる。サル=ザハルの身体が大きくよろめく――


が!

「……なっ!?」


ユリウスの眼が見開かれた。貫かれた傷口がみるみる塞がっていくのだ。まるで砂丘が風に削られたように新しい砂粒が盛り上がり、元の滑らかな装甲へと戻っていく!


「再生……!?」

冷たい汗がユリウスの頬を伝う。サル=ザハルは悠然と構えなおした。その口角が醜く吊り上がる――まるで嘲笑するように。


「なら……これでどうだ!」

ユリウスの周囲に炎と雷の魔力が渦巻く。右手から迸る紅蓮の槍『焔穿』! 左手からは電撃を纏う無数の短剣『紫閃刃』!

「『炎雷万華』!」


燃え盛る槍と雷光の短剣群が雨霰のごとく黒龍へ襲いかかる! 爆音と閃光の嵐が夜空を埋め尽くす! サル=ザハルの巨体が爆煙に包まれる!


「やった……!?」


「油断しないで下さい!」


ユリウスが叫ぶと同時に、爆煙を裂いて黒い衝撃波が走った! それは鋭利な砂刃――サル=ザハルの放った砂断爪だ!


「くっ!」

ユリウスが咄嗟に障壁を張るも間に合わない! 砂刃がユリウスの右腕を掠め、衣服が裂け血が飛び散る!


「ぐっ!」

痛みに膝をつくユリウス。魔力制御が乱れる刹那――


「危ねぇっ!!」


叫び声と共に巨大な影が飛び込んだ!

ラシードだ。彼は短刀を抜き放ち、さらに飛来する砂刃を必死に切り払う! しかし間に合わない! 最も大きな一撃が彼の脇腹を抉り取った!


「ぐ……っはぁ……!?」

ラシードの巨体が砂に叩きつけられる。腹部から鮮血が溢れ出す。傷は臓器に達していた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ