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面会

「こちらで少々お待ちください」


豪華な応接室に通されたユリウスは、待つ間に室内を見回した。壁には砂漠の風景を描いた絵画が掛けられ、机の上には珍しい植物が飾られている。


しばらくして重い扉が開き、三人の人物が入ってきた。


「お待たせしました」


最初に入ってきたのは穏やかな笑顔を浮かべた砂キツネ姿の青年。次に精悍な顔つきの騎士風の鷹獣人男が続き、最後に不機嫌そうな表情を隠さない虎獣人が入ってきた。


「これがヴァルデールからの客人か」


最後に入ってきた男——第一皇子ラシードが冷ややかな視線をユリウスに向けた。


「申し訳ありません。兄上は余所者の力を借りることに納得がいかないようで……」


穏やかな青年——第二皇子ハーリドが申し訳なさそうに説明する。


「私は騎士団長のジャファルと申します。この度はお越しいただき感謝しております」


騎士風の鷲男は丁寧に一礼した。


「初めまして!ユリウス・クラウディールです!よろしくお願いします!」


ユリウスは元気よく挨拶し、ラシードに手を差し出した。しかしラシードは冷たくその手を無視した。


「砂漠の問題は我らの手で解決すべきだ。異国の小僧に助けを求めるなど恥でしかない」


挑発的な言葉に室内が凍りつく。しかしユリウスは特に気にしていない様子だった。


「兄上!」


ハーリドが慌てて兄を制した。


「失礼しました。兄は少々気が立っているのです。最近のサンドワームの出現頻度が増えているため……」


「構いませんよ。それよりサンドワームのことですが」


ユリウスは全く気にした様子もなく、テーブルに広げられた地図に視線を移した。


「これまでの被害状況と出現地点を教えていただけますか?」


ジャファルが前に出て地図上の点々を指し示した。


「ここ一ヶ月で砂漠東部を中心に五件の襲撃がありました。被害は主に隊商や牧草地帯です」


「サンドワームの弱点は水だと聞いていますが……」


「その通りです」ラシードが口を挟んだ。「しかし砂漠では水は貴重。大規模な水攻撃は現実的ではありません」


ハーリドが補足する。「だからこそ火による攻撃を試みましたが……」


「表皮が溶岩のように熱に耐性があるのです」ジャファルが溜息をついた。「我々が持つ手段では有効打を与えられないのです」


「ふむふむ……」


ユリウスは顎に手を当てて考え込んだ。その瞳が好奇心に輝いている。


まるで新しいパズルを与えられた子供のようだった。


「なるほど。砂漠という特殊な環境が問題を複雑にしているわけですね」


「そういうことです」ジャファルが頷いた。「ですから今回の依頼は……」


「私も討伐隊に加わる!」


突然ラシードが声を上げた。


「兄上!それは危険すぎます!」


「黙れハーリド!王家の血を引く者として、この問題は我らの手で解決せねばならん」


ラシードの宣言に場がざわついた。


「しかし兄上は……」


「命令だ。反論は許さん」


ジャファルが苦々しい表情でハーリドと視線を交わす。


「わかりました」ハーリドは諦めたように肩を落とした。


その様子を眺めていたユリウスは、にこやかにラシードに向き直った。


「素敵な決断ですね!ぜひご一緒させてください!」


ラシードは不機嫌そうにユリウスを睨みつけた。


「貴様のような小僧と一緒に戦うつもりはない。ただ監視のために同行するだけだ」


「そうですか?残念です」ユリウスは全く気にしていない様子で首を傾げた。「では出発は何時にしましょうか?」


ハキームがその様子を見て小さく溜息をついた。学院長から「ユリウスは変わった少年だが、才能は本物だ」と聞かされていたものの、この緊張感のなさには一抹の不安を感じずにはいられなかった。


しかし同時に、そんな少年にこそ何か突破口があるのではないかという淡い期待も感じていた。

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