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クラウディール家の騒動

その日、ユリウスは夕食前に転移魔法を使い実家へと跳んだ。


***


「お帰りなさいませ!」


執事長マルセルの声が玄関ホールに響く。

この人はいつ帰っても不思議と出迎えてくれるのだ。


「ただいま戻りました……」


「ユリウス!」


階段を駆け下りてきたのはフラナルだった。優雅な足取りながらも弟への情が溢れる眼差し。


「兄様!」


二人は軽く抱擁を交わした。続いてドナも現れる。


「私の可愛い弟……やっと会えたわ」


柔らかな微笑みを浮かべながらユリウスの頬を優しく撫でる。


「お母さまみたい……」


ユリウスが思わず呟く。ドナは楽しそうに笑った。


フラナルが声を張る。


「父上がお待ちだぞ?」


***


食卓には既にルーデアスが座っていた。厳格な表情でユリウスを見ると—


「おお……帰ったか」


ほんの少しだけ緩んだ口元。しかしすぐに元の威厳ある顔に戻った。


「座りたまえ」


一同が席につく。料理が運ばれてくる間もルーデアスは無言だった。


「さて」

食事が進んだところで彼が口を開く。「王都から何の連絡もなく半月……これはどういうことだ?」


ユリウスはスプーンを置いた。「申し訳ありません……忙しくて」


「忙しい?」

ルーデアスが眉をひそめる。「王笏発見者として忙しいというのは分かる。だがお前ならいつでも帰ってくることはできたはずだ!」


「はい……申し訳ございません」


「ユリウス」

フラナルが優しくユリウスに話しかける


「父上に最初から些細報告しなさい」


「それから今日の決闘の事もね」


ドナも微笑みながら付け加えた


「えっ⁈あ、はい……」


ユリウスは王笏発見から現在までの出来事を順を追って話した

途中父親が口を挟んでくるかと思ったが意外にも聞き役に徹していた。


「つまり」

ルーデアスが頭を抱えた。「王笏を発見しただけでなくラザフォード侯爵家から様々な提案を受け……」


「さらにアストライアの王子殿下と決闘紛いの真似をした……と?」


部屋の温度が数度下がった気がした。ルーデアスの顔色が青ざめていく。


「父上」


フラナルが冷静に口を開いた。


「ユリウスを責めても仕方がありません。この子は我々が想像する以上に特殊な状況に置かれています」


「しかしだな!」

ルーデアスが怒鳴る。


「貴族としての常識を逸脱している!」


「お父様」


ドナが柔らかく微笑んだ。


「ユリウスが大きな運命を背負っていることは星々も示しています」


「何?」


ルーデアスが呆気に取られた顔をする。


「彼の選択肢は多くはないのです」


ドナの声が不思議な深みを帯びる。


「ただ……ユリウス自身が正しいと思う道を進めば必ず良い方向へ進むでしょう」


「お前がそういうならば……」


ルーデアスは納得した様子で席に戻る。

が、その時だった。


彼の顔色がどんどん悪くなっていく……


「父上?」


ユリウスが声をかけた瞬間。


ポタッ……


テーブルに赤い滴が落ちた。


「お父様!」


ドナが叫ぶ。ルーデアスの鼻から血が滴っていた。


「大丈夫か!?」


フラナルが駆け寄る。ルーデアスは額に手を当てて俯いている。


「くっ……血圧が……上がってしまったようだ」


「すぐに医者を呼んで!」


騒然とする中、ユリウスは淡々とハンカチを差し出した。


「父上……お大事に」


「お前のせいだぞ!」


ルーデアスが弱々しく抗議する。フラナルとドナはため息をついた。


「まったく……血圧を上げやすい体質なのに感情的になりすぎる」


「本当にお父様ったら……」

ドナは微笑みながら医師を呼びに行くよう指示した。


***


深夜。ユリウスはフラナルの書斎に呼ばれていた。


「すまなかったね」


フラナルが苦笑い。


「父上を興奮させてしまったようだ」


「いえ……僕のせいです」

ユリウスは真摯に頭を下げた。


「気にするな」


フラナルは笑った。


「あれで父上も少し落ち着いただろう」


彼は紅茶を注ぎながら話を続ける。


「それにしても……ラザフォード侯爵か」


声が真剣になった。


「彼らとはどういった関係なんだ?」


「はい」


ユリウスは丁寧に答えた。


「ザナヴァス先輩とエドワードさんは……友人です」


フラナルは目を細めた。


「それだけではないな」

彼の洞察力にユリウスは一瞬言葉に詰まる。


「……特別な縁を感じています」


それを聞いてガッとユリウスの肩を掴むフラナル


「な に か 有ったら絶対に僕とドナにすぐに相談するんだぞ!」


「は、はい……」


珍しく力む兄の姿にユリウスは呆気に取られてしまった

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