勇者は悪くない〜元メンバーたちが語る、マイナー新聞インタビュードキュメント〜
やっぱり夏はなろうテンプレ背負い投げ!夏はやっぱり駄作!
冷静に考えて勇者が悪い奴だったら世界終わっちゃうよねえ
勇者パーティの追放ハラスメント、略してツイハラ疑惑が飛び交う今、私たち日々冒険新聞は、脱退、もしくは追放された元パーティメンバーを探す旅に出た。
最初に出会ったのは、一時期「歴代最若の大魔女」と呼ばれた、アヤカ・タナカだ。彼女は現在、町中のレストランで働いている。
魔女アヤカといえば、かの勇者コウとの喧嘩騒動があったが、今は両者和解している。
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Q,自己紹介をお願いします。
A,魔法使いのアヤカです。異世界から転移してきて、勇者パーティで一年ほどお世話になりました。
Q,最初のパーティの印象は?
A,なんとなく、ですけど。のびのびしてて、ワチャワチャした陽キャの集まり。でも、それぞれがそれぞれ、とても強くて、尊敬できました。
Q,なるほど。では、失礼ですが、脱退理由をお聞きしても?
A,実力と覚悟不足…ですかね。恥ずかしい話なのですが、スローライフに憧れて、鍛錬をしなかった時期があったんです。数日だったけど…その数日で、簡単に置いていかれる努力の天才な実力者の中に、居続けるのがしんどくて。抜けちゃいました。
Q,では、人間関係は良好だったと。
A,はい。良かったと思います。喧嘩はいっつもくだらないことばかりだったし。最後も、こんな私のために、お別れ会を開いてくれました。
Q,ありがとうございました。最後に、勇者パーティの皆さんに一言お願いできますか?
A,短い間だったし、めちゃくちゃ喧嘩もしたけど、すごく楽しくて貴重な時間だったよ。ありがとう、コウ!みんなも元気でね!
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アヤカは清々しい顔であいさつをし、仕事場へと戻っていった。勇者パーティでの人間関係は概ね問題なかったようだ。ツイハラ問題が始まったのはいつからか。疑問は深まるばかりである。
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次に我々が出会ったのは、釣りをする老人である。彼は、「時間停止の大仙人」、タイミン・ジンカン。時間停止の魔法を人類で唯一習得し、その力を勇者と共に振るってきた存在だ。原因不明のまま脱退した彼は、別人のように穏やかな顔で、取った魚を見せてくれた。
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Q,自己紹介をお願いします。
A,タイミン・ジンカン。ヒト呼んデ、時間爺ネ。コウと共ニ、三年戦っタ、エライ仙人。
Q,どうやってパーティに加入されたのですか?
A,スカウトネ。コウ来て、話して、入ることにしただけヨ。
Q,なるほど。失礼ですが、脱退原因をお聞きしてもいいですか?
A,疲れちゃっただけヨ、モンスターも、鬼も、どんどん出て、ケガ、増えタ。動けなくなる前に抜けたほうが良い、コウたちにすすめられたネ。
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この後質問しようとすると、「昼寝の時間ネ、カエレ」と追い払われてしまった。
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我々はさらなる真実を追い求め、エスパーのヒナタ(能力過剰使用による精神的負担が大きく休養のため脱退)、薬師のバンソウ(新薬実験中の大事故による右腕欠損のため脱退)、バーサーカーのウルティ(暴走による自傷行為の増加を見かねた勇者が追放)にも取材をしたが、どの元メンバーも「コウは別に悪くない」と語った。
このままではツイハラの根源がわからない。我々は直接勇者を訪ねてみることに決めた。
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Q,勇者のコウさんですか?
A,そうだよ
Q,失礼ですが、ツイハラというのをご存知ですか?
A,もちろん。最近は脱退メンバーが出ただけで叩かれちゃうからね
Q,さいですか…
A,ああ。僕らは協力し、命をかけて戦う義務がある。少しでもメンバーに不調があったり不和があったりしたら必ず解決したい。それが重大なときは追放させてもらうこともあるんだよ。
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どうやらツイハラというのは勇者パーティー外で騒がれていたことらしい。
我々はこの取材内容を多くの人に伝えようと新聞を大量に印刷する予定だが、ツイハラ疑惑が無くなるのにはまだ時間がかかりそうだ。
ハラスメントってむずかしい〜〜