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第56話 化石にまつわるエトセトラ①

New シリーズの始まりです。

宜しくお願いします。

 あっという間に連休は終わり、いつも通りの日常に戻った気がする。

 そして、私は無事に自動車の運転免許証を取得することが出来た!

 これで、晴れてギンちゃんと二人でドライブデートが出来る。


 はずなのだが…





あかりちゃん、これ…おにぎり一個分?」


 中島さんがまだらに茶色い塊を指さして、そう尋ねて来た。


「おかかとチーズの猫型おにぎりです。」


「美味しそうだけど、大きすぎない?」


「型がこの大きさしかなくて、大は小を兼ねるって言うし、来海くるみちゃんよく食べるし。」


 猫の顔型タッパーにラップを敷いて、そこに、おかか、醤油、チーズを合わせたご飯をぎちぎちに詰める。それから、タッパーから外すとあ~ら不思議、猫型おにぎりの完成!

 おにぎり四個作るのに、ご飯をほぼ四合も使ってしまった。


 ヘーゼルの魅力的なお目々を再現すべく、楕円に切ったスライスチーズの上にカボチャの種を縦に置いた。

 フワフワの毛を再現すべく、とろろ昆布を全体に張り巡らした。

 銀色の髭と眉毛を再現すべく大根の細切を目の上と目の下に刺した。

 それを丁寧に一個ずつラップで包んだ。包む際にフワフワだったとろろ昆布はビッチっとなって、髭や眉毛の細切り大根は折れ曲がり、チーズの上に置いたカボチャの種はちょっとずれてしまったものもあった。でも大丈夫、どの子も各々が個性的な猫に見えなくもない。


「…まあ、味は美味しそうだね。」

 と言う中島さんに、


「おかかとチーズをたっぷり入れたから、美味しいと思いますよ。それに、とろろ昆布のおにぎりって美味しいですよね。」

 と、答えた。


 そう言う中島さんは、鯖の竜田揚げを揚げて終えて、今はタケノコ入りの肉団子を油に入れている。この肉団子たちは最終的に甘酢あんかけになるらしい。もうこれは箸が、ご飯が止まらない逸品になること間違いなし。


 来海ちゃんは、中島さんの横で教わりながら厚焼き玉子を焼いている。豪快に流しいれて、箸でかき回して焼いているが、結構それなりに形になっている気がする。


 ジョシュアさんはサンドイッチを作り終えて、きれいにケースに詰めている。





 二人でドライブデートのはずが、どうしてこうなっているかと言いますと・・・


 そもそも、ジョシュアさんは何故か俄然このドライブデートに来海ちゃんと一緒に同行する気満々で、目的地の化石園の近くのレストランを検索して

「この辺にペット可のお店はあるけど、猫用のメニューってなさそう。犬用のはあるみたいだけど。」


 その横にいた中島さんが、

「え、二人でギンちゃん連れてどこか行くの?デート?」


「そう、明はギンちゃんと、僕は来海とデート。中島さんも行かない?」


 もう二人で行けないのならば、四人だって百人だって一緒だ。どんどん誰でも誘ってくれ。


「いいねぇ、じゃあ、お弁当作って外で食べようよ。その方がギンちゃんも気兼ねしなくって良いんじゃない? ねえ、ギンちゃん。」


「にゃにゃにゃ~」

 何だかギンちゃんは嬉しそう。

 ならば、みんなで化石園に行って、ピクニックするって言うのも悪くないかも。


 と言うことで、今、エバンズ家の台所で四人でお弁当を作っている。


 ギンちゃんの一番の友だちであるうちのモモ太は、今回はお留守番。化石園に入れるのは抱えて入れるワンちゃんか猫ちゃんのみということで、モモ太は入れないのである。





 そして、車は母に借りた。

 ジョシュアさんも中島さんも自分の車を貸すよと言ってくれたけど、二人の車は大きすぎる。あれでは途中でコンビニに入る自信すらない。


「明ちゃん、車は大きい方が運転しやすいんだよ。」

 と、中島さんが笑顔で言ったが、信じられない。


「運転が上手い人ならばそうかもしれませんが、私は自信ありません。」


 中島さんの車は、私から見ればほぼバスである。何故にあんなに大きな車に乗ろうと思ったのだろうか、不思議でしょうがない。


 そう言えば夏子も、都内で装甲車かよと思うような大きな外車を見て「いつか、あんな車を運転してみたいな~」と言っていた。正直、信じられなかった。

 それに引き換え、母の車は丁度いい。




「中は結構広いね~」

 そんなことを言いながら、ジョシュアさんが助手席に乗り込んで来た。


 後ろの席には来海ちゃんと中島さん、その二人に挟まれた形でギンちゃんがキャリーケースに入って寛いでいる。本当は助手席にギンちゃんのキャリーケースを置きたかったけど、今回は仕方がない…


「本当は、この席にギンちゃんを乗せたかったんでしょう?」


 笑顔で尋ねて来た。その通りだとも言えず、口籠っていると、


「僕も結構役に立つから、ガム食べたい時とかお茶飲みたい時は言ってね。音楽はどういうのが良い?今って便利だよね、良い感じのプレイリストが出来てるし。」

 そう言って、今年の上半期カラオケベスト100を流し始めた。


 ああ、この曲本当によく聴いたなという音楽が流れて来た。来海ちゃんは知っている曲が流れると大声で歌った。


 そして、ジョシュアさんは私が眠そうになると直ぐにガムを差し出し、咳払いをするとお茶を差し出してくれた。お前は、私の女友達を通り越して彼女か?


 その後は、中島さんのリクエストで80年代の歌謡曲を聴きいたり、何だりしている内に、いかにも観光地的な道に入った。


「へーこの辺って、いい感じ。」

 ジョシュアさんが外を眺めながら嬉しそうに言った。


「こっちに来たの初めて?」


小町こまち町より北に行ったことがあんまりなかった。」


「この辺は美味しいレストランも多いし、牧場とか温泉とか遊べるところもあるよ。都内から週末に遊びに来るのにちょうどいい感じなんだろうね。」


「へー、で、その化石園もこの辺にあるの?」


 ナビによるとまだ30分以上かかると出ている。


「まだですね。もう少し山の方に行きます。」


「もう、この辺で良いんじゃないの?牧場の方がギンちゃんも喜ぶよ。」


「猫って、牛とか馬を見ても喜ばないんじゃないの?」


 中島さんナイスフォロー。

 今回の目的は銀ちゃんに地球の歴史を教えることである、牧場ではそれが果たせない。


「まずは、目的地に行きます。牧場は時間があれば帰りに寄りましょう。」

 正面に集中しつつ、そう返事をした。


「そうだね、まずは化石園!ねえ、そこって恐竜の卵とか、アンモナイトとかもあるの?」


「海外で取れたアンモナイトはありましたけど、その近辺で取れる化石には2種類あって、一つは1千万年以上前にこの辺りが海だった頃の貝の化石と、もっと最近の物では植物の葉や虫なんかの化石がありますよ。」


 私の答えに対する反応は誰からもなく、ただ、来海ちゃんの歌声が車内に響いていた。






今回のお話はいかがでしたでしょうか?

毎週水曜、日曜の14時半更新予定です。

宜しくお願いします。


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