夢に追いかけられる
その日はとても寝苦しくて、浅い夢を何度も見ていた気がする。
意識が沈んでは浮上し、しかし目は開かない。
体は疲れている。
体がとてもフワフワしてきた…さぁ、お休み。
夢の中で、私は自分の部屋にいる。
これは夢だと分かる、自分の部屋なのに違和感があるからだ。
その違和感の正体は体の浮遊感なのか現実と夢が曖昧な意識のせいなのか、兎に角違和感がある。
突然、部屋のドアがガチャリと音を立てて開くと髪の毛が地面につくのではないのかと思うほどの得体の知れないソレが現れた。
現実ではあり得ない、私はこれは夢だから目が覚めてと願った。
ゾワリと恐怖に支配されそうになりながら必死に願う。
途端に、目が覚めた。
あぁ、良かった。
やはり夢だ、馬鹿な夢だ。
ここはいつもの部屋だ…今は意識が確りしている。
最悪な夢を見たな。
そう安堵した瞬間、耳元で声が聞こえた。
「逃げられると思った?」
とネットリと楽しそうな声色に一瞬で鳥肌が立つ。
「ああぁぁぁぁ!!!」
自分がこれほど大きな声が出ると思わないくらい、大声が出た。
これは現実なのか、夢なのか、分からない。
「逃げられると思った?」
とまた声がする。
助けて、助けて、怖い怖い。
怖くて私はただ顔を覆うことしかできない。
暗い、怖い、私の意識はどこにあるの?
「起きろ!!」
瞬間、私の意識は一気にその声に引っ張られた。
「あぁっ!」
「どうしたの?大声なんか出してっ!」
「あっ…」
目の前には、妹の顔があった。
「夜中に叫び声が聞こえたからビックリしたよ、寝ぼけてたの?」
「夢?じゃない?」
「もう何言ってるの?怖いから急に、しっかりしてよね〜大丈夫?」
「怖かった…怖い夢見た」
「そんな怖い夢みたの?ヤダこんな夜中に聞きたくない、明日の朝教えてね。私寝るから」
妹は眠そうに帰っていく。
何だか変なの。
夢の中で夢を見てたのかな、目が覚めたと思ったらそれも夢なんて。
「疲れてるのかも…」
私は再び布団に入り目を閉じた、しばらくして段々と眠くなる。
あぁ、ようやく寝れる…。
意識を手放しそうになるその瞬間…
「逃さないよ」
と耳元で声がした。
私はその日朝になるまで、寝れなかった。




