新選組選定試験 卒業
その日も俺たちは少女達に意味もなく行進をさせる。
そして罵声を飛ばし、不信感を募らせた。
しかし彼ら達は決して不平や不満を告げず、訓練に食らいつく。
ランニングでペースが落ちた仲間を励まし合い、声をかけ指定された時間内に完走しようとする。
その様子を見た俺たちは少女達に気付かれないよう満足げに頷いた。
なぜ彼女達の『不信感』をわざと煽るようなマネをしたのか?
それにはちゃんとした理由がある。
『これには何の意味があるのか?』――この理不尽への不信感こそが、彼ら達、新兵に『皆と協力しないと目標を達成できない』、つまり『チームワーク』の大切さを理解させる。つまり、わざと辛い状況へと追い込み、『仲間と助け合わなければ』と強く思う環境を作り出しているのだ。
軍隊の訓練で新兵が追い詰められて取る行動は大きく分けて2つしかない。
1つは訓練を去る、という行動。
そしてもう一つは、『1人ではこの過酷な訓練を乗り越えることは不可能』と気付き、周りと助け合い、訓練を乗り越えるという行動だ。
前者を選ぶ者は少なく、大抵は後者を選択する
すなわち「新選組を支えるのは自分1人だけではない』と理解するのである。
『1人は部隊のために、部隊は1人のために』だ。こうして少女達は『チームワーク』の大切さを学び、仲間同士協力して与えられた困難な試練を乗り越えていく。
その後も訓練は続く、剣術、格闘術、馬術、槍術、そして弓矢による射撃。この時、渡された弓は正確には弩だが、ただの弩ではない。
それは夕張がつく言ったレバーアクション式の弩。すなわちクロスボウだ。しかも弓の上には弾倉・・いや矢倉が付けられ見た目は艦これの大砲が持っている奴をレバーアクションにした感じだ。
命中率もよく、また弦も通常の弦より強めで矢も鉄製のため威力も倍。以前米俵を標的に50メートルぐらいの距離で撃ったら貫通。後ろにある壁に突き刺さった。はっきり言って威力は戦国時代の火縄銃にも引けを取らないだろう
この連発弩(夕張命名)は夕張が製造する小銃の繋ぎとして弩を改造したものだ。
そして射撃の他に障害物を乗り越え、地形、地物を利用した射撃のやり方。タコツボの堀りかたなども教え込む。
他にも様々なこの時代にはなかった戦術技能を指導していく。
彼らはは一人前の兵士として成長していった。
13週目最終日、晴天。
「全員!気を着けっ!!!」
誠華の声とともに、約1500名の訓練候補生たちは新選組軍服姿で整列していた。
彼ら達の前に立つオレ達も、きっちりとした軍服姿で並ぶ。
俺の目の前に並ぶ彼らは13週前、普通の一般市民だったが、そんな面影はどこにもない。
地獄のような13週間の訓練をくぐり抜けた一人前の兵士達しかいない。
そして俺は彼らを見渡し
「本日をもって君たちは訓練生を卒業する!すなわち!今日から貴様等は誇りある・・・・恐れ多くも!」
「気を付け!!」
俺が恐れ多くもと言った瞬間、誠華の声に皆は不動の姿勢をする
「董卓様直下の部隊であり街の平和を守る警邏組織「新選組」の隊士たちである!戦友の絆に結ばる君たちが戦死するその日まで我々は共に戦う同志であり、戦友であり!兄弟である!これから君たちは『新選組』の隊士としてある時は戦い、傷つき、最悪の場合は命を落とすだろう。だが、心に刻んでおけ! 貴様等は何時か確実に死ぬ!だが!簡単に命は捨てるな!生きる意志は何よりも強い!たとえ敗北主義の犬畜生と罵られようともその命尽きるまで生きて戦おうとする意志を決して忘れるな!」
「「「はっ!!」」」
かれらの聞き慣れた返事が、グラウンドの端々まで響き渡る
そしてその後、卒業した隊士に記章を渡す。
卒業生の中には「鄧艾」、「杜預」、「羊祜」の三名もいた。この13週間で彼女もすっかり立派になっていた
渡された隊士は最後の音楽とともに行進をする
流れた曲は日本の分列行進曲「抜刀隊」だ。警察や自衛隊でも使われている名曲だ。そもそもこの分列行進曲「抜刀隊」の元は西南戦争で戦った警視庁の特別部隊抜刀隊を歌った歌「抜刀隊」から来ている
警察組織になっている天水警邏隊もとい『新選組』が使用しても何ら問題ない。むしろあの時代より前の時代に使用しているためパクリ?にはならない・・・・はず?
「それでは本日を持って君たちを新撰組隊士とする!! 一同解散!」
行進が終わり、整列した彼らに俺がそう言い終わるのと同時に叫び声をあげ、指示したわけでもなく一斉に皆が帽子を手に取り空へと思いっきり投げ上げる。
帽子はまるで羽が生えているかのように、雲1つない青空へ舞い上がった。
彼らはは晴れやかな表情で涙を浮かべ、抱き合い喜ぶ。そんな彼らをオレ達も晴れやかな気持ちで見守った。
「ふぅ・・・・・」
訓練が終了し俺は自室で休む。誠華たちも今は自分の部屋で休んでいる。
そう言えばこうしてゆっくりするのはいつぐらいだろうか?
俺がそう思っていると、誰かがドアをノックする。誰かな?斗志か?
「・・・・吹雪いる?」
その声には聞き覚えがあった。これは・・・・
「母さん?うん。いるよ。」
そう、母さんの声だった。俺はドアを開けるとやっぱり母さんだった。
「母さん。なんか用?」
「中に入ってもいい?」
「え?うん。いいけど?」
そして今俺と母さんはベットの上に座っている。
「・・・・・・吹雪。ここにはもう慣れた?」
「うん…いろいろ大変だったけど。今はもう平気だよ。仲間もいるしね」
「そう・・・・・」
そう言って母さんは俺の頭を撫でた。なんか少し恥ずかしい・・・・
「ごめん…‥嫌だった?」
「ううん。少し恥ずかしいけど嫌じゃないよ」
「そう・・・・よかった。」
母さんは微笑んだ。そして母さんは
「吹雪・・・・新兵の訓練お疲れ様・・・・」
「うん。でも誠華やみんなのおかげで何とか終えたよ」
「そう・・・・私も霞も見た・・・・・あれ向こうの時代のやり方でしょ?」
「やっぱり母さん知っていたんだ・・・・」
「総司の仕事は自衛官・・・・・だから知っている」
「そう言えばそうだったね」
そう言えば父さん、陸自の人だったな
「でも…ハートマン軍曹にはなれなかったね」
「さすがに厳しい言葉は言いずらかったよ頑張ったけどな・・・・・てか何でフルメタルジャケットを知っているの母さん・・・・」
「私が向こうで生活していた時に総司と初めて見た映画が、それだった・・・それ以降、暇なときはいつも家で見ていた」
「そ、そうなんだ・・・・」
父さんと母さん。いったいどんな結婚生活をしていたんだよ・・・・気になるな・・・・
その後、俺は母さんと会話した後、部屋のベッドで寝っ転がる、
すると今までの疲れが一気に襲い俺はあっという間に眠りに落ちるのであった




