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鬼の隊副長、その名は李傕

俺がここ、天水の警邏隊長となり半年・・・・・いまだにある人物と仲良くなれないでいた。その人物とは・・・・


「隊長。今日の報告書です」


「ああ、すまない李傕さん・・・・」


「では私は仕事がありますのでこれで・・・・」


そう。李傕出会った。あいさつ程度はしてくれるんだが、こうして今も不愛想で報告書を置いてしまうと、すぐに部屋を出て行ってしまう。


「はぁ・・・・・本当に嫌われてしまったもんだな」


軽くため息をつくと、戸を叩く音がする


「ん?誰だろう?開いているよ?」


俺がそう言うとドアが開き、入ってきたのは


「吹雪・・・・ちょといい?」


「母さん・・・・」


入ってきたのは母さんだった。母さんは俺の隣に並び俺の書き終えた報告書を見ると、ところどころ文字を指をさし


「吹雪・・・その報告書。誤字・・・・がある。あと字がまだ汚い・・・」


「あ・・・ごめん」


ゆっくりとした口調でそう言い俺に注意する母さん。そうこの世界に来て俺は日本語ではなく漢文で書いている。それはそうだ。なんてったってここは三国志の世界・・・・1800年前の中国だ。だから文字も中国語なのは当たり前だ。俺もこの世界に来て独自で調べて書いてはいるのだが、やっぱり中国の人から見れば汚いのだろうな・・・・


「最初はそれでいいけど・・・・でも仕事だとちゃんと書かないと相手に伝わりにくい・・・・」


「うん。俺も勉強しているけどまだ、分からない字とかあって」


「そう・・・・・じゃあ、恋が…お母さんが教えてあげる」


「え?いいの?忙しいでしょ母さん?」


「大丈夫・・・・それにこれは吹雪の今後の生活に役に立つから・・・・今から始めよ。でもちょっと待てて・・・・」


母さんはそう言うと、母さんは部屋を出てそしてしばらくすると戻ってくる。そしてその手には数冊の本を抱いていた


「まずは基本から・・・・覚えるの大事・・・・」


そう言い俺の前に置いた本は子供向けの教本だった


「まずは簡単な文字から…日本で言えばあいうえおと同じで・・・・・・」


こうして母さんの中国語講座が始まった。ゆっくりとそして途切れ途切れに言う母さんだったが、内容はとても分かりやすく。もしかしたら俺のいた時代で教師とかしていたんじゃないかと思うくらいだった。だが、後に訊いた話では母さんは一応、教員免許と自動車免許は取得していたらしいが基本は専業主婦だったらしい。ちなみに俺の世界では『沖田恋』て名乗っていたようだ。

一通り、母さんの授業が終わると


「吹雪・・・・・何か悩み事・・・ある?」


「・・・・え?」


「最近・・・・吹雪。考え事しているから・・・・一人で抱え込まないで話してみて・・・」


「うん…実は・・・」


母さんの言葉に俺は李傕について話した。仲良くしたいのだが向こうが受け入れてくれなくて少し困っていることを話す


「そう・・・・でも…無理に好かれようとしなくていいよ?」


「そうなんだけど。できれば仲良くしたいと思っているんだよ」


そう言うと母さんは少し考えるそぶりを見せる。そして・・・


「じゃあ、いい方法がある・・・・でもそれは吹雪じゃなくて向こうからくると思うよ?武人としての話し合いが・・・・」


「・・・・え?」










一方、天水の街では


「李傕様。お疲れ様です」


「おう、お疲れ様・・・・」


町の巡回を終えた李傕が挨拶する隊士に返事をした。すると・・・


「ちょっと待ちなさい!貴様その格好は何だ?」


「え?」


「服装が乱れているぞ。そのだらしない姿で町の巡回に行くつもりか?」


「あ…す、すみません」


「非番のときはいいけど、仕事のときはしっかりした身なりをしなさい。服装のたるみは、精神がたるんでいる証拠。服装の乱れは心の乱れだ!わかったか!?」


「は、はい!!申し訳ございません!!」


李傕の指摘に隊士は慌てて服装を整え返事をし、慌てて去る。その様子を他の隊士は見ていた。それは李傕の同僚の女性隊士たちだった


「相変わらず、軍紀やら規律に厳しいよね・・・・李傕様は」


「うん。でもね服装がちょっと乱れてるぐらいであんなに言わなくてもいいじゃない。最近彼女調子に乗ってるわよ」


「そうそう先代隊長の姪だからって、副隊長の地位になるなんてね」


「しかも、先代隊長の亡き後に変わって入った新隊長さんに暴言を吐いたらしいわよ」


「あらあら、自分が隊長になれないからって、それはないよね~」


と、陰口と嫌味を叩きながら李傕を見ていた。そんな陰口にも気づかず李傕は廊下を歩いていると


「相変わらずの仕事熱心さね・・・・」


「・・・樊稠」


廊下の角で壁に背をかける少女。李傕の同僚である樊稠こと雪風がそう言う


「まだ、沖田隊長のこと、認めないの?」


「ああ、悪いけどね呂布の将軍の息子ってだけで隊長だなんて」


「そう言うあなたこそ先代隊長の姪で副隊長の地位についているじゃない」


「私は血縁で副長になったわけじゃない。ちゃんと訓練指導を受けて下の役割を果たして、上官に認められて今の役所に着いたんだ。叔父の口添えで副隊長にのし上がったわけじゃない」


「でしょうね。あなたは一番の努力家だからね。でもそれは沖田隊長もそうよ。あの人もここに初めて来たときは華雄将軍の下で一兵卒として働いて、その能力を買われて警邏隊長になったのよ。それに今の街の治安が良くなったりしたのも隊長が提案した案のおかげだってのも知っているでしょ?」


「確かに雪風の言う通りだと思うが・・・・・・」


「それにいくら望んでもあの人が、あなたの叔父である先代隊長のようにはならないわよ」


「っ!?・・・・わ…分かっているわよそんな事!!」


感情的にそう言う。しかし雪風は「でも」と付け加える


「でも先代隊長に似た感じはあるわ。あの人は・・・・」


「・・・・・雪風。あんた随分と沖田隊長のこと買っているわね?何か言われたの?私が隊長を尊敬するようにって?」


「そんな事は言われてないわよ。ただあの人は草上がりの私に対しても優しく…いいえ私だけじゃないわ町人や隊士たちにも天の御使いだなんだで鼻にかけて威張ったりせずにね。それにあの人はいつも現場を見るとき報告書頼りじゃなく、自分の足で運び自分の目で確かめているでしょ?」


「たしかに・・・・・だ、だがそれは警邏の仕事…隊長なら当たり前だ・・・・・」


そう言い李傕はその場を立ち去ろうとすると雪風は


「はぁ・・・・なら、李傕。どうしても納得ができないなら・・・隊長と手合わせしてみたら?」


「手合わせだと?」


「ええ、言葉や理屈で納得できないなら、武器を交えて隊長と模擬戦をするのよ。それが私たち武人の話し合いってものでしょ」


「・・・・・・・考えてみる」


そう言い李傕はその場を去るのであった。









「ふぅ‥…やっと書類仕事が終わった・・・・・」


翌日、俺は書類仕事という戦場で無事に終え、背を伸ばしている。母さんの中国語講座のおかげで字の書き方もきれいにはなってきたし、誤字も少なくなっている。すると廊下の外で足音が聞こえる。しかもその音はどんどん近づいてきている。すると・・・・


「隊長。失礼します!!」


急に李傕さんが入ってきた。しかもすごい剣幕で


「うわっ!?どうしたんだ李傕さん!?事件か!?」


俺が驚いてそう言う。いや、いつも無視されてていたのに、今こうして彼女から声をかけてくれたのにも驚いたけど、


「いいえ。違います・・・・・」


そう言う彼女。しかも目は若干殺気じみたものを感じた。なんだ?もしかしてクーデターでも起こされて俺、ジ・エンドか?

そう思う俺だが、彼女が発した言葉は


「隊長・・・・忙しいところ申し訳ないのですが、一つ。私と模擬戦をお願いします!」


「・・・・・え?」


俺は彼女の言葉に驚きそう返事をしてしまうのであった。


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