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第26話:プロローグ

 俺が家出を決めた日に、駅のホームで電車に飛び込もうとしていたのが恭子さん。

 勢いで恭子さんのマンションにお邪魔するところから俺たちの関係は始まった。俺が止めなかったら、もしかしたら恭子さんはそのまま……


 そんな恭子さんとは何となく気が合って、そのまま恭子さんの家に転がり込むことになった。家出中の俺は、服や食器なども買ってもらった。

 1DK、バス・トイレ付、食事付き、巨乳のエロいお姉さん付きだった。


 高校生男子とアラサー巨乳お姉さんの共同生活と言ったら「いやらしい」と変な想像をされてしまそうだけど、概ね想像通りなので、想像にお任せしたい。それはもう毎日、グチョグチョのデロンデロンなので、全く否定はしない。


 恭子さんとは気も合う上に、身体も合うらしい。ただ、俺は恭子さんに会うまで童貞だったので、あちらの方が上手いとか下手とかは分からない。恭子さんが良いって言うなら、それ以上はどうでもよかった。


 俺には3つの悩みがあった。1つ目は「家族仲問題」だろう。俺は、ある時を境に俺は家族のことを信じられなくなり、どう接して良いのか分からなくなってしまった。


 その不信感は、友人関係にも及び、高校では見事にボッチとなっていた。

 ただ、2人だけは話しかけてくれる友達がいた。やつらとは付かず、離れずの関係を保っていたので、なんとかなっていた。


 高2の時に花音に告白された。クラスの人気者花音がいきなり前触れもなく告白してきたのだ。

 言われるがままに付き合い始めたけれど、半年経過したところで、また前触れもなく振られてしまった。人間不信を拗らせていた俺には大ダメージだった。 


 クールビューティーと名高い花音と付き合っていられたことは少なからず自分の自信になっていた。

 一度手に入れたものを失った時は、元々なかったのより辛い。花音と別れてしまったことで俺は少しずつ病んでいった。これが2つ目の「元カノ花音との仲問題」だ。


 3つ目の問題は「クラスの当たりが強い問題」。

 俺は花音に振られたのだけれど、クラスの噂では、俺が酷いことをしたので、花音が耐えられなくなって別れたという話になっていた。まあ、俺が酷い振り方をしたと言うやつもいる。噂だから、正確には分からない。


 その話を聞いて立ち上がったのが、クラスの「正義の人」委員長だ。

 彼女は花音を崇拝するくらい好きだったこともあり、傷心の花音を全力で守った。

 結果、俺は過剰に攻撃(口撃)された。その声の大きさと、頻度から段々それは事実のようになっていった。


 人は思い込みの生き物だ。「あいつは悪いやつ」と思って見ると、何でもない行動でも悪いことをしているように見えてくる。

 俺は「教室内で話すことができない空気」、「花音には話しかけてはいけない空気」を感じていた。そして、これは2つ目の「元カノ花音との仲問題」をさらに悪化させた。


 俺は高校を卒業後、ひっそりと一人で暮らそうと思っていた。そのための資金を密かに貯めていた。

 ある日、そのお金が見つかってしまった。父親にこの金は何かと問われたが、俺は答えられなかった。そして、冒頭に戻る……


 俺が恭子さんと付き合うことで、花音も変わってきた。付き合っていた時よりも話すようになった。心の距離も近くなった気がする。


 俺が困っている時にはいつの間にか助けてくれている。彼女は頭が良すぎるので、俺は今までそれに気づけなかっただけかもしれない。


 恭子さんと花音の協力の下、俺たちは「クラスの当たりが強い問題」を解決した。「元カノ花音との仲問題」はペンディング(保留)


 そして、もっとも根が深い「家族仲問題」について、恭子さんの協力を得て夏休み明けまでに解決する必要がある。


 もし解決できなければ、俺は恭子さんと会えなくなり、花音と学生結婚することになるというのだ。


 そして、今、俺たちの夏休みが始まった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 再開、お疲れ様です。 次は家族問題でしょうか。さて、どうするのかなあ。
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