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【書籍化】電車飛び込みお姉さんと人間不信家出男子と最強元カノ  作者: 猫カレーฅ ^•ω•^ ฅ
第一章:エロ巨乳お姉さんと俺とチート元カノ
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第16話:負けヒロイン 藤倉花音の場合

 大失敗だった。計算外。お互い高校生ということが計算を狂わせた。


 私としたことが、クールビューティー藤倉花音(ふじくらかのん)が聞いて呆れる。有能ではあるけれど、万能ではない。人の心はある程度読めるけれど、対象が3人以上になると急に精度が落ちる。


 普段からあまり人と関わらないツケがこの辺りに影響している。


 ツケは将尚(かつひさ)との関係にも及んでいる。将尚を他の女に奪われてしまった。ダメ元で復縁を迫ってみたけれど、全く興味が無いのはすぐに分かった。


 恭子とかいう女の方が女性として魅力的らしい。確かに放課後に公園で将尚が会っていたあの女は女性の私が見ても女らしく可愛らしかった。美人だし、表情豊か。胸も大きくて身体の線が女性的。将尚はあんな女性を求めていたのだろうか。


 自分とは全く違う。私はどうも感情を表す能力に劣っているらしい。甘えるのも苦手だ。あんな風に将尚に抱きつくなんて想像ができない。以前付き合っている時、将尚の手をつないでみたけど、あまりリアクションはなかった。彼の心の中に私は入り込めていなかった。


 彼の心の中にすんなりと入りこんだ彼女(あの女)は挑発してきた。私が将尚に別れ話をした理由について気づいていた。しかも、正しい理由だけではなく、有り得ない可能性まで話していた。


 将尚とセックスをしようにも彼は私に全く興味がなかったし、たとえ全裸で迫っても手は出さないと予想された。実際手をつないでも無反応だったわけだし。


 次に心中はいよいよダメだった。「一緒に死んで」と言ったら、彼は責任感から確実に死ぬ。しかも、あの絶望の目をしている彼に死ぬ話をしたら、死の騒動にかられるようになってしまうのは確実だった。


 私が言ったことを免罪符に一気に死の方向を見つめるようになってしまう。それだけは避けたかった。


 その可能性がない今、色々な可能性についても話せた。「私なら彼を救えたわ」というあの女の挑発かもしれない。

 何も考えずに言葉を発するタイプではないような気がする。言うならば、私に似ているタイプ。


 それなのに向こうは色気ムンムンの女で将尚を手に入れていて、私はションベン臭くて将尚を奪われたただのガキということか。


 将尚の首筋に無数のキスマークと歯形を発見した。「彼の全ては私のものよ」という勝利宣言にも似た置き土産。


 逆転は現時点では不可能。だから、いくつか布石を仕掛けておくことにした。

 その一つがノート。きっとあの女はテストの過去問などを持っている。それなら将尚の好成績は確実だろう。

 でも、それだけでは学年一位は取れない。情報が足りないのだ。


 不足分をまとめて将尚に渡しておけば、テストの点数は更に上がる。テストの当日になって将尚は私の事を思い出すのだ。


 一応、ノートにはもう一つ仕掛けをしておいたのだけど、それに気づくかどうか。お手並み拝見といきますか。


 万が一、将尚が気づいてしまった時のためにおめかしする必要がある。その可能性はないな、と思いつつも、そうだったらいいなと思う自分もいた。いいとこあの女が気づいて、将尚を連れてくるといった感じだろうか。やはり、あの女に見劣りしない服が必要だった。


 後は、勢いで将尚にパンツを履かせてもらってしまった。こんな事をする予定ではなかったけれど、「本気を見せるインパクトのある行動」があれしか思いつかなかったのだ。

 ブラウスを脱ぐのは前回やって、ボタンの2番目のところでとめられた経験がある。


 更に早く行動できて、インパクトがあること。それがパンツを下ろす事だった。


 ただ、やってみて分かったけれど、思った以上に恥ずかしかった。しかも、自分でもう一度パンツを履くのは屈辱的。


 ダメ元で将尚に頼んでみたらちゃんと履かせてくれた。律儀というか……


 予定外はここでも起きた。将尚にパンツを履かせてもらったら、心の奥底で何かの欲望が爆発した。


 将尚を教室に帰し、いなくなったことを確認して、パンツの中に指を忍ばせた。漏らしたかと思う程ぐちゃぐちゃになっていた。そして、指も止まらない。


 かび臭い屋上前踊り場で埃っぽい壁に背中を預けて自分の身体を慰めた。絶頂に達したときにはその場に座り込んでしまった。


 床にも埃は積もっていて、普通ならこの上を歩くこともないだろう。そこに私は崩れ落ちた。


 私の身体は将尚を性的に求めているみたいだし、心も求めていることに気がついた。涙ながらに復縁を求めたら何とかなったかもしれないけれど、恭子がいる今となっては可能性はゼロに近い。


 今はできる事をやって、反撃のタイミングを待つしかないのだ。

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