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【書籍化決定!+コミカライズ連載中】超弩級チート悪役令嬢の華麗なる復讐譚【完結済】  作者: みなと


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10/21

閑話① 聖女

あたしの名前はマナ・プリメラ。

プリメラ子爵家の娘、ではあるけれど中身は現代日本からの転生者。


ふと鏡を見た時に流れ込んできた強烈な感覚、そして転生する前の自分の記憶。

理解した時、それはもう歓喜したわ。

やり込んだ乙女ゲームのヒロインの顔そのものだったんだもの!

綺麗なピンクの髪。染めたらバサバサになりそうだけれど、天然物だからとても柔らかな手触りでとても艶やか。

瞳はエメラルド色。

しなやかな手足、細い腰。


嗚呼神様、感謝致します!


全員攻略したからストーリーは頭の中にバッチリ入っているし、自分の役割も分かっている。


極悪非道な悪役令嬢、ルナリアを倒して断罪し、それをやり遂げた王太子様と結ばれて、国王陛下や王妃殿下、そして全国民に愛される伝説の存在になる。

エンディングまでの道筋は出来ている。

そのための世界、そのためのキャラ達。そのための、『私』。


14歳で聖なる力に目覚め、教会に通いながら聖なる力の勉強をして制御も身につけた。

あとは15歳で王立学園に入学して、そこで悪役令嬢と婚約させられている王太子様に『偶然』会って、礼儀正しくも親しみやすい私を見せるんだ。

王太子様は出来の良すぎる悪役令嬢に、王様からいつも比べられて少し取っ付き難い性格になってしまっているけれど、素はとても優しくて思いやりに溢れる本当に素敵な存在なんだから!


だいたい、公爵家だからって婚約者内定とかおかしくない?ってゲームやってる時から思ってたの。

身分があれば何しても良いの?婚約者なら、王太子様を立てるとか、そういう行動するもんじゃないのかしら!そういうとこ、あの悪役令嬢は頭悪すぎるんだよ。

何事も愛嬌が大事。マナー?礼節?そんなもの、後から勉強したら身に付くから良いのよ。アホくさい。

だってこの世界ゲームだし。リセットシステムはないけど、『私』がいる以上、『私』が絶対的な存在にして、愛されるべき存在。いわば世界の愛し子!


ルナリア、『私』がいるからには好き勝手なんかさせやしないんだからね。


そう、思っていたのに。


おかしい。


悪役令嬢からなーんも干渉されない。


ゲームの期間は卒業までのラスト一年だけど、あまりに干渉されなさすぎてどうしたら良いのか分かんない。


たまたま見かけたルナリアは、絵に描いたような品行方正なご令嬢。

そして、とんでもない美少女。体内の凄まじい魔力量に、それをいとも簡単に操作する魔法の素質の高さ。

いやほんと、チートすぎない?


どうにかして私が王太子様から愛されていると分からせないと、アイツは嫉妬に狂わない。

暴走して魔王を呼び出させ、色んな人からの信頼を無くさせた上で断罪しなければいけないのに、それをやるチャンスが、無い…?


確かルナリアのお母さんが死んでから一度目の魔力暴走があるとか、聞いたけど…。


「ルナリア様は大丈夫でいらっしゃるのかしら…」

「お母様がお亡くなりになって、……とても大変よね……全てを1人で取り仕切っていらっしゃるのでしょう?」


たまたま近くを通りかかったご令嬢達の話が聞こえてくる。

あたしは慌てて振り返って令嬢達に駆け寄った。


「ねぇ!ルナリアって魔力暴走した?!」


「は…?」


おかしいな。


「……お知り合いの方……?」

「いいえ、知らないし…こちらのご令嬢、どなた?」

「あっ、えっと自己紹介してませんでした!すみません!あたしはマナ・プリメラといいます!」


誰もが愛してくれる笑顔で、元気よく挨拶。

そうそう、ゲームでもヒロインはこうやって挨拶していた!


「…………で?」

「へ?」

「それで、何ですの?」

「いやあの、だからルナリアが魔力暴走したかを教えてほしく、て…」

「ルナリア様がそのようなことするわけないでしょう?だいたい、呼び捨てにするなんて…」

「やめましょう。この方あれよ、ほら…王太子殿下の…」

「あぁ………」


ヒソヒソと話している会話の内容、聞こえてまーすよー?


でもどうしてだろう。

おかしいって、ルナリアが魔力暴走してないとか。

魔力暴走して屋敷壊して自分は悪くない!って騒ぎ立ててもらわないと王太子ルートに入れなくない?いやでも王太子様はもうだいぶ私を愛してくださっているし…えー…なんだよ、私が攻略しかけるのが早くて手際も良いからシナリオちょい狂いしてる?


「マナさん、と仰ったかしら。貴女の質問にはお答えしてさしあげます。ルナリア様は魔力暴走など起こしておりません。言いがかりはおやめくださいませ。失礼致します」


二人組のご令嬢はそれだけ言って足早にあたしから離れていった。

何なのもう…。

聖女としてのあたしの名前も知られてるはずなのに、どうして上手くいかないの!


悶々とした日々を過ごしていたあたしは、数ヶ月後、ようやく悪役令嬢とのご対面を果たした。対面、というよりはあたしが一方的に見かけただけ。

よりによって悪役令嬢の隣には第二の推しのミトスくんがいるという状況で。


ほんとふざけないでほしい。


王太子様に言いつけてやる。

ルナリアが公爵子息と浮気したー、って!


まずいっこめのざまぁしてやるんだから!

あんたが愛してやまない王太子様に叱られて、絶望しろ!




まずそれが間違った考えだと気付いたのは、もうしばらく後だった。

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