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「暮らし」など

いまはそればかり

作者: 維酉

 しあわせって目にみえなくて、わたしのすきはきみのきらいで、からだの半分は本当で、もう半分は空虚。こころ・からだは分離しており、それなのに合一で、背反した性格をいっこにまとめたせいで、すぐに破綻する。いつか崩落する橋の上できみとダンスしてる。


 そのステップは奇妙だ。おそくなったりはやくなったり、わたしのために踊ったり、きみのために踊ったり。目的と手段、あるいは自然と生活が抽象的な身振りで合理化される。そのためのステップ、わたしたちはダンスしてる。


 ねえ、まるで『レディオガ・ガ』をリピートする土曜日みたい。生きることは繰り返し。いくつも同じステップを踏む。きみと手を繋いで、もしくは突き放すなどして、そのときどきのしあわせを追い求めていく。それが生活になる。


 きっとはたから見たらいい喜劇。だってそれくらい愉快な身振り、手振り、顔つき。ぎこちないよな、毎日って。時計の針はカチカチ進む→結果が起こる、固まった速度で。


 だとしても、この暮らしは花束になる。どれだけへたくそな時間でも、それはきみの女の子になる瞬間。あるいは、べつのひとの少女になる瞬間。処女になったり、おばあちゃんになったり、そのときどきで生活をかたちづくる瞬間。きみというわたしに捧げる花束。


 かなしいかな、しあわせは目に見えない。きみはしあわせ? だったらわたしは? どこに担保されてるの、それは?……あたらしい所作でしか、未来はありえない? いまはそればかりで、もういちどリピートする。

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