アリサ[第20章]
「パパ、カオル。早くして。」
ショーのママが、居間から2階へと声を出している。
レイコさんは、タクシーに電話をしている。
いやいや、降りてくる、パパとカオル。
「ママ。今後にしないか?」
「ショーに言って、アリサさんの家の都合も聞いて……。」
言う、パパとカオル。
パパとカオルは、カッターシャツにサマージャケット。
ママは、Tシャツに、白いジーンズ。
レイコさんは、空色のスカートで、お出かけの準備をしている。
「言ったら、サプライズにならないわ。」
レイコさんが。
「それに、もうすぐタクシーくるし。。」
玄関のベルが鳴った。
「来たみたいだけど。」
ママが、追加して、話した。
何日か前に、ショーの家に、アリサが来た。
ショーママとレイコさん。
アリサを気に入ったみたいで。
「アリサちゃんに、会いにいこう。アリサちゃんのレストランで、夕食会をしよう。」
と、話がでた。
ママ、ソファでくつろいでいる時、横のパパに話をしている。
「ああ、いいね。」
言った、パパ。
ママとレイコさんは、大喜び。パパとカオルは、ふたりを見ていた。
いつもの、女子会のつもりで聞いている、ふたり。
ところが。
「カオル。この日空けていてね。」
レイコさんが、カオルに言った。
「いいよ。」
「パパもね。」
ママが言った。
「ああ、いいけど。」
パパとカオルが、言った。
「よし!」
喜ぶ、女性達。
「じゃ。この日に、みんなで行きましょう。」
レイコさんが、カレンダーに、ハナマルを書いた。
「えっ?」
「どこに?」
「いやだ、カオルったら。」
「そうよ。パパも行くのよ。」
「アリサちゃんのレストランに。」
背中から、抱きつく、レイコさん。
「誰が?」
「パパ。おもしろい。解っているのに。」
「私達4人で、アリサちゃんの店に行くのよ。」
「行くよね。カ オ ル。」
「パパもO.K. したでしょう。」
ママとレイコさんに落ちた、パパとカオル。
それでも、当日になっても、逃げようと、ダダをこねた。
そして……。タメ息を出した、男共。
「仕事はねぇ。」
「速いけど、家では。」
言う、レイコとママ。
顔を見て、笑った。
嫌がる、パパ達を引っ張って、タクシーに乗りこんだ4人。
海岸通りのレストラン【インファント】まで走ってもらうように言った。
「呼ばれているんですか?お客さん。」
タクシーの運転手が、声をかけた。
「えっ? ええ、そうなんです。」
「今年は、いつもより、賑やかですよ。」
「テレビ局も来ているし。」
話をする、運転手。
「そうですか……。」
パパが、わからないまま、笑っている。
途中、デパートでケーキを買った、ママとレイコ。
ショートケーキの箱が、4っ。
「何人いるか、わからないから。」
レイコさんが言った。
タクシーを降りた、パパとママ。カオルとレイコ。
近くの駐車場には、中経車が、止まっている。
砂浜では、お祭りか、ライトアップして、テーブルに、イスが、置かれている。
海の家では、人だかりで、美味しそうなにおいが、鼻を誘った。レストラン【インファント】のドアに手を置いた、ママ。
ドルフィンのタトォーをいれた女の人が出て。
「今日は、昼までなんです。」
と、申し訳なさそうに言う。
「そう。」
「やっぱり、聞いた方がよかったな。」
パパがママに言った。
「帰るか。」
と、言った時、ドアが開いて、女の人が、出てきた。
「あれ? パパさん。ママさん?」
手の荷物を、パパに渡して、女の人が、奥に。
「ショー! パパさん、ママさん、来たよ。」
ドタバタ、ガチャン。バレーボールが、いくつも、出てきた。
拾う、女の人達。
足をもったまま、ドアにきた、ショー。
「ど、どうしたの?」
「いや。」
パパの話を引き継いだ、ママ。
「夕ごはんを、ここでと、思っていたのだけど。」
「アリサちゃんのママとも、話できたらと、思って。」
「待ってて、ママ、呼ぶから。」
店に入りかけて、荷物をショーに渡した。
「ママ。」
「ショー君のお母さまですか?」
ドルフィンの女の人が店の中に。
ショーママとアリサママとの、挨拶。
ショーママが、
「夕食を、外食にとなりまして、主人が、一度、アリサちゃんのお母さまに会いたいと、申しますので、よらしてもらったのですが。」
パパとカオル、顔が引きって、笑っている。
レイコ。目を丸くして聞いていたけど、細くなって、笑い顔に。
ショーは、頭を掻いて、見ている。
アリサとアケミは、ショーを見て、ママさんを見た。
ママとママのながい、長い、挨拶。
おみやげにと、ケーキの箱を渡した、ショーママ。
「コーヒー、入れますね。」
アケミが、キッチンに。
アリサが、銅のマグカップに、砕いたアイスを、山盛りに入れて、テーブルに、置いた。
スタッフのお姉さん達が、サイフォンのコーヒーを、前で、注いだ。
音をたてて崩れる、クラッシュアイス。
コーヒーの香りが、ショーママ達をおそった。
「凄いね。」
「店で作ってもらうのは。」
テーブルの前を通る真っ黒の人々。
アリサがドアにカギを掛けた。
「どうして閉めンのよ。アリサ。」
「お客さん。ショーのパパとママ、来たの。」
スタッフドアから入る、人々。
アリサのママが、色々なケーキを皿でもってきた。
「あら、いやだ。こんなことさせて。」
レイコが。
「先に選らんで下さい。」
ショーママが、言った。
「美味しい。」
アリサママが。
「本当。甘過ぎず、何個でも、食べられそうね。アリサ。」
「姉ちゃん。ブタになるぞ。」
にらむ、アリサ。
「アイス、ド、カフィも、美味しいです。」
レイコが言った。
「カオル。こんど、ふたりで来ようか。」
「ぜひ、来て下さい。」
アリサママが、言った。
テーブルの前に、カメラに、ライトが、設置させている。
「何かあるのですか?」
ショーパパが聞いた。
アリサとショー。家族から離れて、ケーキを、コーヒーを飲みながら、話をしている。
「今日、夏休みの最後の日曜日でしょう。」
うなずいた、レイコ。
「いつも、終わりの日曜日。ライフセーバーのお祭り。『お疲れ会』するの。」
話す、アリサママ。
「明日から、子供たち、宿題のラストスパートで、少なくなるの。」
「それに、大学へと、行く人も、多いし。」
ショーと話をする、赤髪のお姉さん。
ビキニで、パンツに、スパイダーマンと。
「あのお姉さん。国立K大の学生よ。」
アケミが言った。
「私、知っている。」
レイコが。
レイコを見て、手を振る、スパイダーマンのお姉さん。
「学校始まったら、マンション暮らしよ。」
小麦色に焼けた肌。赤色が、似合っている。パンツが、くねくね揺れている。
「来年、U ターンするって、言っているの。」
「近くの会社で働くのよ。」
スパイダーマンが、見ている。
アリサが、ママ達を見て、
「これでいこうと思うの。」
「O.K. 話しておくね。」
出て行った、スパイダーマン。
「私達、お客さんなのよ。今日は。」
アケミが言う。
「じゃ、ショー君も?」
レイコさんが、聞いた。
パソコンに向かう、アリサ。
テーブルを移動して、カメラや、ライトをセッテイングする、スタッフ。
ショーがいない。
アリサは、隣の店に入った。
「ショー君。今日は主役よ。」
「アリサとね。」
アリサママと、アケミが言った。
「主役?」
ショーパパが、聞いた。
「言ってないのですか?塾のこと。」
アリサママが、言った。
「あのふたり。塾に行っていて、今、人気者なのよ。」
「何、するか、楽しみ。」
「ショー君、塾に行っているの?」
「ええ。」
ディスクをセットして、テレビのスイッチをいれた。
ショーとアリサが、映っている。
ホワイトボードを使って、講義する、スパイダーマン 。
スーパーマンもでている。
「何、これ?」
レイコが聞いた。
「塾。ネット塾よ。全国チェーンの塾が、家でできるようににしたのよ。」
「こんなのが。」
パパが言った。
「そうなんです。家からでも学べるし、先生も選べるの。」
アケミが言った。
「国立大学や、県立の学生が講師したりして、おもしろいの。」
「それに、先生のランキングも解って、ボーナスもつくのよ。」
ママとアケミが笑った。
「講師の人達、遊びで、スパイダーマン、スーパーマン、キャットウーマンで、やっているの。」
「人気とりでね。」
「隣の店、夜、塾なのよ。」
スーパーマンと、ショー、アリサの講義が流れる。
「見ていて。」
スーパーマン。白い肌から、少しづつ、焼けて、黒くなっていく。
「この子、T大の学生。」
「T大って、国立T大?」
「家が、通りの、民宿レストラン。」
「夏休み、家の手伝いと、ライフセーバーをしているの。」
アリサもショーも、店の水着を着ているみたいで、モデルで歩いている。
『今日はこれです。』可愛く笑う、アリサ。
スパイダーマン。
もっとすごい表れ方を。
天上から、ロープを、布で使って、登場する。
「これだけでも、楽しいでしょ。」
アリサママが笑って言った。
「編集は、私だけれど。」
アケミが、しっかり、アピールしている。
その左腕に、ドルフィンのタトォーが。
他の講師も、白からでも小麦に、そして、黒々になっていく。
キャットウーマン。
白ネコから、黒ヒョウに代わっていった。
レザージャケットも、白色から、赤に、茶色になって、黒のジャケット。
それも、水着に併せて、色々なジャケットを。
「すごい。たくさん!」
「あの娘、バイクに乗るから、借りまくっているんだって。」
「アリサと同じよ。」
アケミとママが。
「でもネ。今、人気があるのが、ショー君とアリサなの。」
と、言うアリサのママ。
「えっ?」
「どう言うこと?」
ショーのママが、レイコが、聞いた。
「始まりは、これ!」
アケミが、スタートボタンを押した。
「めっちゃ笑うよ。」
ママが言った。
スーパーマンが、授業をしている。
テーブルの上には、ノートやタブレットと一緒に、怪獣や、ヒーローのフィギアが。
「何、しているの?」
ショーのママが言った。
飽きれる、カオル達。
「ここからよ。」
アリサママが、言った。
『じゃ、今日の講義はここまで。』
『皆さん、また、来週、会いましょう』
「床に、台と、トランプリンがあるの。」
アケミが言った。
カメラは、スーパーマンが飛んでいく姿を撮っている。
ガチャガチャ、ガラン。ドタン。
『ママ。スーパーマン。店、壊した。』
アリサが映る。
伝声管に大声で叫んでいる姿が。
ママが飛んで来て、怒っている。
アケミが、入って来た。
お玉を取り上げて。
『ピラフ。焦げたよ。』
と、カメラに、投げキッスをした。
スーパーマン。
正座して、頭を下げている。
カメラと音声の担当のセーバーのお兄さん、お姉さん達が、スマホで、話している。
『えっ! 後、5分ですか?』
ショーとアリサが来た。
『5分で中経、終わるって。』
『どうするのよ!』
スタッフが、慌てている。
スーパーマンが怒られている。
その姿が、映っている。
ショーは、店のネクタイをして、メガネを。
アリサは、長い髪を巻いて、キャラ付きのポールペンで、止めた。
ふたりを撮すカメラ。
チュッパチャップスを、アリサに渡す、ショー。
『何?これ?』
『マイクがわり。』
『私。これ、キライ!』
と、ショーのを奪い取った。
『この戦い、スーパーマンが勝つでしょうか?』
『それとも、モンスターママが?』
マジックが、飛んで来た。
避ける、アリサとショー。
『これで負ければ、シッパイマン。いえ、スッバイマン、ですね。』
アリサが、ショーの顔を見た。
笑い出す、アリサ。
『もうすぐ、お別れの時間です。』
笑いながら言う、アリサ。
アリサの肘鉄が、ショーの脇腹に。
『まだ、続いています。』
ショーが、さすりながら。
『この続きは、来週のこの番組で。』
スーパーマンが、ママに謝っている。
その前に表れた、アリサとショー。
『キャスター、アリサ海渡。』
『コメンテーター、ショー鈴木が。』
アリサ、泣いている。
『お送りしました。』
『では、又、来週。』
手を振る、ショー。
THE END 。の、紙をもつ、アリサ。
『ハイ、OK 』
の、声が聞こえた。
途端、笑い崩れる、アリサ。
泣きながら言う、アリサ。
『ショーのアホ!』
そして、暗くなった。
「おもしろいでしょ。」
スパイダーウーマンが、赤い髪で、入って来た。
「これが始まりなの。ネ。ママさん。」
全国で、流れたと、言った。
「え! これが?」
うなずく、3人。
学習塾のネット動画に。“面白い” と、話題になり、再生回数も、増えた。
そして、今、10分の特別枠を、番組で持っている。
スパイダーウーマン。座り込んで、話の輪に入っていった。
アケミが、冷コーを出した。
「え!」
「ありなの?」
セーバーの男共が、見ながら、荷物をもって出入りしている。
女性陣、話の輪に。
「何、話しているの?」
通りすぎる男共に、
「がんばって。」
手を振る者も。
「でネ。こんなの、作ったのよ。」
流れる、動画。
ハンドカメラで、画像が揺れている。
セーバーを泣かす、迷子の女の子。
「ママ、ママ。」
と泣いている。
アリサが、飛んできた。
『何していんのよ。』
女の子を抱きしめた、アリサ。
『怖いお兄さんにからまれたのね。』
怖いお兄さん、セーバーは、退散した。
泣き止む、女の子。
『ねぇ、どれがいい?』
チュッパチャプスを見せた。
5つのチュッパチャプスが。
『これ!』
イチゴミルクを、口の中に。
『お名前は?』
聞く、アリサ。
女の子が、腕を出した。
左腕に、花畑が。
そこに、名前と、スマホの番号が。
『ユキナちゃんか。かわいいネ。』
『ウン。ママ、書いてくれたの。』
『カッコイイよ。』
家の人が、来た。手を振る、女の子。
朝、セーバーの訓練が。
ショーとアリサ。
他のセーバーや、学生も、入っている。
自動車で来ている、家族が、何人も、見ている。
ゲームをしながらの、訓練。
棒とりゲーム。
セーバーの人達と、海水浴の若者が、一緒になっている。
女の人の声援を受けて。
『ねぇ、ショー。賭けない。』
『何を?』
『ジュース。』
ショーとアリサ。
3人のセーバーが、スタートラインに。
手を叩く、セーバーのお姉さん。
ショーとアリサが走った。
3人、ラインから、動かない。
ショーが、棒を手の中に。
『取った。』
その上にアリサが。
耳元でささやく、アリサ。
カメラが回っている。
棒が、手から離れて、砂の上に。
アリサが掴んで、馬乗りに。
『ハイ!一番!』
手を上げた。
『アリサ!ずるいぞ!』
セーバーは、笑って。
『アリサの勝ちだ。』
カメラに向かって。
『全国の皆さま。私、アリサが、ショーより強いのです。』
ガッツポーズを取る、アリサ。
『キャスター、アリサからでした。』
手を振る、アリサ。
ショーママと、レイコさん。
笑い転げている。
「ネ。面白いでしょう。」
「あの子。家で何も言わないから。」
ショーママが。
「あら、うちとこもよ。」
「アリサが行ったなんて、知らなかった。」
他に、街や、市の名所や、学生達の、水着コンテスト。
熱中症の対策、ライフセーバーの訓練や、インタビュー。
子供達や、ママさんの話、人魚の涙の話、等。
「すごい!」
「たくさんあるでしょう。よく考えつくものだと思っているの。」
セーバーのお姉さん達。笑っている。
「それで、今日、あの子達が、特番、作ったのよ。」
「えっ?「本当ですよ。」
「ゆっくりしてください。」
セーバーの女の人達が出ていった。
「今日は、私達。お客さんなの。」
アリサママが、言った。
「でも、アリサから聞いた時、協力すると言ったのよ。この娘。」
「そしたら、ムチャぶりしてくれて。」
アケミが。
「ゆっくり、見れなくて。」
「なに言ってんのよ。喜んでいるクセに。」
と、叩く、アケミの、アリサの、ママ。
アケミを呼ぶ、“スタッフ”ジャンバーの人が。
「がんばって。」
手を振る、アケミのママ。
ショーのパパとママ。
カオルと、レイコ。
19時から始める、生番組。
アケミは上がって、アリサと、ショーは、楽しんでいる。
「あの子、あんなに、度胸あるなんて。」
ステージの前。
テーブルは、埋まっている。
その中、予約席に案内された、パパさんや、ママさん達。
階段席も、人で埋まっている。
屋台や、海の家の人達が、おでん、たこ焼きや、ジュース等を売っている。
アリサの、ショーの、副担任が、パパとママと、横のテーブルに。
担任の水着、宇宙人のヒーローが。担任の前に集まる、学生達。
その横に、おもちゃ屋〔地球防衛軍〕の店長が。
セーバーのお姉さん達や、アケミが、缶ビールや、おでん、たこ焼きなどなどテーブルに並べた。
浜辺では、子達達だろうか? 打ち上げ花火をしている。
スタッフが、リハーサルをしている。
そして、ステージに、ライトの光が。
ショーとアリサが現れた。拍手で迎えられた、ふたり。
「◯◯海岸夏のBEST3で、始まった、特番。
スクリーンに映し出される、文字が。
スタッフが、アリサのママを呼んだ。
「3位。ショーが、アルバイトの特別プレゼントで、もらった、マウンテンバイク。」
スクリーンに、ボロボロのタイヤも、なくなった、バイクが。
アリサが、話をする。
亡くなった、パパのバイクだと。
セーバーをして、人をふたり、助けたけど、命を引きかえに…。
みんなが、聞いている。
アケミが、アリサのマウンテンバイクを、ステージに。
ママのバイクを、アリサが乗っている、と言う。
アリサは、ステージを降りて、ママの元に。
ショーが修理した、マウンテンバイクに乗って、ステージに現れた。
「どう、ママ。」
ママ。アリサに肩を埋めて。
「ありがとう。アリガトウ。」
アリサが、ショーが、ママを支えて、席に座らせた。
事故を知っている人々は、涙を流している。
そして、第2位。
スクリーンに、かわいい女の子が、アリサに聞いている。
『夏休みの宿題は?』
ショーが答える。
『宿題はないけど、夏休み終わって、テストがあると。』
『変わろうか?』
横に首をおもいっきり振る、女の子。
「見ている、みなさん。夏休みの宿題は?」
アリサが。
「後、4日!」
「がんばれ!頑張れ!!」
ショーと、アリサが、ガッツポーズで。
「アリサ!自信は!」
「ショーは? 塾、行ってないけど。」
「アリサも、レストランの手伝いで。」
言う、ふたり。
「結果は、来週、お知らせします。」
ショーママと、アリサママ。見合って、笑った。
「言えるぐらいの、勉強したンだ。」
「第1位!」
スーパーマン。スパイダーウーマン。キャットウーマン。が、ステージに。
「今年、ライフセーバーの活躍で、死者、ゼロだと。
大きな拍手が。
「7年連続です。」
もっと、もっと、大きな拍手と、雄叫びが。
「その中。」
ショーが、話を始めた。
救急車の出動回数。
1日の回数を、言った。
キャットウーマンが、ボードを。
3位。体調不良。
「疲れているのに、来られたり、缶ビールのの飲み過ぎで、倒れる人が多いです。」
「本人も、辛いですが、家族の、子供達の顔も曇ります。」
「海水浴で楽しむ為に、ムリをせず、海の家などで、休んで下さい。」
スパイダーウーマンが、ボードを。
「缶ビールなどで、脱水症状になる人が多いです。仲間に合わせて、飲んで、飲まれる人が多いですが、あなたの体調を見て楽しんで下さい。」
ウインクする、スパイダーウーマン。
「1日、遊ぶのも、体調を考えてから。友達に、仲間に、いやな思いをさせたくないでしょう。」スーパーマンが、ボードを。
第1位。迷子。
「それも、大人の迷子も、多くなっています。」
と、言う、スーパーマン。
「今年、このような物を、作りました。」
シールである。
スーパーマン。キャットウーマン。スパイダーウーマン。の、腕に、シールが。
「タトゥーシールです。」
スーパーマンが、キャットウーマンが、スパイダーウーマンが、腕のタトゥーシールをカメラに、見せた。
「ご利用下さい。」
「では。」
ショーが言った。
「◯◯海岸。アイランド。夏のカーニバル。スタート!」
アリサと、アケミ。
ステージに上がった。アケミは、ドルフィンの水着。
アリサはバラの水着で。右手で、タトゥーを隠して。
UFOと、シンドバッドを歌った。
「もう、汗、かいた。」
アリサママが、言った。
「いいね。こんなの。」
レイコさん、目を細めて、言った。
海岸通りの店のレポートや、市長、会長さんのインタビューが、流れている。
そんな中、スタッフのお姉さんが、ショーママに話をしている。
テーブルを離れた、ショーママ。
レストランの中に。
「えっ!」
ママが驚いた。
スタッフのお姉さんの話では、ゲストが来れなくなったと。
それで、ショーママにでてくださいと、話をしている。
「で、できません。」
言う、ショーママに、スタッフが、考えてしまった。
「番組に、穴が開く。」
「なにか、他の方法は?」
言っている、スタッフ。
その姿を見た、ショーママ。
ため息をついて。
「なにをすればいいのですか?」
と、聞いてしまった。
台本を見せる、スタッフ。
ショーとアリサが、ピアノを弾く。
”ラフマニノフ”と、“ある日 どこかで”
「その曲に合わせて、話をする。」
アリサママは、店にいる、ショーママを見て、
『捕まった』
と。
ステージの前の屋台。
アリサのおばあさんが、タイの兜煮を、アリサに。
次々と売れていく、兜煮。
アリサは、たっぷりの汁に浸かった兜煮を、レストランの冷蔵庫に。
『アリサのだぞ!姉ちゃん、食べるな!』
紙を張って。
ショーは、白いカッターシャツに黒いスラックスで。
アリサは、カッターシャツに、黒いスカートで、カメラの前を通った。
アリサ、カメラの前で立ち止まった。
「次、ショーママ、出るよ。」
タブレットは、塾のCMが、流れている。
モニターに、映った、アリサに、驚く、カオルとレイコ。
ショーパパ。
台本を見る、アケミに、セイバーのお兄さん、お姉さん達。
「変更、聞いてない。」
アリサと、ショーが、ピアノの前に座った。
その姿を見る、ショーママ。
テーブルには、クロスがひかれている。
バラの花束が花瓶に生けられて、“ある日どこかで” の、DVDと、CDが、2枚置かれていた。
「アリサちゃんも、買ったんだ。」
ママが、笑った。
ライトが点いた。
そして、カメラの赤ランプが点灯した。
床に置かれた、モニターを見る、ショーママ。
その横に、カンペを持った、女の人が。
テーブルの下には、スタッフのお姉さんが、隠れている。
ピアノを奏でる、ショーと、アリサ。
その中、カメラがショーママを撮した。
モニターに、タブレットに、現れた、ショーママに、ショーパパや、ママを知っている人々は、驚いている。
「誰? あの人?」
「店の人かな?」
人々の声が、聞こえてくる。
アリサママは、笑っている。
「いま、息子が奏でている、ピアノ…」
はじめから、台本を見ずに話をする、ショーママ。
「映画のテーマソングです。」
「『ある日どこかで』。20年以上前の昔のです。」
「パパとのデートの日。雨が降っていて、」
「映画を、と。」
「映画館のお姉さんのおすすめで、」
話をする、ママ。
「見終わって、感動して、ウルウルして、パパを。と、見たら、パパ、寝ていたのよ。」
笑いがおこった。
「それで、もう1度、見れたの。」
「映画館。出た時は、夢の世界から、引き戻されたみたいで、思わず、泣いてしました……。」
みんなが、ママの話を聞いている。
「それから、何年かかして、レンタルビデオ屋で、見つけたの。」
「借りて、返して、そうしたら、もう1度、見たくなって。」
「手元に置きたくなって……」
「返しては、その日に借りて…」
「ある日。店の人に言ったの。『今、返した、ビデオ、もう1度、見たいの。』って。店の人、驚いていたけど。」
「あの時のビデオ。DVDの3倍の値段だったの。」
見ている人から、
「高かったンだな。」
と、声が聞こえた。
レンタルビデオ屋で、中古ビデオを見ていて、売っていて、そしたら、英語バージョンも、見つけて。」
「時が、DVDの時代になって、始めて買ったのも、それです。」
DVDを、手に取った。
「CDも、サウンドトラックと、オーケストラのが、出て…。」
CDも手の上に。
「『ある日どこかで』1980年に作られた、映画です。」
「人々から広がって、今は、ロケ地のホテルは、聖地になっていると、聞いています。」
ショーママは、遠い日を思い出しながら、言っている。
「この番組を見ているみなさま。よろしければ、1度見てください。」
と、言う、ショーママ。
「おばさんの、おすすめですよ。」
「おばさん!って、言うの?」
アリサが、ショーを見た。
カンペを見る、ショーママ。
『もうすぐ、終わりです。ガンバッテ!!』
ママの目には、『終わり』の字が。
カメラは、ママを撮っている。
現実に戻った!もどされた! ママ。
立ち上がって。
「ショー!」
「もう、これっきりにしてね!」
「恥ずかしいンだから!!」
怒る。ママ。会場で、見ていた、人々、手が、止まって、口を開けて。スクリーンを見ている。
スタッフのお姉さんが、おそるおそる、ママの手をつついた。
「えっ?なに!」
カメラを指さす、お姉さん。
カンペを見る、ママ。
「私、ショー鈴木のママが、お送りしました。」
首まで、真っ赤になって、言った、ママ。
ショーが、アリサが、スタッフが、拍手している。
その中、ショーママは、アリサママと、会場に、テーブルに帰ってきた。
大きな、割れるような、拍手が、ママさん達を包んだ。
「よかったよ。」
パパが、包みこんだ。
「私、恥じかいた…。ショーのおかげで。」
カメラが、テーブルを撮っている。
ママに付けたマイクが、話を声を拾っている。
アリサママが、店から、ワインを持って来てくれた。
ワイングラスを両手で持って、イッキに飲み干す、ショーママ。
スクリーンには、ママ達が映っている。
「よかったよ。VTRより。」
言う、カオル。
「えっ?どう言うこと?」
「ゲストが、来れないって、…」
「誰が言ったの?」
アリサママが、聞いた。
周りを見る、ショーママ。
「スタッフの人が。穴、空くので…って、言ったの。」
みんなが、ショーママの顔を見る。
台本を見る、アリサママ。
「ここ、街の紹介ってなっているけど…。」
ショーのママが見た。
「本当だ。」
ショーが、ママの前を通った。
崩れそうな顔を、ガマンして、ママを見ないように。みないように。
後ろから、アリサが。
口を開けて、ふたりを見る、ショーのママ。
アリサが、ママを見た。
目と目が合った。
ママとアリサ。
吹き出した、アリサ。
笑い転げながら、ショーをおいかける、アリサ。
スクリーンに、アリサの姿が。
「アッ!」
ママが叫んだ。
「今のも、撮っていた?」
うなずく、人々。
「もう!イヤだ!!」
パパに抱きついた、ママ。
パパ。ママのマイクを、外した。
拍手のなかに消える、ママ。
スクリーンには、タブレットは、商店街の紹介VTRが、流れている。
そして、雑貨店、インファイトの紹介が、映った。
アケミが、セイバーのお姉さんが、お兄さんが、出ている。
店の、オリジナル?の水着や、ワンピースや、遊び着をまとって。怪獣の玩具や宇宙人のヒーローが、非売品のシールを張ったケースの中に、飾られている。
中には、お姉さん達が、作った、アクセサリーや、服も、置いている。
「売れ行きランキング!」
アリサと、ショーが、言う。
「第3位!」
アリサママ。ショーのママと、ワインを飲んでいる。
「いいの?」
レイコさんが、言った。
「帰りも、タクシーよ。」
「泊まっていけばいいのよ。」
アケミが言った。スクリーンを見て、飲んでいる、アリサのママ。
「モスラの抱きマクラ!」
ママが、ワインを吹き出だした。
「だ大丈夫?」
ショーのママ。白いジーンズに、ワインの雫がついたのも、気にせずに、アリサのママの背中をなぜている。
「大丈夫。ありがとう。」
「モスラと寝たら、夢の島に連れて行ってくれるかも!」
「楽しい時も、いやな事も、聞いてくれる、私達のお友だちです。」
「お友だちだって。」
カオルが、言った。
「知らないの? ショー。ソファに置いているのよ。」
「これって、全然売れないの。9年間。」
ママの後をつないだ、アケミ。
「10万個、作って、1万個も、売れてないのよ。」
「勝負に出たようね。アリサは。」
笑う、ママさん達。
ショーのママは靴を脱いで、プラスチックで造られた、肘かけイスに、うまく、崩し正座をしている。タバコを飲みながら、ワインを肴にしている姿は、『もう、絶対、動かないぞ!』と、言っている。
「第2位。」
「人魚の涙で作った、服。」
アケミや、ライフセイバーのお姉さん達が、モデルのように、歩いている。
海に捨てられた、ガラスの瓶。何十年も、何百年も、海の中を泳いで、砂浜に上がった、人魚の涙。その、人魚の涙に穴を開けて、ボタンに。アクセサリーに、使った。
「だから、ボタンの穴の大きさも、ひとつひとつ、違うの! この服。同じ物がないのです。」
アリサが、話している。
「私、買おうかな!」
レイコが言った。
「買うなら、すぐよ!」
アリサママが、言った。
「ボタンになる涙が、少ないの。」
「それに、服、作る人が、少ないの。」
「どうして?」
レイコが。
「趣味で、作っているの。」
「デザインも。」
笑う、アリサのママとアケミ。
「アケミ。連れていったら。」
「そうね。今度、出来上がったら、持って来てもらうので、店に来ます?」
レイコに言う、アケミ。
缶ビールは、テーブルの上で、山となって、地面に、何個も、転がっている。
「第1位!」「貝のハンドクリーム!」
「真珠の貝。アコヤ貝を、パウダーにして、練り込んだ、ハンドクリーム!」
「真珠のエキスを、あなたの手に。」
「日焼けした、顔にも、良いよ。」
言う、アリサ。他に、街の、海岸のキャラクターなどが、紹介された。
次に、キャスターのお姉さんが、レストランの案内を、アケミに。店内には、ママがキッチンに、立っている。100年前に作られた、店。伝声管に、ベルが、いくつもある。
「まるで、船の中みたいですね。」
と言う、キャスター。白いピアノを奏でる、シズカ。
そんな中、売れすじ3位を。
「第3位。」「ビッグビッグバーガー。」
レポーターが、フォークとナイフで、切って食べている。
「おいしい。」
口を押さえる。レポーター。付いている、サラダに、グラスに入った、フルーツのゼリー。
丸いイスに置かれた、BBバーガー。
その横に寝る、セイバーのお姉さん。
アリサが言う。
「あなたは、BBバーガーと、お姉さん。どちらを食べたい?」
周りから、大笑いが。
セイバーのお姉さんも笑い転げている。
次に、向かいの長イスに寝る、お兄さん。
黒々とした、顔に、白い目と、白い歯が。
「このゴリラより大きいBBバーガーです。」
怒り出す、お兄さん。
ドスン!と、落ちる音が、した。
床でもだえ苦しんでいる、お姉さんが映っている。
「そんなにおもしろい。」
ショーが聞いた。うなずく、お姉さん。
「ゲロゲロゲロ。」笑いが収まりかけた、お姉さん。
スイッチが入った。
「ゲロゲロゲロ。ゲロ。ゲロゲロ。」
苦しむ、お姉さん。
アリサも、つられて、スタッフも一緒になって、笑っている。
バン。バン。お玉が、ふたりの頭に。ママや姉さんが、立っている。
ふたりとも、笑いをこらえて。
ショーが誤った。
「ゲロ。」「ゲロゲロ。」
「いいかげんに!と、笑いながらふり回される、お玉。
カメラも、揺れている。
「あー、しんどかった。」
アリサが、床に崩し正座で。アリサを睨む、姉さん達。
「ショーが悪いのよ。」
指さして言う、アリサ。
「ゲロ。」
正座して、頭を下げる。ショー。
ここしばらくまた、笑い出した、アリサに、姉さん達。
それを見ている、広場の人々。
「ゴリラより、大きいです。」
で、笑い出した、人、ひと、ひと達。
「ゲロ。ゲロゲロ。」
大笑いが続いた。
「たすケテ。」
「止めてよ。」
言う、人々。アリサ。笑いをこらえている。
ショーは、広場の人々を見て、驚き、笑っている。
「ショーのアホ!」
顔をうずめて、腕にツメを立てる、アリサ。
「第2位。」
笑って疲れた…。と、顔に出ている、アリサ。
「恋人達のビッグパフェ!」
アケミが、パフェを持つてきた。
「お姉ちゃん。ビッグビッグパフェじゃない!」
「… …。まちがえた。」
と、持っていこうとする。
「ねぇ?これ、どうするの?」
「処分するのよ。」
「どうやって?」
「きちんと、お腹の中に入れるから。」
笑顔で答える、アケミ。
「ズ!ずるい!!これもおいといて!」
カメラの外から、笑いが起きている。
ショーは、見ている。
姉妹げんかを。高さ、30センチ以上のパフェ。
撮影用にか?イチゴが、ふんだんに使われている。
そして、すぐに、アリサのママが、ビッグパフェを持ってきた。
「アリサ。怒っちゃうぞ!」
メロン、バナナ、リンゴ、など、山モリになっている。
頂上には、イチゴが、1個、大きくのっている。
「これが、ビッグパフェ。」
「お友だちと一緒に食べてください。」
アリサがショーと並んで映っている。
「すごいね。」
言う、レイコ。
「でも、これ、食べ切った男の子、ふたり知っているのよ。」
ショーのママが、言った。
「えっ?」
「ええ~!」
「大丈夫なの?」
アリサのママが、聞いた。
「ショーの友達の、吉田君と、田中君。」
「7月に、ファミレスでネ。国道沿いの。」
「ショーが、塾のこと、なにも言わないので、聞いたの。ファミレスで。」
ショーママが言った。
「もうひとりは?」
レイコが、聞いた。
「阿部君? あの子は、抹茶パフェ。レギュラーサイズの。」
「で、どうなったの?」
アケミが。
「全部、食べ切ったの。」
「すごい?!」
アリサのママが。アケミが。
「気持ち、悪いは。」
聞いていた、女教師が言った。
「血糖値、上がりそう。」
「私も、見た時、おもわず言ったのよ。」
笑う、ママさん達。
「パパ。何、考えているの?」
副担任が言った。
「もしかして、パパ。挑戦しようなんて?」
「えっ?」
笑ってごまかす、おもちゃ屋の店長。
スクリーンでは、ショーが話している。
「ただし、女の子達でね。」
「時々、いい大人の男達が、注文するの。」
アリサが言った。
ショーが突っ込みをする。
「どう思った?」
「男が分けて食べるものではないは!!」
笑いが起こった。
「お客さん。女の子達が、青ざめていたもの。」
アリサが言った。
「そして、これが、恋人達のパフェ。ビッグパフェです。」
「ひとつのテーブルで、温かい時を過ごしてください。ふたりで。」
アリサが、言った。
「他のテーブルのひと達に、見せつけて。」
ショーが。
そして、イチゴをすくった、ショー。
「アリサ。アーン。」
目を丸くした、アリサ。
アリサの口に入れた、ショー。
「お、おいしい!」
クリームのついた口で、ショーにキスを。
見えない所で、声になろない音が、鳴り響いた。
「カオル。後で食べようね!」
レイコが、カオルに抱きついた。ショーのママが、パパに手を重ねて微笑む。
「第1位!」
アリサが、言った。
ショーは、顔色が悪い。アリサは、元気に喜んでいる。
後ろには、何故か?空になった、ビッグビッグパフェと、ビッグパフェが、おかれている。
「プレートランチ。」
お姉さん達が、次々とランチをテーブルに。ピラフに、カレー。オムライス。スパゲッティ。等等。サラダも、日替わりで、変わると、言っている。
デザートも付いている。
カメラマンの唾を飲み込む音が、入っている。
持ち帰り用にと、箱に入ったものも。
「波の声を聴きながら、恋する人達と、食べるのも、いいですよ。」
笑う、アリサ。
「これも、よく飲まれています。」
銅のマグカップに、クラッシュアイスを山モリ入れて、サイフォンで煎れたコーヒーを。音をたてて崩れる、氷。
「このコーヒー。コーヒー通のお姉さんに、煎れました。」
お姉さんが、コーヒーをひとくち。
汗をかく、マグカップ。
「おいしい!」
目を広げて言う、お姉さん。
「このコーヒー。香りを、味を、楽しみたい、コーヒーです。」
両手で、マグカップを持って飲む、お姉さん。
「何か仕事を忘れていたい、気持ち…。」
笑い声が、聞こえた。うっとりする、お姉さん。
「いいの? こんなの出して?」
ショーのママが聞いた。
「いいの。夏休み最後の週。落ちつくもの。」
アリサのママが。
「ここって、アイスコーヒーも、おいているのでしょう?」
レイコさんが聞いた。
「あるよ。ランチの後に。プラス、100円で、アイス・ド・カフェになるけど。」
アケミが。
「人の好みね。ジュースや、コーラの人も多いし。」
「こ前来た時、見たんだけど、コーラ、ビンで、だすの?」
「そうよ。水を入れた、冷蔵庫でネ。ビンの口に、キスした時が、1番おいしいの。」
笑う、アケミ。
スクリーンには、お姉さんが、アイス・ド・カフェを、飲んでいる。
おいしく、美味しく、飲んでいる。
「この、アイス・ド・カフェ。シロップも、フレッシュも入れないで、飲みたい、特別なカフェですね。みなさまも、どうぞ。」
お姉さんが、言った。
「こんなの見たら、飲みたくなった!」
どこからか、悲鳴が、上がった。笑いが起こる。
「誰だ!そんな事、言う奴は!」
聞こえた。
「今日は、ダメよ!アリサの、見るんだから!」
ママが、大声で。大爆笑が起こった。
「よし、明日、モーニング行くぞ!」
「私。ランチ。」
「BBバーガー、食べる!」
いろんなところから、あがる、声。
「みんな。まってまーす!」
アケミが、立って、手を振っている。
街の、店の宣伝が、流れている。
和太鼓のビデオが流れた。
そして、太鼓の音が、腹に響きわたる。
暗闇の浜に、炎が、上がった。松明の明かりに照らされた、女性だけの和太鼓チーム。
「すごいね!」
多くの人達が、浜辺に移動している。
「急遽、決まったのよ。アケミの知り合いだから。」
アケミのママが、大声でショーママに話しをしている。
舞台は、県のオーケストラに。
指揮者が、アリサ達に、いつも見ているのよ。
と、話をする。今度、取材に来て。言って、オーケストラに歩いて行った。
「すごい。」
「すごすぎる。」
オーケストラの団員が、スタンバイしている。
「ママさん。」
ショーの副担任が、声をかけた。副担任が、パパと歩いている。
「先生も出るの?」
「もちろん。」
「パパの方が、乗りきでね。」
副担任のママさんが言った。指揮者とアケミ、アリサ達が話しをしている。
「今度、遊びに来てね。」
言って、ステージに立った。
女性キャスターが、紹介した。
ラフマニノフのバガニーニのラプソディーが、そして、ある日どこかで。の、テーマソングが。「うまいね。」
ショーパパが、言った。
「これ、急遽変えたの。」
副担任が言った。
「え!」
オーケストラを見る、パパとママさん達。
「ショー君のママの話しを聞いて、変えたの。」
副担任のパパが、
「本当は、映画のテーマソングにするはずだったんだ。」
ショーのママを見る、副担任。
ママの目に、涙が。パパの中にうずめた。
「ありがとう。」
「さあ!行くぞ!」
歩き出した、副担任のパパ。
副担任のママが、ふたりを見ながら呟いた。
「店もこれぐらい、ガンバッテくれたら!」
ママ達の顔見て、言った。
あの、宇宙戦艦のテーマソングが。
タブレットには、星空から、オーケストラに。
副担任、白い礼服で、ステージに。
「気合、入っている!」
副担任のママが。うなずく、ショーとアリサ。
スキャツトを披露する、副担任。
副担任のパパが、続いて、宇宙戦艦のテーマソングを。
アニメのテーマを歌った。
そして、スキャツトに。
副担任、髪をほどいた。海風になびく、長い髪。
輝いている。
「綺麗。」
誰かが、言った。オーケストラの演奏に。
「行くよ!」アリサママが、ショーママの手を取って、走り出した。走る、ショーパパ達。
ショーとアリサ。アケミが、打ち合わせをしている。
「ガンバッテ!」
アリサママが言った。
引きつった笑いをする、3人。
そして、ステージの中に、立つ。
多くのローソクが灯る。
人々が、集まって来た。タブレットには、女性キャスターが、映っている。
副担任が、パパとママと。
ママからもらった、ペットボトルを飲み干した、パパ。
アリサとアケミ。ふたりが、歌い出した。
『スターダスト』を。
ショーが、ふたりの間に入った。
「アイランド、インファイト。」
「楽しんでもらったでしょうか。」
アリサとアケミが歌っている中。
「来年もやりたい!と、おふたりさん。ノリノリです。」
目を広げて、ショーを見る、アリサとアケミ。
アリサとアケミが、本気の肘鉄を。
「うっ!」
と、しながら、去る、ショー。
アリサとアケミが歌っている。
スモークが、足元に立ち込めた。ローソクが消えていく。
ライトも消えて、ふたりの黒い姿が。海の暗い青と、星空の明るい、ブルーに照らされて。
カメラは、星空を。
タブレットを持っている人に。人々が。“La Fin”の字が、下から。
透明のアクリルボートに書かれた、アリサの字が。
「綺麗。」
「よかったね…」 「まだ、高校生よ。」
「あのふたり、考えたの?」 「私達のクラスメイトよ。」
「ねぇ。ママ。モスラって、なに。」 「あのふたり、3人、どうしているの?」
「見たいね。ある日どこかで。」
小さな声が、アリサのママに、ショーのママに、家族に、届いた。
「来てよかった!」
ショーパパが。ショーママと、アリサのママが、手を握っている。
「なにか、感動。」
「泣けるね。」
「本当…」
広場に座っている人々。
ステージのスクリーンには、ふたりの姿が。
動かない。
動けない。
アリサとアケミ。
カメラが、天空の星々を映している。
“La Fin” の文字が出ている中、ふたりは、崩れ落ちた。
マイクから、泣き声が。
ショーの肩に、手を伸ばす、アリサ。
「立てないの。」
「動きたくない。」
スピーカーから、流れてくる。
ライフセーバーが、泣きじゃくる、アケミを抱いて、ステージから降りた。
アリサは、ショーに抱かれて、海を、星を見ている。
スクリーンには、暗い青と、明るいブルーの中、黒いふたりが映っている。
「まるで、絵画を見ている見たい。」
キャスターのつぶやきを、マイクが拾って、スピーカーから、流れた。
アリサを抱き上げた、ショー。
「歩きたい。」
スピーカーから、アリサの声が。
腕に抱きしめて、歩く、アリサを、多くの拍手で迎えた、人々。
ショーの後ろに隠れるアリサに、先生が、言ってくれた。
「胸、張って、挨拶しなさい。」
ショーと、アリサ。深々と頭を下げただけだった。
ママに抱かれて、アケミに包まれた、アリサ。涙が、止まらない。
「よかったね。」
レイコが、ママに。
「旅立つのね。ショー君。」
少し、離れて見ている、ショーママとレイコさん。
「ほんとう。嬉しくて…。」
「悲しくて…。」
「寂しくて…。」
涙を浮かべた目で、ショーを見る、ママ。
誰かが持っているタブレットには、塾の授業が、映っていた。
みんなに抱かれて、広場に戻った、3人。
みんなが、アケミを、アリサとショーを囲んで騒いでいる。
誰かが言った。
「見たいな!“ある日どこかで。”」
「持ってくる。ショー君の家のDVD。」
ショーのママが驚いて、そして、納得した顔を浮かべた。
アケミが、レストランに、入った。
なかなか出てこないアケミを、ママが見に来た。
見合わせて、笑うふたり。
「ショー君とこも、呼んでくる。」
アケミと、ショーママ、レイコが、静かに入って来た。
長イスで眠る、アリサとショー。
「かわいい!」
アケミがアリサのホッペを。
手で振り払う、アリサ。目を開けない。
写メを撮られるふたりに、アリサのママが、掛け布団を。
スクリーンに映る “ある日どこかで”
老女が、懐中時計を渡すシーンから。
『帰って来てね。』ホテルで見つけた。“女性の写真” 彼女の事をもっと知りたい! と、走り回る、リチャード。旅に出た。会えるか、分からない旅に。会えた。知り会えた。愛を知り、愛を、分かち合えた。
しかし、別れが!突然の、別れが…。そして、ふたりは再会を。旅に出る、ふたり…。
タイトルコールが流れた。
誰も、なにも、言わない。
自動車のライトが、現実に戻してくれた。
拍手がおこった。
「帰ろうか。」
人々が、ひとり、ふたりと、いなくなった。
スタッフが、テーブルやイスを。
「まだ、寝ているよ。」
アケミが言った。タクシーを呼ぶ、パパ。
見送った、ショーのママとアリサのママ。レイコさん。
TV局のスタッフや、セーバー。町内会の人々が、撤収作業をしている。
アケミが、手伝い始めると。
「俺達にあまえなよ。」
と、言ってくれた。
アリサのママとショーのママ。レイコとアケミは、ショーとアリサを見ている。
レモンと、シナモンの入った、ホットワインを飲みながら、話しをする、ふたりのママさん達。
学友のように。
「でね、アリサの刺青、見たとき、『お前もか!』って、頭に血が上るし、悲しいし…。」
「えぇ? お客なのに、注文取ったの?」
アケミとレイコは、抱きあって寝ている。
「アリサちゃん、ショーに弁当を?」
「弁当代、あげているのに。」
「そんで、ふたりのケンカが、面白くて。」
「その日から、俺よ。オレ。前の日まで、ボクだった子が。」
ふたりのママさんの話は、尽きない。
よく寝ている、我が子を見て。
「よかったね。今日の放送。」
「昨日だけど。」
笑う、ママさん達。
そして、出た。
「私達の子供が、いつの間にか、ひとりで歩くのを。」
「嬉しいね。」
「うん。」
「寂しいね…。」
「うん…。」
「悲しいね……。」
「うん……。」
涙が、流れた。
どれだけ、たったのだろうか?
光が、アケミとレイコを起こした。
「え! 一晩、起きていたの?」
うなずく、ふたり。
「少し、寝るは。」
アリサママが、ショーのママと、2階に。
「アリサ、ショー。ベッドで寝てきな!」
アリサの部屋に向かう、ふたり。
「真夏の夜の夢は。」
「終わったのね…。」
アケミとレイコが、言う。スタッフルームのドアを開けた。
夢のなごりは、どこにもない。
新しい1日の始まりを告げる、
朝日の輝きを受けながら店の準備をする、アケミとレイコ。
「仕事は?」
「私、まだ、学生なの。」
「バイト、休みよ。」
砂浜では、セーバーのお兄さん、お姉さんが、汗を流している。
この話に出てくる、BigBigパフェ。
飲食店のチェーン店でのことです。
その日、給与日で、店のオープン前に、パートに頼んで銀行に走りました。
ピーク後、店にお客がいなくなって、4人いるパートの中、3人が上がって、だよなだよな、って、話をしていました。
レストラン街。
隣、ファミリーレストラン。
BigBigパフェがあります。
いつも、ショーケースのサンプルを見ていた自分。
ひとりでは、と、見ていました。
パートとの話、
「出前してくれるかな? BigBigパフェ。」
言ったとき、パートがいなくなりました。
「店長! してくれるって!」
漱石さんを出しました。
30㎝以上あるパフェ。
蜜豆にフルーツポンチ、アンにクリームがグラスに入っていて、山のように、白、赤、チョコのマルいのが、黒いマルが、何個も置かれて、山のように、白いフワフワが、のっていて、シュークリームが、ウエハースが、バナナが、オレンジが、メロンが、ストロベリーが、たくさん乗ってました。
自分と、パート4人で、楽しくいただきました。
何日かして、レストランのお姉さんと、BigBigパフェの話を。
「おいしく、パートと分けていただきました。」
「あれで、何人分?」
4~5人ようと、聞きました。
「あれ、ひとりで食べたって人いないでしょう。」
言った自分に。
東大寺学園の学生ふたり、食べたそうです。