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アリサー02  作者: 稔~Minoru
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アリサ[第16章]

きのうから波が荒れてきた。

遊泳禁止の旗が、きのうから立てられている。

その中、サーファー達が、遊んでいる。


朝、ライフセーバー達が浜辺にいた。

何度も注意を受けた、サーファー達だが、聞き入れない。

遊んでいるサーファー達が、浜辺を見ると、セーバーがいない。慌てる、サーファーが、セーバーに言った。

「俺達の、命を?守るのが仕事だろう。」

「アホねぇ。私達、ボランティアなの。だから、あんたを助ける事、ないのよ。」

「遊泳禁止なんだ。それを無視して、楽しんでいるんだ。」

「子供じゃないんだから、遊ぶのは勝ってよ。」

「あんた達、自分の命。自分で守りなさい。」

手を振って、消えた、セーバー達。

「なんだよ。あいつら!」

怒る、サーファー達に、おじいさんが、言った。

「昔、セーバーが死んだからな。」

「生きていたいのなら、セーバー達に、金を渡せ。」

「お前達の命の金を。」

言った。

「いくら?」

「レスキュー隊、一日で、いくらだったかな?」

「親不孝に、死んで、家まで売らないと、言う者を、見て来たが。」

「さぁ。お前が決めたらいいだろう。」

言ってどこかに行く。


買い物袋を持っている、お姉さん、ふたり。

サーファー達を見ている。

「ねぇ!遊ばない?」

「イヤ!」

「はやく帰ったら!」


言って、店の中に、入っていった。

「誘うか!」

行く兄ちゃん。

「ハイ。」

「あっ!この前の兄ちゃんだ。」

子供たちが、来た。

ひきつる、兄ちゃん。

「ねぇ、今日の車、大きい。」

聞いた、子供たち。

お姉さん、ふたりは、キッチンに。

ピアノを弾いている、女の人も。

そして、キレイなお姉さん方が。

子供のひとりが、鼻を押しつけた。

「き!きたねー。」

子供を押し倒した、兄ちゃん。

「コラ! うちの子になにするのよ。」

「なんだと。コラ!」

お姉さんを叩いた男。

倒れた、お姉さん。

「なんだ。子持ちかよ!」

その男に、お玉が、降った。 

「痛いだろう!コラ!」

「子持ちで、悪かったな。」

「あんたより子供が痛いんだ!」

言った。女の人。

「てめえ!」

殴る男。に、お玉が。

「なにするんだ!」

と、周りを見ると、女の人達が、お玉を持っている。

ピアノから、レクイエムが流れてきた。

シズカの背中が、大きく小さく、揺れている。

女たちに囲まれた、男ども。

「どうしたの?」

ライフセーバーのお姉さん達が、入ってきた。

汗が流れている、男ども。

「へぇ。そんなことをしたの。」

セーバーのお姉さん達は、ビール瓶を持っている。

「マ、マテ!」

「話合おう。ナ。」

「そうね。でも、子供を殴ったの、誰?」

シズカが言った。

男どもは、ひとりの男を見た。

「私達の仲間を殴ったの、誰?」

シズカが言った。

指を指した。男ども。

「見ていたの、誰?」

シズカが言った。

シズカの手には、馬の鞭が。

笑う、シズカ。

「月の女神に代わって、お仕置きよ!」

シズカの合図で、お玉が。

シズカは、カウンターで、コーラを飲んでいる。

「シズ姉、しないの?」

アリサが。

「これで叩いたら、けがするよ。」

言った、シズカ。

「でも、シズカがしっているとは。」

「ムーンレディ。」

逃げ出した、男ども。

お姉さん達は。

「あぁ。スットした。」


近所の親と、子供達が、非難している。

「アリサ、なんで、店にくるんだ。」

ショーが、聞いてきた。

「それはね。」

アケミが話してくれた。

「アリサが小さい時、台風で非難指示がでたの。」

「でも、子供たちを連れて、非難場所までなんて、無理だった。」

ママが。

「パパ、レストランを非難所にしたのよ。」

「そんな事があったんだ。」

「アリサは、知らないことだけど。」 

「なに、話しているの。」

スタッフのお姉さんが、入ってきた。

「台風の話。」

「私もある。」

言うお姉さん。

「台風の中、電車に乗っていると、台風通過って、動かないの。」

「あらまぁ?」

「パンタ何とかも、」

「パンタグラフ。」

「そう、それ。」 

「降りて、エアコンも、止まって……。」

「で?」

「3時間も、電車の中で、電車が、ゆれて、揺れて、」

「で?」

「台風、通過した後、点検だって。」

「自動車や、バイクが走ってンのに。」

「大変な目にあったんだ。」

「オイ!」

ライフセーバーのお兄さん、お姉さんが非難してきた。

アリサの手作りの爆弾おにぎりを取って、

「テレビの中継しているぞ!」

言った。

セーバーのお兄さん、お姉さんは、ママの用意してくれた、バスタオルで、拭いている。

「テレビに出られるかな?」

お兄さんが。子供たちは、DVD に夢中でいる。

「おとなしいな。」

「でも、ないよ。」

アリサが。

アニメのエンディングが、騒音合唱が、聞こえている。

「凄い!」

「俺は、台風の時、デパートに閉じ込められた。」

ショーが。

「おふくろと、買い物に行った時、台風が通過して、シャツターが、閉まって、」

「ショーは?」

「上のレストランで。」

「そしたら、トラックが、横倒しになって。」

「えっ?」

「ええ~。」

「見てたの?」

「見えた。」

台風が、荒波が、強くなっていく。

子供たちは、ママに、しがみつく。

「凄い、雨音!」

「大丈夫かな?」

セーバーのお兄さん、お姉さんが、テレビの中継を見ている。「こんな日だったな。」

ママが言った。みんなが見ている。

「サーファーが、外車できていて、看板が、」

笑いだした、ママ。

「車の屋根に落ちたの。」

スタッフが、笑いだした。

「で?」

「それで?」

店に怒鳴り込んだけど、相手にされなかったの。

テレビを見ている、セーバーのお兄さん。

「お天気お姉さん。好きなんだ。」

「そうなんだ。」

冷たい目が、突き刺さる。

「サイン、ほしい。」

呆れた。セーバー仲間。

「で、台風の話。もうないの?」

子供たちが、聞いてきた。

「台風ではないけど、」

言う、セーバーのお姉さん。

「寒い冬の朝。」

「さむい、ふゆのあさ。」

お姉さんが、笑った。

「あさ……。」

唾をのみ込む、子供が。

「地面が氷っていて、大きいトラックが、一回転したの、見たことある。」

「……。!」

「凄い!」

「で?」

「止まったけど。見た私でも、凄いと思った。」

「お化け!好き?」

お姉さんが、言った。

「嫌い!」

「好き!」

声を上げる子供たち。

「なんなの?」

「教えて?」

「あのネ。私がお化け嫌いになった話なの。」

「子供の時、親戚のお兄さん、お姉さんと、遊園地に行ったの。」

わくわくする、お姉さん達。

「で、お化け屋敷に入ったけど、おもしろい!」

「って、2回入った。」

「で?」

「その晩、ゆめに出て、『また、遊びにおいで。』って。」

手が、あのかたちになっている。

お姉さん達が、子供たちの後ろで、懐中電灯を。

ある子供は、泣き出して、ママに。

悲鳴を上げる子供も。

背中に氷をいれた、ママさんが。

みんな、青くなったり、笑いそうになったり。

「昨日の朝の番組見た?」

「どんなの?」

「お化け嫌いの、女の人が、お化け屋敷で、レポートするの。」「かわいそう。」

「で? どうなったの?」

「入る前から、ダメで、もうひとりの人に押されて……。」

「途中動けなくなって。」

「かわいそう。」

「って、笑っているの。この子は。」

「でも、よくよくある話よね。」

「この前のテレビ、廃棄の屋敷に入った人が、怖さの余り、逃げだしたの。」

「カメラ、投げだして。」

「そのあと、行ったら、お化け、映ってたって。」

「人よ。人。」

「かな?」

「でも、アイツ、許さない。」

ビールを、イッキ飲みした、セーバーのお姉さん。

「思い出した。よけい、ハラたつ。」

「この前、遊園地のお化け屋敷に入ったの。」

「で?」

「怖がって、抱きついて、女の子らしくして、と、思ったけど。」

「うん、うん。」

「男が、怖がって、」

「で?」

「お化け、殴って、逃げだしたの。」

「お気の毒。」

「御愁傷様。」

「で?そのあとは?」

アリサが。

「もう、口、聞いてない。」


テレビは、各地の台風中継に入っている。

「台風の中、大変ね。」

「後で、おにぎり、もっていく?」

言った、お姉さん。「お、俺、いく。」

セーバーのお兄さんが、涎を出して言う。

「ハイハイ。連れていくから。」

言う、お姉さん。口が止まった。

「誰、わさび漬け、入れたの。」

涙が。

「やった!」

アリサが。

「アリサ!」

逃げる、アリサ。ショーのうしろにかくれる。

「アリサのイタズラ。変わってないンだから。」

テレビが、スタジオから、お天気お姉さんに変わった。

中継する、お天気お姉さん。

「好きなんだ。」 

笑う、セーバーのお兄さん。

かわいそうな目で見る、セーバー仲間達。

「夢をかなえさせてあげようか。」

と、アイスコーヒーを、お茶を、サンドイッチにおにぎりを、カゴに入れた。

テレビを見ている、お兄さん達。

お天気お姉さんの前を、黒いものが、横切った。

ドアを開けて、走り出した、お兄さん。

「えっ!」

男共が……。

「ハヤ!」

あきれる、お姉さん。

テレビのキャスターが、「大丈夫ですか?」 

と、聞いている中、

「ここは危険です。」

と、お姫様だっこして、レストラン【インファントに】、に運んだ。

キャスターは、

「なにが行ったの?」

と、パニックに。

「凄い!」

お姉さん達も、子供たちも、爆笑で、迎え入れた。

カメラが、追いかけて来る。

「大丈夫ですか?」

お兄さんに、うなずいた、お天気お姉さん。

「ここは?」

「中継の近くのレストラン【インファント】よ。」

アリサママが、おしぼりを持って、お姉さんの顔を拭いている。カメラが撮っている。

「チクショウ。」

お兄さんが、タオルをくわえて。

「大丈夫?」

スタジオの、キャスターのお姉さんが。

「大丈夫よ。」

「見て、わからないの。」

アケミと、アリサが、マイクを取り上げて、言う。

カメラがふたりを映している。

「あなたは、誰?」

「お天気お姉さんに代わって。」

「アホキャスター。この娘の前に、看板が飛んだのよ。」

「今、話なんかできないでしょ。」

アイスコーヒーを持って来た、シズカが、怒った。

まだ、セーバーに抱きついている、お姉さん。

セーバーのお兄さんが、

「うまくやりやがって。」

と、流した。

全国の、テレビの前の、ファンが、言った。

「恐かったでしょ。」

カメラを見ながら、言った。ママ達。

「お姉ちゃん。大丈夫?」

子供たちが、集まって来る。カメラを見る、子供たちも。

スタジオのキャスターに、コメンテーターは、見ているだけだった。

「大丈夫?」

「ありがとう。大丈夫よ。」

立とうとする、お姉さんを、子供たちが、押し付ける。

「お姉ちゃん。お兄ちゃんが、助けてくれたのよ。」

と、お姉さんのとなりに座らせる、子供たち。

「お兄ちゃん。」

「なにか言いなさい。」

子供が、言う。

「あの、ファンです。テレビを見てて、おもわず、身体が動いて。」

真っ赤な顔をして、言う。セーバーのお兄さんに。

横に、ワタルと、シズカが。

「もう、この人は!」

シズカが、お兄さんの背中を、バシッと。

背中に、もみじの森を、作った、お兄さん。

「大丈夫ですか。」お天気お姉さんが、心配になって、聞く、場面も。

「クー。だ、大丈夫です。」

テレビに写っている。台風情報より、おもしろい、と、テレビ局に。


次の、台風情報の時は、セーバーのお兄さん達が、お姉さん達が、お天気お姉さんを守っていた。



台風の話を集めてみました。 自分の、仲間の、体験や、聞いたことを。 電車に、閉じ込められたのは、自分です。 凍結した道路で、大型トラックが、一回転したのを、見たのも、自分です。回りに、自動車がなかったことも、事故にならなかったのだと。 お化けの話も、自分です。幼稚園の頃、遊園地に遊びに行った夜、お化けが、出てきました。それ以後、お化けが、ダメになって。 お化けを殴ったのは、自分の仲間です。あれから、モテなくなったと、言ってました。

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