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第42話 誤解を解くだけのはずが






 ◆◇◆







 ただ、もう一つ驚くところが。


(こ、こここ、恋人繋ぎしちゃってる⁉︎)


 クラウス君にこの前教えてもらった時はまだだって聞いたのに、なんですか?

 もうお付き合いし始めたの⁉︎

 実に裏山けしからん!、じゃない、いいことだと思い直して笑顔全開でお出迎えしました。


「いらっしゃいませ、仲が良いんだね二人とも」

「仲良い?って、あ⁉︎」

「き、ききき、気にしてないよ⁉︎ 迷子防止って言ってたから!」


 あ、テンプレよろしく恥ずかしくなって手離しちゃった。

 言わなきゃ気づかなかったかと少し反省。


「あ、ジェフお兄ちゃん!」

「お、お兄ちゃん、こんにちは……お、お姉さんも」

「こ、こんにちは?」

「おう、お前らも来てたか?……商業ギルドのギルマスのお子さん達だよ」

「そ、そうなんだ」

「お姉ーちゃん、あーくしゅ!」


 ジュディちゃん達と会うのは初めてだから、シェリーさんは少しおどおどしちゃってた。

 だけど、ジュディちゃんにすぐ握手を求められたので少しハニカミながら手を握ってあげてました。


「じぇ、ジェフお兄ちゃん、肩車」

「ユフィ好きだな? ま、いいぜ」

「ほんと⁈」


 こっちはこっちで遊んであげる微笑ましい光景に。

 ジェフとシェリーさんが結婚して子供が出来たらこうなるのかなぁと、お節介な妄想しちゃったけど僕も仕事しなきゃ。


「ジェフ達もドーナツ買いに来てくれたの?」

「お? 露店でそれやってんのか? せっかくだから買うわ」

「わ、私が払うよ!」

「あとで返すぞ?」

「いいから!」


 そんなやり取りをされてから、シェリーさんは僕の前で財布の口を開けました。


「おいくら、でしょうか?」

「二つなら、銅貨6枚ですね」


 代金をいただいてから早速作ることにした。エリーちゃんはまだカイト君達の買い物が終わってないから戻ってこない。一人でも出来るから、なるたけ手早く進める。


「あ、あの、この前……お見舞い、ありがとうございました!」

「いえ、大したことが出来ませんでしたが。もう大丈夫そうですね」

「あ、はいっ。お陰様で」

「この間は彼をお借りしてすみません」

「か、彼?」

「ジェフとお付き合い、してるんじゃ?」

「ちちち、違います!」

「あ、すみません!」


 全力否定するってことは、さっきまで手を繋いでたのはジェフなりの行動のあらわれってとこだったか。

 直球で聞いてしまったんでシェリーさんは大慌てしてしまったが、なんとかフォローしなくっちゃ。


「おおお、落ち着いてください。わ、私は、友人として嬉しかったので」

「え?」

「誤解を持たせてしまったかもしれないですが、ジェフとはただの友達です。あなたのお邪魔をする気はちっともありませんよ?」

「す、スバル、さん⁉︎」

「この前、クラウス君に聞いちゃったんです」


 それも言うと、シェリーさんはわかりやすく固まってしまった。


「くくく、クラウス⁉︎…………君?」

「同い年って聞いたので、そう呼ばせてもらってるんです。ジェフはタメだから呼び捨てしろって言われたので」

「ジェフが、ですか?」

「はい。()がこんなだけどタメだしいいだろうって」

「…………ぼ、()?」

「あ⁉︎」


 ついうっかり、一人称戻してた⁉︎

 訂正しようにシェリーさんは聞き返してたし、僕とジェフを交互に見まくってた。


「お兄ちゃん、自分でバラしちゃったーっ!」

「じゅ、ジュディちゃん、大声はやめて!」

「え、ほほほ、本当に⁉︎」

「お、おおお、大声は出さないでください!」


 手元はきちんと作業をしながら遮れば、シェリーさんは両手で口を開け塞いでこくこくと頷いてくれました。

 だけど、その騒ぎがジェフ達にも聞こえてたからか、ユフィ君を肩車しながらこっちにやってきた。


「え、何? おっ前自分からわざわざバラしたのか?」

「ふ、ふふふ、不可抗力だったんだよ! わざとじゃないって!」

「あー、まあ、お前シェリー程じゃねぇけど、抜けてるとこあるしなぁ?」

「スバルお兄ちゃんのおっちょこちょいー」

「ジュディちゃん!」

「え、えええ、えぇえ⁉︎」


 あーもうどーしよう⁉︎、になったけど、場を収めるのにジェフが僕とシェリーさんの頭に手を置いてきた。


「スバルは深呼吸して、作るの再開させろ。シェリーは、いつもより多めに深呼吸してから質問しな?」

「「すーはー……」」


 納得の安心感が手から伝わってきたので、僕とシェリーさんは言われた通りに深呼吸した。それだけで、不思議と気分が落ち着いたので僕は作業再開。

 シェリーさんは僕がチョコをかけててもまだ深呼吸を繰り返してた。


「え、え、じゃ、じゃあ……あの日スバル、さんに聞いてたのって」

「俺がこいつの性別に気づいてたから。それについてはいちおーあとで話す。ジュディ達は聞かされてるから知ってんだ」

「パパとママからねー?」

「う、うん」

「そ……そう、なん……だ」


 彼女も納得はしたようだが、僕を凝視する顔は崩れない。拒絶はされてないみたいだけど、僕の恰好と顔のせいでまだ受け止めきれてない感じだ。


「騙してたわけじゃないんですが、事情がありまして。ジェフに全部聞いて構いませんよ」

「あとパーティーで知らないのアクアだけだが、言ってもいいか?」

「レイスさんのフォローもあるなら、いいよ」


 ロイズさんには僕から言おうと決めて、ドーナツを紙で丁寧に包んだ。


「はい、パン耳の揚げドーナツ。補正は疲労回復だから」

「お、サンキュ。シェリーも、ほれ」

「あ、う、うん」


 まだまだ聞きたいことは多いだろうけど、ひとまずドーナツが出来上がったので食べてもらうことに。シェリーさんはひと口食べて顔がぱあっと輝く。

 ジェフがユフィ君を落とさないまま器用に大口を開けてるのを見てたら、お店の方からドアベルの音が聞こえてきた。


「良かったわねぇ、カイト君、メイリーちゃん」

「はい!」

「は、はい!」


 どうやら買い物がやっと終わったみたいだけど、振り返ってもカイト君達の手に袋とかが見当たらなかった。

 疑問に思ってると、後ろから軽く肩を叩かれた。

 振り返れば、苦笑いしたエリーちゃんが立っていました。


「王太子殿下が、買えるだけ買ったら腰にある魔法袋(クード・ナップ)って収納袋に入れたんだよ」

「ど、どれくらい?」

「棚の1/3くらい。食パンやバタールとかも入れてね」


 お金は余裕だったにしても、そんなにもたくさん購入してくださるなんて思わなかった!

 慌ててカイト君の前に回って、目線を合わせるのに少し屈んだ。


「お、お買い上げありがとうございますっ」

「いえ、試食までさせていただいたので、これくらいは。本当は、すべて購入したかったのですが」

「それはダメって言ったでしょう、カイト君? 食べ切れる分で十分なんだから」

「あ、はい! そうですね、美味しいのにダメにしてはいけませんから……」

「気にしてませんよ。ただ、お早めにお召し上がりください」

「はい!」


 注意事項をきちんと告げれば、カイト君は敬礼でもしかねないくらい綺麗な姿勢で頷いてくれました。

 ただ、彼に服の裾を握りしめてるメイリーちゃんの方は少しおどおどしていた。


「メイリー、ちゃん?」

「あ、い、いえ。そ、その……」


 何か不満があったのだろうか?

 聞こうにも、恥ずかしがってモジモジしちゃうだけ。

 すると、ジュディちゃんが彼女の頭を軽く撫でてあげた。


「もしかして、本当に食べたいのがなかったとか?」

「え、あ、そのっ!」

「あ、メイリー。昨日お父さんが持ち帰ってくださったの? たしかに、なかったけど」

「わかりました、羽付ラスクですね?」


 それなら無理もない。あれは実演だったにしても即興で作ったあり合わせ。だけど、お父さんの王様が食べさせてあげたからかよっぽど気に入ってたみたいだ。

 女の子はチーズ大好きだからね。

 真っ赤になったままうつむいたメイリーちゃんに、僕はゆっくり肩を叩いてあげた。


「大丈夫ですよ? 材料はありますし、今からお作りしましょうか?」

「え⁉︎」

「お忙しいのに、いいんですか?」

「はい。エリーちゃん、まだ材料のストックあったよね?」

「ここにいる人数分ならね。取ってくる」

「お願ーい」


 きっとジュディちゃん達も欲しくなるだろうから、数人増えたところで同じだ。カミールさんにはごめんなさいねと言われちゃったけど。


「それできょろきょろしてたのね? けど、羽付って何かしら?」

「チーズを薄く焼いたのが、羽根のように見えるんです」

「まあ、素敵。……あら、ユフィは?」

「ここっスよ」


 もうドーナツを食べ終えてたジェフが声を上げれば、カミールさんも気づいてくれました。


「あら、ジェフ君来てたのね? うちの子がほんとごめんなさい」

「いいっスよ、こいつ結構軽いですし」


 本当に重さを感じずに余裕で担いでいるのは、やっぱり冒険者だからか。

 すごいなぁと感心してたら、彼の近くに何故かカイト君が近づいてくのが見える。


「ん?」


 ジェフも気づくと、目線だけを彼に向ける。

 僕からは見えないが、雰囲気からジェフに興味津々。

 だけど、王子様が冒険者のジェフを知ってるとしたら……。



【ドーナツの別の言い方】



たまに耳にする、当て字などの別の呼び名。

ドーナツの場合、『砂糖天ぷら』などと呼ばれていた時期がありました。

これには、少し戦時中のお話が関係してきますノ



英語などは敵対する国々で一般的に使用されてる言語。これを『敵性語』として、日本では戦時中に徹底的に排斥しようと和製英語などもすべて当て字にされました。



例えば、野球のストライク→「よし、一本」「正球」

アウト→「ひけ」「無為」


食べ物なら、キャラメル→「軍粮精」(ぐんろうせい)

コロッケ→「油揚げ肉饅頭」(あぶらあげにくまんじゅう)

カレーライス→「辛味入汁掛飯」(からみいりしるかけめし)


とにかく、太平洋戦争以後では激化していったようですノ


個人的な意見ですが、ドーナツの当て字は言い得て妙な気がしていますノ

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