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第34話 打ち明けた事達





 ★・ジェフ視点・★





 スバルとエリーを送り届けたが、また更に売れ残りのパンを山ほどもらったため、俺とクラウスはそれぞれ大きな紙袋を抱えてた。

 夕飯にはこれ以外、食堂で肉とか魚の皿だけ買って部屋の集まるかと決まる。

 そんな和やかな空気をしばらく続けるも、ある角を曲がってから俺はクラウスに気になってたことを聞く。


「……レイスがシェリー振られたっていつだ」

「割とすぐだったな」

「って、一年前?」

「俺も直接聞いたわけじゃない。アクアとケインが告白場所で見てたらしい」

「それ、デバガメじゃね?」

「俺も言ったが、そうだったな」


 実に、あのカップルらしい行動だ。

 だが、パーティー内での恋愛は禁止じゃなくともアクア達のようにうまくいくとは限らない。

 レイスの場合はその失敗例だったのに、シェリーとの関係は表面上良好。それを一年も続けてたのを、未だ大事にしているという事は……まだ未練がある証拠だ。

 クラウス達もわかってるだろうが、本人達のために言わないでいた。一人知らずで勝手に片想いしてる俺が、馬鹿じゃないかと思えてきたぜ……。


「とにかく、本気ではあったらしいがシェリーが『タイプじゃない』とかではっきり断ったらしい。が、仲間としては頼りにしてるとも付け加えたお陰か、関係はお前も知ってる通りだ」

「……男には、辛いがな」


 芯の通ったと言うか、真っ直ぐと言うか。

 レイスもそこに絆されたのかもしれない。だから、言い合いはする年の近い兄妹のような関係でいたのか。


「まあ、それは今更だな。だが、これで少し状況は変わる。スバル達の前でも言ったが……シェリーには言わないのか?」


 こっちも真っ直ぐに聞いてくるのが、今は少し堪える。

 けれど、レイスの気持ちを知った今は、うじうじしてても意味がないとわかった。


「最低、あいつの昇格試験終わってからだ」


 懐に入れておいた、ロイズさんから預かったシェリーの昇格試験に関する封筒を見せる。渡さないのは、クラウスの方が持ってる荷物が多いからだ。


「やけに厚いのは……まさか、合同試験?」

「らしいぞ。メインはシェリーでも、補助と連携の実技込みだろうな?」

「レイスとケイン以来か……そこは帰ってから打ち合わせか」

「あー……ケインにもだが、レイスにも俺のこと言わなきゃなんねぇか」


 シェリーやアクアに知られなきゃいいが、自分の黒歴史を言うのは苦痛だ。言い訳が出来ないので無理ないし、レイスは今頃意気消沈どころで済まないはずだ。


「そこは仕方ない」

「それで片付けんなよ!」

「元はと言えば、ジェフがスバルに興味を持ったことからだろう? 自分の秘密をバラす事については自業自得だ」

「それを言うなら……お前もいいのか? 今日も結局聞いてなかっただろ。エリーに」


 直球で聞けば、さすがのクラウスでも立ち止まった。

 表情から余裕さは薄れたものの、まだ琴線には深く触れてないみたいだ。


「……ジェフ、お前ならとうに気付いてるだろう?」

「何が?」

「彼女が、特定の男以外は苦手どころか恐怖意識を持つ体質だと言う事だ」

「おまっ、いつ気付いた?」

「再会……初日だ。質問した時、わかりやすく目が泳いでたしな?」


 アクアが聞こえた会話の時か。

 俺はその時パンの種類が豊富なのに圧倒されてたんで、聞けずじまいだった。


「スバルには平気だったみたいだが、俺も恐怖対象なら無理に聞きたくはない。前に出会った時の記憶を掘り起こさせたくないからな」

「……俺らパーティーに言ってないことか?」

「だいぶ昔だ。アクアしか知らないよ」

「なら、冒険者になる前か?」

「なった直後だ。悪い、これ以上はせめて皆の前にさせてくれ」


 そう言って腰を折った姿は、俺を勧誘してきたあの日と重なった。

 それに弱い俺は、軽く息を吐いて頷くことにした。


「言える時に言えよ?」

「ああ」


 それからはスバルやロイズさんの事もだが、ヨゼフさんに聞いた祭りについて教えることに。


「ここが魔術師の地?」

「噂通りの景観維持って理由で、都市みたくゴテゴテしてねぇから気づかなかったしなぁ?」

「設備は整ってると思ったが、それなら納得がいくな」

「スバルん店も参加するんだと」

「彼の店なら、当日人で溢れかえってるだろうな?」


 スバルで思い出したが、レイスのことで忘れかけてたあのマント野郎達。

 俺が当てずっぽうに親衛隊を口にしたら、案の定図星だったみたいですぐに逃げ出した。

 声は魔法とかで変えてたが……ほとんど話してた奴は多分会った事がある。当たってほしくないが、あの人がなぁと片隅に追いやることにした。






 ★・イレイン視点・★






 スバル嬢達のところから大分離れたところで、私とラウルは物陰に隠れながら震え出した。


「だ、だだだ、大丈夫だと思うけどもっ!」

「お、おおおお俺達が、ななな何故バレた⁉︎」


 一度だけ話したことがある青年に、何故見抜かれた⁉︎

 考えても考えても冷静に判断出来ない今では無理があるが、一度落ち着こうと携帯の水筒の水を二人で一気に煽った。


「私の正体まではバレてはないと思うが……」

「だが、ソロ時代から有名な『閃光のジェフ』だ。若くとも俺達と培ってきたものは違う」

「……そうだったね」


 スバル嬢と異常に親しい事で、親衛隊としては目を光らせていた『閃光のジェフ』。

 元格闘家(グラップラー)にして、現槍使い(ランサー)であるが、スバル嬢に一時的に預けた数少ない【破魔の聖槍】の所有者の一人。

 ランクはまだCながらも実質はB以上に強いと噂されている。

 ラウルが言うように、若いながらも経験は我々衛兵隊とは違うものを培ってきた。勘が鋭くてもおかしくはない。


「吹聴はしないでくれるだろうが、接触は極力控えよう……」

「お前はその方がいい。俺は、とりあえず会っていないからな」


 隠密(アサシン)としての行動が多いので、ラウルは当分バレまい。


「しかし、ならず者達が抜け出したのは我々の落ち度だ」

「……ああ」


 持ち物をすべて取り上げたつもりが、隠してた眠り香の投げ玉を牢番にぶつけ、鉄格子を無理に腕力でひねらせたのは驚きでしかない。

 対応は遅れたが、大騒ぎにはしたくないので私を含めてマントをまとって出撃した。

 そして、偶然とも言い難い時にスバル嬢達と接触。

 近距離過ぎて、あちらの隠密(アサシン)らも対応出来なかったのか、あるいはエリー嬢とジェフの実力と聖槍の事実を知って様子見してたか。

 今のところ、こちらにも接触してきてはいない。


「エリザベスは半分引退かとも噂されていたが、鈍ってはいなかったな?」

「ロイズ氏の秘蔵っ子だからね」


 ごくたまにだが、明け方に巡回で彼女が店の近辺だけを走り込みしてるのを見たことがある。

 はじめは、パン屋としての体力づくりかと思ったが……今日の戦いを見た限り、それは違ったと覆された。

 スバル嬢の護衛として、ランクB保持者として常に鍛錬してるのだろう。今日の剣技の切れ味もなかなか悪くなかった。


「そのロイズ氏の……だからかもしれないが、イレイン。お前、彼女に必要以上に警戒されてないか?」

「……自分の落ち度だとは思ったよ!」


 うっかり、スバル嬢に強く出てしまったこの前。

 あの偏屈者で有名な、ロイズ氏の幼馴染みで親友のヴィンクス氏が来てた事実が、どうしても信じられなかったからだ。

 店を出てからすぐに後悔したが、素知らぬ振りは難しいだろうと自覚はしてる。


「ロイズ氏に今日辺り相談したかもな?」

「……対応次第じゃ、クロワッサン買いに行けない」

「自業自得だ。親衛隊のナンバー3からも落とされるだろう」

「……隊長(・・)にも言われるか」


 その地位は落とされて仕方がないとは思うが、うやむやのままにしては良くない。

 親衛隊についてはこれっきりにして、本来の衛兵隊に切り替えてマントを脱いでから詰所に戻ることにした。


「明日から祭りなんだ。隊長らしく振る舞え」

「言われなくとも」


 公私混同は、出来るだけ(・・・・・)するつもりはない!

【ラスクのさらに再利用】



通常は容易に噛めるが、堅パンのように、堅く焼いたものもあり、幼児の歯固めに用いられる場合もあります。


主に、フランスパンなどのラスクは結構固いです。



今回はこれらを再利用する方法を探してきましたノ



①甘くないタイプなら、手で砕いてクルトンに(例:スープ、サラダに)



②甘くないもの、活用法その二。オニオングラタンスープを作る時に、普通のフランスパンの代わりに使用



③甘いのなら、フレンチトースト風に使ってみる



④アイスクリームに砕いてトッピング



⑤一度油で揚げて、黒砂糖をかけて食べる



以上の活用法がありましたノ

買い過ぎちゃったラスクの再利用の参考になると嬉しいです!

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