表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/70

第27話 慌ただしい来訪者







 ◆◇◆







 おやつ後に伝書蝶を送ったら、ロイズさんは時間が取れたのか閉店近くに来てくださいました。


「ヴィーが来たってマジか⁉︎……………なんでお袋と親父がいるんだ?」

「この時間がのんびり選べるって聞いたしねー?」

「はい、そうですね」


 セールのピークタイムは過ぎたけど、お客さんはまだいます。

 だけど、ロイズさんが来た頃にはレイシーさん達だけ。品数はそう多くないが、ゆっくり選びたいからとこの時間に来られたのです。


「あっそ。って、他に客がいねぇならここでいいか? いつ頃来たんだ?」

「えっと……蝶を送った少し前です」

「……ありえねぇ。あの時間じゃ、あいつ研究に没頭しまくってるはずだ。なのに……一人でか?」

「窓にへばりついてました」

「……また食事忘れてんのか?」

「の、割にあの人すぐに帰って行きましたよ? カミールさんの折檻が怖かったかもしれないですが」


 エリーちゃんが付け足してくれると、ロイズさんだけではなくレイシーさんまで目が泳ぎだした。


「あいつを言い含めれるのも、カミールだけだしな……まあ、いい。自主的に動くのは幼馴染みの俺でも珍しいと思うが、あくまで同じ錬金師としてかもしれない」

「スバルちゃん達から行っちゃいかんのかい?」

「明後日から祭りだろ? 俺やこいつらも忙しくなるし、距離がそう離れてなくてもゆっくり時間は取れねぇ」

「そうですね。彼とお話するには時間がいくらあっても足りませんから」


 最後にヨゼフさんがそう言うと、トレーをエリーちゃんのいる会計机に持って行く。

 日持ちしやすいパンとラスクをたくさん選んでくださったので、僕も一緒に包装しました。


「お買い上げありがとうございます」

「試食もさせていただいたんですから、これくらい当然ですよ。しかし、ポーション目的でなくても目移りしそうですね」

「朝はそれで結構混雑してるんですよね……」


 腰に持病を抱えてるヨゼフさん達じゃ、きっと体が痛くなるだけですまない。

 予約制も考えたことはあったが、そうすると依頼が殺到するのでやめておけと、最初の頃にロイズさんから注意を受けました。

 ただ、メンチカツサンドだけは現在商業ギルドで予約制。

 とにかく、高ランクの冒険者さん達がこぞって買いに来るんだって。


「ヴィーについては、俺が一度掛け合っておく。まあ……来たら来たで邪険にはしないでくれ。悪い奴じゃねぇから」

「了解です」


 マッドサイエンティストの単語はよぎったけれど、カミールさんやロイズさんが幼馴染みとしてこれだけ心配するのなら、きっと悪い人じゃない。

 ほとんど話せてないけど、ジュディちゃんも好意的に接してたからね。


「んじゃ、俺は帰……あいつ」


 ロイズさんが窓の外を見たので僕も目を向けると、暗がりでも黄色の髪がはっきり見えた。



 カララン、コロロン




「まだやって……大所帯だなぁ?」


 ジェフさんは走って来たのか少し息切れてたけど、彼から目を離さないロイズさんの表情は少し険しい。

 昨日はああ言ってくださっても、ジェフさんの目的がはっきりしてない今は警戒しても仕方ないからだ。


「い、いらっしゃい、ジェフさん」

「おう。って、そっちのオッさん顔怖ぇえんだけど?」

「お前がジェフ=リジェクターか。俺は商業ギルドのマスター、ロイズだ」

「あぁ……そりゃぁ、怖い顔して当然か?」


 なんか、視線がかち合った途端、お互い目で語り合い出しちゃった。

 ジェフさんもロイズさんも、口端を緩めながら相手の出方を探っていると言うか。視線同士が火花を発して、それを押したり押し返したりしてると言うか。

 とにかく、手に汗に握る展開。

 その割には、エリーちゃん達が特に焦ってないのはなんでだろう?


「……なるほど、俺の目を見て引かないって感じは異名通りか」

「そいつは、どーも」


 あ、なんか終わったみたい。

 ロイズさんが鑑定をされたかはわからないけど、ジェフさんも特に気にせず笑顔になってた。


「じゃ、スバルからは少し聞いてるか。なら、近いうちに俺の家に来い。ここにいる全員はスバルについて知ってる人間だが、時間も時間だしな?」

「ってことは……そっちのおばちゃん達も?」

「あたしとヨゼフはそこのロイズの親さね」

「ヨゼフと言います」

「……ロイズ、さんの父親?」

「無理に敬語はいいぜ? 俺も、別に強要はしねぇ」

「うぃーっす」

「と、ところで、ジェフさんなんでまた?」


 身軽なのと、財布用のカバンがない感じだと買い忘れじゃないようだけど。


「ああ。クラウスと話して、都合が早いこと出来そうだから報せに来たんだ。で、ロイズさんは?」

「そうだな……祭りの後、と言いたいが早い方がいい。なら、明日のうちにはっきりさせたいな」

「ロイズさん、大丈夫なんですか?」

「祭りの支度や予行演習についてはほとんど終わらせてある。あとは最終チェックくらいだし、それなら副ギルマスでも充分だ」

「ってことは、俺になんか頼みがあるってわけ?」

「察しがいいな? ま、それについては明日だ。俺は仕事巻くのにもう行くわ」


 そして、レイシーさん達にはお酒の量を注意されてから行ってしまわれた。


「なんか、店の装いが変わってたのは祭りが近いからか?」

「あんた、この街に来るのは初めてかい?」

「あ、はい。サファナでも北寄りの出だったんで」

「私達にも無理に敬語はいいですよ。私のは、癖みたいなものですが」

「ども。スバルも初めてなのに、こう言うの得意なのか?」

「故郷の方で色々とね?」


 時の渡航者については、明日話すかわからないけどまだ言えない。

 お昼過ぎの時は急いでたからよく見てなかったのかも。エリーちゃんが作ったオブジェも含めて、興味津々に鑑賞していた。


「へぇ、器用だなぁ?」

「あ、木彫りはエリーちゃんだよ?」

「す、スバル⁉︎」

「エリーちゃんは、お父さんに似て木彫りが得意ですからね。お父さん達はお元気ですか?」

「……ここに来てからは、あまり帰れてないです。今は向こうも祭りの支度で忙しいでしょうから」

「祭りって、具体的に何やるんスか?」

「簡単に説明しようかね? ちょうど、元王室教師もここにいることだし」

「「……どっちが?」」


 ジェフさんと声が重なると、レイシーさんは面白そうに笑ってからヨゼフさんを指した。


「いやぁ、恥ずかしいですねぇ……」

「そっか。スバルには話してなかったっけ?」

「す、凄い人なんだよね?」

「今の基準とそう変わらないけど、選抜試験でも貴族問わず1000人に1人受かるかどうかってくらいの倍率」

「凄いじゃないですかヨゼフさん!」

「たまたま、ですよ」

「何言ってんだか。今も近所の塾講師達から引っ張りだこじゃないかい」

「あっはは……さて、祭りについてですか。少し長くなりますが、ジェフ君のお時間は?」

「大丈夫っス」


 だけど、長くなるなら家に通した方がいいかも。

 ここじゃ椅子も何もない手狭なとこだから、ヨゼフさん達の腰が辛いはず。なので、エリーちゃんがお金の袋を持って僕が素早くパン達を厨房に置き、セキュリティの魔術をかけてから連絡通路に案内した。


「この前も通してもらったが、居間は初めてだな?」


 あの時は緊急事態だったから無理もない。

 けど、テーブルじゃ四人掛けなのでソファの方に。

 お茶は、餡子用の小豆を仕入れる時についてきたほうじ茶を。ジェフさんは初めてなのか匂いに不思議がっていた。


「ジェフさん達に試食してもらった、揚げパンの中身を仕入れるとついてくるお茶なんだ。たしか、白鳳国の主流だって」

「あの国か? まだパーティーじゃ行ってねぇな……あっち⁉︎ けど、悪くねぇ」

「美味しいお茶をありがとうございます。さて、仕切り直しですが祭りですね」


 お茶をゆっくり飲んでから、ヨゼフさんは思い出すように口を開いた。


「アシュレインの起源は、王都に比べれば然程長くはないですがある伝説に基づいています。スバル君はキャロナちゃんをご存知ですよね?」

「あ、はい。点検以外もよく来てくれます」


 今日も、チョコチップメロンパンを三つも買って行ったけれど。


「点検……つーと、ここってまさか魔術師の地っスか⁉︎」

「ええ。今で言う魔術技巧師(エンチャント・ジニア)達の故郷とも言われてる伝説の土地です。起源時より数は減っていますが、王都に行く若者達の二割はここだと噂される程ですよ。そのためか、街として繁栄の意味を込める創立祭は特別です」

「ここが、魔術師達の土地……」


 まだ魔術師さん達はキャロナちゃん以外だと数人しか合ってないが、皆さん気さくな人達ばかり。

 だけど、そんなご立派な聖地とは今まで知らなかったです。お祭りも、ロイズさんが『どうだ?』って言うくらいだったし。

【パンじゃないシューラスクの作り方】




検索で色々探してみたら、豆知識よりラスクのレシピで面白いものがありましたのでご紹介をノ



タイトル通り、パンじゃないラスクの作り方になります



用意する材料は、少し多いので



↓↓↓



無塩バター……50g

水・牛乳……それぞれ50mL

塩……ひとつまみ

卵……2コ

薄力粉……50g

ざらめ……適量




以上




①下準備に、薄力粉はふるって卵はときほぐしておきましょう


②水、牛乳、バターを鍋に入れて沸騰直前まで温めたら火を止める(ここ、シュークリームの作り方と似てます)


③薄力粉を加えてしっかりと混ぜる


④③に溶いた卵を3〜4回に分けて加え、その都度しっかり混ぜ合わせる


⑤絞り袋に入れたら、クッキングシートを敷いた天板に直径2cmになるように絞る

*生地が膨らむので、間隔は適度に空けましょう


⑥絞った角は指でならし、ザラメを好みの量ふりかける


⑦200℃のオーブンで40分焼きます(この間に終わってないお片付けを)

*焼き目がつきやすいオーブンならば、180℃に下げるなどの調整をしてみましょう


⑧焼けてもすぐにオーブンは開けず

膨らんだままのを余熱で乾燥させるとしぼみません



シュークリームの生地にキャラメリゼしたような味わい!

焼けた直後は生地を作ってる時と同じかそれ以上に水分量が多いので、空焼きが必要なのは余熱を利用しましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ