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忍者と狐to悪魔と竜  作者: 風人雷人
第一部 忍者見習いが目指すは忍者か?魔法使いか?
25/114

23・傭兵ギルド

「はあ・・・ほひひひ~(美味しい)」


幻魔の町には無い飲食関係の屋台の匂いに釣られてお腹を鳴らしていたロインに「何処かで昼食を取るか?」の質問に耐えられそうになく結局鳥らしい串焼きを両手いっぱいに持ち頬張っている。

森で食べてる物とそんなに変わらないような気もするが本人が喜んでいるのなら問題ないだろう。

最初は周りの目を気にしていたロインも自分が楽しむ事によって気にしないようにしているようだ。

食べ終えるタイミングに合わせて近くにいた2人組みのまだ若い衛兵にノイドは呼びかけた。


「失礼兵士殿」

「ん?な、何か用か?」

「傭兵ギルドの場所を探しているのですが教えて頂けませんか?」

「ああ~ギルドか、それなら向こう側の大通りだ、そこの道を真っ直ぐ行けば大通りに出る、そこを左に歩けば左手側にある。全て木で建てられた古めかしい建物だからすぐに分かる」

「そうですか、ありがとうございます」


去っていく2人の背中を見つめながら2人の衛兵はどこか呆然としながら呟いた。


「なぁ」

「ん?」

「あれが子供の頃に母から聞いた伝説の『見てはいけない変な人』とか言うやつじゃないか?」

「そんな伝説は聞いたことないが幻魔族では普通じゃないのか?」

「初めて見たんだ、分かるわけないだろう」

「俺だって初めてだぞ・・・剣は持っていたが鎧ではなかったし・・・いや、若い方がチェーンメイルも着込んでいたな、まさか戦士なのか?」

「戦士?幻魔が?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「「あはははははっ」」

「ないない」

「さあ、仕事仕事」




言われたとおりに進むとそれらしい建物が建っていた。

実際前まで来ると武装した者達が出入りしていた。

ノイドはギルドを前にやや半眼でぶすっとしているロインの髪をクシャクシャっとした。


「なんて顔をしている。さあ、行こうか」

「分かったよ」


入って見回すと左側に依頼用の掲示板、正面は受付カウンター、右側にチームの雑談や受付で何か待たされた時に待機する為であろう椅子と机が並べられていた。

外観こそ古びていたが中はかなり改装されているのか外と違い非常に奇麗だった。

ギルド内に十数人の傭兵がいたが入ってきた2人の幻魔族に少し驚いているようだ。

いや、もしかすると門前に並んでいた傭兵と同じように魔法使いらしくない装備に驚いているのかもしれない。

よく見れば何人か門の前で並んでいた者もいる。

真っ先に受付に進まず左に進み依頼用の掲示板に張り付けてある紙を特に手に取るでもなく流しで見ていく。

カウンターに進むと2人の受付がおり一番左の女性に話しかけた。


「失礼」

「はい、本日はどのようなご用件でしょうか?」


建物内に入ってきた瞬間は2人の受付嬢も驚いていたが対応はしっかりしていた。


「実は門でこちらでなら火薬を買ってもらえるかもしれないと話を聞いたのですが私達は傭兵に登録していません。売買の利用は可能でしょうか?」

「申し訳ありません。こちらを利用する為には登録をされて傭兵である必要があります。例外として魔獣石と魔物を討伐された際に出る宝石は登録された方と比べると価格は下がってしまいますが

賞金として非登録者からでも買い取っております」


魔獣の頭の中には魔獣石がある。

魔獣の大小、強弱関係なくどんな魔獣にも拳大くらいの大きさだ。

魔法の武具、道具を作る際に利用されており契約の腕輪などもその1つだ。

倒した魔物から出る宝石、これに関しては謎である。

宝石は倒した魔物の姿を模した宝石であり鑑定した時とんでもない程の価値の付く代物だった。

しかし宝石は何故か数日で必ず消失してしまうと判明、盗まれた訳でもないのに忽然と消えるのだ。

結果コレクションにも出来ない為通常の売買は不可能だった。

しかし魔物をそのまま放置も出来ずそれらの宝石は魔物討伐の証明として国、ギルドが買い取っていた。


「そうですか、それは残念だ」

「よろしければ登録されますか?登録されれば査定も買い取りもさせて頂きます。こちらではまだおりませんが噂では東アティセラでは登録されている幻魔族の方もおられると聞きます」

「どうしたものか・・・」


若干ロインが不安そうにしているのが気配で分かる。

いつの間にか傭兵達も先ほどより数が数人増えていたが先ほどまであった喧騒はなく余程興味があるのか静かになって聞き耳を立てていた。

傭兵の信仰系回復魔法の使い手はほとんどいないと言っていい、仕事中傷を負った際治癒の手段は無いよりマシ程度の薬草やヒールポーションと呼ばれる高価な治癒魔法薬だけだ。

しかし幻魔族は全員が魔法使い、実際は人間の2人だがこの大陸では幻魔以外では存在しない黒髪が2人を幻魔族だと証明していた。

もし彼らを筆頭に北アティセラでも幻魔族が傭兵ギルドに多く登録されチームに入ってくれれば傭兵が命を落とす危険性はぐっと低くなるだろう。


「登録条件は何かあるのですか?」

「はい、もっとも重要なのは2つ。1つは傭兵は魔獣や魔物討伐、護衛などが中心で危険ですので前衛、戦士としてどれくらいの力量か、後衛、魔法使いとしてどれくらいの力量かあるか審査させていただきます。もう1つは・・・」


そう言って2人がつけている腕輪を見た。


「もう1つは門で御二人が腕につけられました契約の腕輪で契約していただきます。契約内容は大体が傭兵同士の喧嘩、犯罪行為の禁止ですね・・・他にも守っていただくものがいくつかありますが」

「喧嘩はお酒が入れば簡単に破られそうですね、契約はこのギルドで?」


その言葉に受付嬢は苦笑いを浮かべた。


「ああ~昔は確かにそう言う事は多少あったそうですね。今はお酒が入っている時に限り喧嘩などの行為をされても『一時的免除』されます。ただしあくまで一時的で事を起こしてから決められた時間以内に、契約は私達ギルドで行いますのでギルドに出頭され対処されない場合は呪いは発動してしまいます」

「なるほど。ただ聞いていると契約と言っても一方的、こちらには不利な契約のような気もしますが」

「勿論登録者の方にも利点はあります。必要な道具を買う際は値引きされますし逆に魔物を倒した際に出る宝石などお売りになる時は相場より高く買取となります。それと契約の腕輪の他に傭兵の腕輪が貸与されます」

「傭兵の腕輪?」

「はい、傭兵の腕輪は傭兵である事とランクの証でもあるのですが契約の腕輪で既に犯罪対策などされていますので傭兵の腕輪をつけていれば町の出入りでは検査は腕輪を見せるだけ、お金も免除されます。また傭兵の腕輪は魔法付加が可能で例えば肉体強化などの魔法を込めれば強化魔法を使わなくても装備しているだけで常に効果がありますので傭兵の方々に好評です。ギルドで契約してくださっている専属の魔法士がいますので希望の魔法をこちらで掛けますし御二人のように魔法が使える方でも自由に魔法付加変更ができますので戦闘時のマナの節約になって十分に有効ですよ」

「1つ質問していい?」


今まで黙っていたロインが質問した。


「はい、何でしょうか?」

「例えば肉体強化魔法は腕力、体力、脚力、動体視力と4つある。しかしかけられるのは1つだけで2つかけた場合1つ目の効果は消えてしまう。もし腕輪を使った場合腕輪と魔法の2つの同時効果は可能?」

「はい可能です。例として両方とも同じ腕力にした場合は二重効果はありませんが腕輪は腕力、魔法は体力と別々にすれば2つの同時効果は可能です。ただ噂では4つ同時に強化する上位の肉体強化魔法があると聞きましたが本当でしょうか?・・・何かご存知ですか?」

「さあ?『俺達2人とも』そこまで習得してないから」

「そうですか、残念です」


ロインは肩をすくめた。

信仰系魔法はどれ程あるのかどんな魔法があるのか全て解き明かされている訳ではないのでこの手の情報、実はかなり価値のある情報だ。

ましてや魔法に優れた幻魔族の情報なら価値も信憑性も非常に高い。

それをしれっと聞けるこの受付嬢はなかなかしたたかな女性なのかもしれない。


「1つ、ギルドとは関係ありませんが南アティセラにいる『天使』をご存知ですか?」


彼女の真似をした訳ではないがノイドはもう1つ調査している事を聞いた。

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