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忍者と狐to悪魔と竜  作者: 風人雷人
第一部 忍者見習いが目指すは忍者か?魔法使いか?
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17・森の移動

幻魔族の町テノア西側にある林を2つの黒い影と金色の光が信じられない速さで木と木の間を、枝から枝へと、西へ西へと駆け抜けていった。

いつしかそれは林から深い森へと変わるも移動速度は変わらず一切迷いも止まる事も無くさしずめ

2人と1匹が作り出す一陣の風と言ったところか。

ノイド達が街道を使わず森を移動しているのはこの行為そのものが鍛錬になり加えて人目に付かず移動が可能な事と、森の中だと野生の動物などが多数生息しているので食料の確保が容易な為だ。

そんな中、この旅はロインとノイドの二人旅でかなり快適な旅になると思われた。

かつて里の忍として遠方での任務を遂行する際通常ノイド1人だと水遁も氷遁も使えないので

このような森の中では森林火災の可能性もあり最悪火が使えず結局生で肉、虫を食さないといけないのだがロインは水遁、水系の魔法が使えるので火事が発生しないように制御が出来る。

それに昼時たまたま森の中で流れる小さな川を見つけた為その傍で火を焚く事になった。

おかげで小川にいる小魚を捕まえて塩焼きと言う非常にシンプルだが暖かいものを食べられると言う幸先の良いスタートと言えよう。

食後ロインは契約が成功した信仰系魔法の実験をしていた。


「それで?どんな感じだ?」

「えっと、今肉体強化の魔法かけてみたんだけど確かに精霊系と違い緩急は付けられない。

ただ忍術、疾風迅雷と併用出来るからかなり使えるかも」

「ほう・・・少し試してみるか」

「試す?あ・・・もしかして」

「もしかしなくても簡単な鬼ごっこだ」

「・・・やっぱり」


ノイドが千里視と疾風迅雷を使い先行しその後をロインが千里視と疾風迅雷と新たに覚えた

肉体強化の3つを使って追いかけていた。

ノイドは手加減せず本気で走っていたがその後ろをロインは離される事も無くぴったりとくっ付いていた。


(まさか本当に付いてこれるか・・・やるじゃないか)


その速度は町を出た時よりも明らかに早かった・・・早かったのだが・・・。


「のわあああああっ!!!」


枝から枝へ飛び移っていたのだが足を踏み外し小さな枝をバキバキっと多数へし折りながら落下してしまった。

後ろに付いていたココは急いでロインの元に、ノイドも枝から降りてロインの元に歩いていった。


「いててて・・・失敗失敗」

「前言撤回。魔法で得た肉体の速さに思考がまだ追いついていない、咄嗟に判断が出来ていない状態か。で?怪我は大丈夫か?」

「うん、大丈夫。大丈夫だけど折角だから一応治癒魔法の実験しておこうかな・・・」


ひねって痛めたのか一番痛かった箇所なのか足に手をかざして治癒魔法を掛けた。

実験は成功はしているのだがいまだ魔法に振り回されているようなロインにノイドはため息を付き小さく小さくつぶやいた。


「・・・忍術や魔法はロイン自身だけで極めてもらわないといけない。なんとか場数を踏んで経験を積んでもらわないとな・・・」



それから更に数時間後、目の前に山が立ちふさがった。

「明日はこの森からあの山を移動する。今日はこれくらいにしよう」

「でも今夜はこの森で休むの?」

「いや・・・さて・・・どこか休むに適した場所があれば良いが・・・なければここで休むしかあるまい」


ノイドたちはまだ森の中、日は既に沈み闇が支配する時間になり辺りは星以外の光は無く真っ暗になっていた。

普通なら日が暮れる前、明るいうちに場所を見つけ火なり食事なり野宿の準備をするのだがノイドは当然だが意外にもロインは夜目が効く為そのまま移動していた。

ノイドとロインは千里視で辺りを調べると森と山の麓の間に木々が無くなりおそらく岩ばかりだろうそんな場所を発見した。


「父さん、西に多分岩場かな?あるみたいだけどそこなら火が使えそうだよ」

「そうだな、行こう」

「はい!」


それから2分と経たず森を抜け岩場を発見した。

どうやら岩場の中央には溝があり雨が降った際の水が流れる川代わりになる役目になったのだろうが最近雨が降っていないため多少水溜りがあるものの川としての機能は果たしていなかった。


「水が流れていれば良かったんだが流石に2度も幸運は続かんか。よし、ここで焚き火を作り食事にして休む事にするか」

「はい、じゃあ俺は火の準備をするよ」



パチパチっと爆ぜる音があたりに響いた。

赤く燃える炎は森で捕まえた野うさぎの肉を焼きつつ二人と1匹を赤く染める。


「父さん、1つ、いや2つかな、聞いて良い?」


肉を頬張りながらロインはノイドに質問した。


「なんだ?答えられるなら1つと言わずいくつでも構わない。聞ける時に聞いておけ」

「そう?じゃあこれからの予定は決まっているの?」

「ああ、明日は山を北西に越えて明後日に人間族の町『カザカルス』で探し物をする」

「探し物?」

「1つは大陸全土の地図、可能なら世界地図が欲しいところだが」

「地図?そうか、地図で俺たちの故郷、になるのかな、『ヒノモトコク(火乃元国)』だっけ?

探そうってことか」

「・・・まあそうだな」


もっとも15年前『神隠し』にあった状況で『違う場所』に飛ばされただけなのか『異界』に飛ばされてしまったのかいまだ分かっていない、もちろん場所だけだったとしても神隠しに巻き込まれた時点で故郷では50年、100年あるいは何百年の時間が過ぎている可能性も否定できない。

里探しの旅は無駄に終わる可能性もある。

だがそれでももう1つの探し物で帰れる可能性はあるとノイドは信じていた。


「1つって事は探し物は他にも?」


ノイドは横に置いていたロインも知らない刀を手に取り語り始めた。

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