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忍者と狐to悪魔と竜  作者: 風人雷人
第一部 忍者見習いが目指すは忍者か?魔法使いか?
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10・働かざるもの食うべからず

「だったら鍛冶はどうだい?実は鍛冶師は北の町にはいなくて鍬、鎌、斧といった農具や生活用の包丁なんかを作ったり手入れしたり出きなくてね、それらを定期的にこっちの鍛冶師お願いしているんだけど修理の類はまとめて持ってくるからタイミングでかなり忙しくてゴーダンも捌けずにいるんだ」


働かざるもの食うべからず、幻十朗改めノイドはペンダーの紹介で翌日鍛冶師の手伝いをすることになった。

目的の鍛冶屋は町の西壁の通りにあり煙が出ているからすぐに分かると聞いていたがペンダーの家を出て西を見れば確かにそれらしい煙が見えた為迷うことなく目的地を目指す事ができた。

約束の時間まではまだあった、あえてゆっくり歩きノイドは昨日聞いたペンダー達の話を目的の場所を目指しながら思い出していた。

まずここはアセラとテセラと呼ばれる神に作られたアティセラ大陸と呼ばれている事、幻魔族や他に妖精族や竜族など多種族の存在。

あくまで違う場所に飛ばされただけなのか、神隠しによる違う世界にいるのか、三代目より受け取った書物には二人の女神や大陸については無かった。

ただ妖精と竜に関する伝承や言い伝え、昔話などがあった為また忍術と魔法は同じと知りここは海の向こうで船を使えば帰れるのではと期待が僅かにあった。


(一番いいのは世界地図を入手できれば大陸の形から確認出来そうなんだが・・・)


ふと視線を感じノイドは周りを見た。

すれ違うたびにチラチラとノイドを見ている。

半分はどうやら一昨日の夜に出た首なしの魔物の話が町に流れていたらしい。

どうやら幻魔族が剣など魔法以外で魔物を倒すのは相当珍しい事だった。

実はノイドたちは人間族であることを隠し幻魔族だと偽る事になっている。

これはペンダー達の案で追ってからうまく隠れる為の一つでもある。

それにこの地では紋様だけでなく黒髪も幻魔族の証である為初対面の者は確実に幻魔族だと勘違いする。

ならば最初から幻魔族と勘違いしてもらって良いだろうと言うことになった。

それに1年前まで人間と幻魔は戦争をしていた為全部が全部ではないが一部がいまだ人間族をよく思っていない部分もありそれだったらと幻魔族のふりをすることになった。

もっとも人間とバレても神と崇められる神獣九尾の狐ココを連れていれば悪く思う奴はいないだろうが。

もう半分はもの珍しい、街中での忍び装束は目立つようだ。

追っ手の事も含め服装もこの町の人たちが着ているような服に変えるなどして今後どうするか決める必要があるのかもしれない。

そう考えてるうちに目的の店に着いた。

店にはペンダーの言うとおり農具や包丁類ばかりが並んでおり武器と呼べるものは多少あるが幻魔族の特徴だろう、弓や魔法用だろう杖やワンドばかりで剣の類はあまりなかった。

商品を見ているとノイドに気が付いた女性が出てきた。

白い髪を頭の天辺でお団子にした髪形で背は低くややぽっちゃりとした体格で、服は作業着らしい緑のシャツに緑のズボン、茶色の革靴を履いて少々男っぽいカッコでピンクのエプロンを付けている。

しかし顔立ちは可愛らしくおばさんぽくも少女ぽくも見える年齢不詳の女性だった。

ただドワーフは幻魔以上に見た目と実年齢が合わないとペンダーより聞いていたのでおそらくこの女性がこの鍛冶屋の店主ゴーダンの奥方であろうと目星をつけた。


「いらっしゃいませ、何かご入用ですか?」

「失礼、私はノイドと申します。賢者ペンダー殿の紹介でこちらのお店で雇ってもらえると聞いてきたのですが」

「あら、あなたがペンダーさんが言っていた・・・主人を呼んできますので少々待ってくださいね」


しばらくしてこの店の店主だろう男が出てきた。

白い髪に首が隠れる程度の白い髭、服は女性とまったく同じだがかなり汚れており付けてるエプロンは元は白なのだろうが本来の色が分からなくなるほど汚れていた。

体型は先ほどの女性よりも更に背が低くまさに『ずんぐり』を表現した体型をしていた。


「ほぉ~あんたがペンダーや町のもんが言っとた凄腕の魔法戦士か。ワシが店主のゴーダン、こっちが家内のトトじゃ」

「トトよ、よろしくね」

「ノイドです。よろしくお願いします、ゴーダン殿トト殿」


ゴーダンはノイドの周りを回りながら「ふむふむ」と頷きその体つきを見ている。

雇うに相応しいかどうか確認しているのだろうとノイドはおとなしく動かずにいた。


「ノイドと言うたか・・・おまえさん・・・」

「はい、何でしょうか?」

「・・・ええ体しとるの~幻魔族の魔法使いにしとくのが勿体無いくらいじゃ。やせてヒョロヒョロかと思とったが魔物と剣でやりあったてーのは本当か。うむうむ、ちゃんと鍛えとるじゃないか」

「ありがとうございます」

「とは言え腕がないとの・・・確か一応の経験者らしいな」

「ええ、ほとんどは補修、修理ばかりですが」

「それが出切るんじゃったら十分、こっちこい」


店の奥に入っていくゴーダンに付いていくとそこは作業場だった。

火が焚かれており部屋はかなり暑い。

ゴーダンはこの部屋から出てきて汗一つ掻いていなかったが長時間ここにいて汗が出ていないのなら

ドワーフとは暑さに強い種族なのかもしれない。

テーブルと床には大量の木箱が置かれその中に鍬や鎌など大量の農具があった。

おそらく先日帰ってきたペンダーが北の町から持ち帰ってきたものだろう。

その中から鎌を1つ手に取る。


「北の町サザイラから持ち帰ってきたやつじゃ。こいつ全部修理しなくちゃならんのだが・・・お前さんの腕をみたい。とりあえずこいつを直してくれんか?」

「分かりました。ドワーフであるゴーダン殿と多少違うかもしれませんがかまいませんか?」

「かまわんかまわん、直りさえすりゃそれで良い、やり易いやり方なんぞ人それぞれじゃ」

「そうですか、ではやらせていただきます」


およそ30分後修理した鎌を見せるとゴーダンは驚きの顔を見せた。


「なんと・・・この短い時間でここまで仕上げるとは・・・うむ、ノイド!是非お前さんを雇わせてくれ!」

「こちらこそ是非よろしくお願いします」


それから3日後、10日以上予定していた修理修復を完了しペンダーを驚かせた。

鍛冶師に関する知識はございません。昔親父がラーメンのどんぶり鉢で包丁を研いだりしてましたがほんの1~2分で済んでました。

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