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The beautiful sky  作者: RAIRA
第一章  ~Reunion from that day~
4/12

青いペンキの匂い。


まぶしい日差し、綺麗な真っ白な部屋。


金髪の彼は、僕の知らない歌を口ずさみながら、

真っ白な壁に青色のペンキを塗り始めていた。


真っ白だったシャツも青色のペンキが飛び散って色づいていた。


バケツからこぼれている青いペンキはそのままである。


子供ながらに片づけなくていいのだろうかと思っていたが

声を掛けるタイミングを失ってしまっていた。


「そんなところで見てないで、おいで」


歌を唄うように僕に声を掛けてきた。


少しハスキーな声が耳に心地よく響き

不思議と知らない人だというのに怖さはなかった。


一歩足をその部屋へと踏み込む。



その瞬間、床が抜けて暗転した。



「っっ」

ビクッと身体が動いて、今まで眠っていたことを知らせる。


夢――。


最近、あの時の夢をよく見るなぁ。


そういえば、金髪に青い瞳の外国人だったのに日本語のイントネーションがきれいで。

日本生まれなのだろうか。もしかしたらハーフなのかもしれない。


まだあの頃、9歳だった自分は何の疑問も持っていなかったが、

今思えば、田舎の山奥にあった家。突然消えてしまった、彼。


おかしなことがいっぱいだった。


現実ではなかったのではないかと思う反面、

やけにリアルな今日の夢が、現実だと頭の中で言ってくる。


彼との約束で、彼の話を他の誰かにしたことがないから確かめる方法はなかった。




♪♪♪~

携帯の音が鳴る。


そうだ、今日はバイトの日ではないか。

慌てて飛び起きる。バイトの日は早めに準備をしなくてはならない。


寝癖がついたままではいけないのだ。


「よし、完璧」


鍵を取り出しながら、カンカンカンと音を立てて階段を下る。


自転車にまたがり、学校の方面とは逆の駅の方面に向かう。


約15分行けば、駅前の繁華街に出る。

東京の郊外とはいえ、俺の地元よりは全然栄えている。


バイト先は『春空パン屋』

家族で経営しているパン屋さんだ。ここで土・日・祝日だけ働いている。


4月に一人暮らしを始め、そろそろバイトを探そうと思ってた時、

偶然、ここのパン屋のバイト募集のチラシが目に入った。


ちょうど3月に一人バイトの人が大学卒業と同時に辞めてしまったとのことで、

即日採用となった。


平日はパートの人が2人いるらしいが会ったことはない。

自転車をパン屋の前に止め、鍵を掛ける。



「おはようございます。」

カランカラン。とドアの鐘が鳴る。


「おはよう、タケル君」

にっこり微笑む姿に目を奪われる。


「あっ、おはようございます。ユウヒさん」


少し掠れる声で、慌てて挨拶を仕返した。


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