群青の日‐1
アダムは、思ったよりよく喋る。
出身は日本で、8歳までは日本にいたこと。
そのあとは、ロンドンに住んでいたこと。
母親が日本人で、ハーフだということ。
日本には、遊びに来ているということ。
少し低めの声、ゆっくりした気怠さが残る話方は夢の中で見たものと同じだ。
だからこそ、おかしな点がある。
「全然、見た目変わってないよね。」
「そうかな~?タケルは大人になったね。でも、一目見て分かったよ。」
まずは、整っている見た目。
10年経っているのに、何一つ変わっていない。
下手したら、自分より若いのではないだろうか。
昔の自分には彼がすごく大人に見えたが、
今の自分が彼を見ると多少の幼さを感じる。
「アダムはさ、ここに住んでるんだよね?」
「うん、日本にいる間はここにいるよ。」
次にこの小屋に住んでいるということ。
生活用品が一切ない。ベットすら置いていない。
真っ白な部屋には、青色のペンキが置かれているのみ。
「いつ、ロンドンに帰る予定なの?」
「さぁ、いつにしようかなぁ~おそらく当分はいるんじゃないかな」
そして、質問への答えは自分のことなのにあやふやさが残る。
一通り、あれこれと質問をし終わった後、
けたたましい音で急に携帯が鳴った。
ディスプレイには「レイ」の文字
「あっ・・・レイに連絡するの忘れてた。」
今から大学出るよ。という連絡をしたっきりだったことを今思い出す。
「ごめん、電話出ていいかな?」
「どうぞ。」
「はい、」
『タケル、今どこいるの?』
「ごめん、ごめんまだ大学にいて。」
『えー、早く来て、待ってるから』
レイはそう言って、すぐに電話を切った。
「あっ、、切りやがった」
「友達?」
「まぁ。」
「そっかぁ、タケルに友達ができて良かったよ」
「んっ?」
「だって、昔はずっと僕のところに遊びに来ていたじゃない。」
ずっと?そうだったろうか。
いや、昔も友達は普通にいたけどな・・・。
そういえば・・・映像が流れ込んでは消えていく。