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彼
真っ白な部屋 大きな窓 風が吹くと薄いブルーのカーテンが揺れる
部屋にはペンキの匂いが立ち込めていた。
真っ白な壁の前に一人、人が立っている。
真っ白な服
足元には青いバケツが置かれている。
眩いばかりの金色の髪だけが異質のように見えた。
綺麗だなぁと思った。
もっと近くで見たくて、身を乗り出したときカタンと音を立ててしまった。
「誰?」
その人が振り向いたと同時に足音のバケツがガタンと音を立てて倒れてしまった。
中から青色のペンキが零れ落ちる。
ペンキの匂いが一気に濃くなる。
足元のバケツから、目線を上にあげる
視線が交じり合う
そこにはどの色よりも濃い青い瞳が、僕を映しこんでいた。