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ラリポッポの挽歌

我々は馴染み深き古巣から飛び立った。ただ一心に、奴を追跡するという本能だけを頼りに。

朝日が昇る。はるか下方、コンクリートでできた太古の海底遺跡のような東京の街が、ゆっくりとその姿を現してきた。

奴。奴はどこにいる? は31号。イーグル。鳩にして鷹たる者。災厄の象徴……。

頼りにしていた鳩軍中野学校も、まだ奴の所在を掴めてはいなかった。であれば、次にできることは一つ。街中に張り巡らされた鳩達のネットワークに、一つ一つ当たるしかない。

進路は東、新宿へーー。


新宿は、ニンゲンどもが慌ただしく行き交うバビロンだ。鳩の住み難さで言えば、東京の中でも一、二を争う。そんな過酷な新宿、特に新宿駅西口を根城にする鳩どもは、鳩の中でも下級の存在だ。盗み、殺し、低空飛行によるニンゲンへの威嚇……生きるためならなんだってやる連中。ゆえに、情報には人一倍聡い。

おれは、傍らを飛行するは303号に呼びかけた。

「そろそろ西口だ、高度を下げるぞ」

「了解」

我々は、かくして新宿駅西口に降り立った……。


西口。何年ぶりだろう、匂い立つような無機質な、それでいて羽にまとわりつくまどろっこしい熱気、それだけは変わらない。

西口のギャング鳩どもは、すぐに見つかった。しかし、我々はその連中とコンタクトを取る真似はしない。

すぐに見つかるような場所でたむろしている連中は、そのほとんどがジャンキー鳩だ。ラリポッポなどと揶揄して呼ばれるようなこともあるくらいだから、まともな情報を引き出すことなど望めない。

「は27号、まずは白いマーキングを見つけましょう。奴らの親玉に面通しする必要があります」

は303号が抜け目なく言う。

訓練鳩とは言え、さすがは俊英な情報鳩だけある。基本は抑えているということか。

「ああ」

おれは、最低限の返答をし、翼を旋回、マーキングをサーチする。

奴らの親玉、キング・ホワイトスネイクへの手がかりを……。

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